26 / 51
#26 商談をしよう
「こちらの肉料理は…… おお……! こちらも大変美味ですね……!」
ナポリタンを何口か食べたシクウは、他の料理も気になったようで、次にオークの角煮を口に運んだ。
すると、長時間煮込まれた角煮は口の中でほろほろと解け、醤油ベースのタレとオーク肉の旨みが噛めば噛むほど広がっていった。
「ああ…… 商談の事を忘れて食べるのに集中したいくらいです」
「お気に召したようで良かったですっ」
カスミの料理に夢中になってくれているシクウを見て、受け入れられるか少し不安だったカスミも肩を撫で下ろした。
「それはもう。 こちらのお椀に乗っているものは?」
「こちらはライスの上に生のお魚を乗せた海鮮丼になります」
「ライス、ですか? 生魚は私も何度か食したことはありますが……」
シクウもどうやらライスは食べたことがないらしい。
「私も最初はライスなんて、と思ってたが、これが美味しいんだから驚きなんだ」
少し躊躇いを見せたシクウに、クリスタがそう告げた。
「そちらの小皿の醤油という調味料を軽く回しかけて、お魚とライスを一緒に食べてみてくださいっ」
「ふむ…… 分かりました。 食べて確かめるのが一番早いですね」
シクウはそう言うと、カスミに言われた通り海鮮丼に醤油を回しかけ、マグロとライスを口に運んでいった。
「おお……!? こ、これは美味しいですね……!」
すると、マグロの強い旨みと醤油の塩気と香ばしさが、ライスと共に食べる事で、口の中で一つの料理として完成したかのような、確かな美味しさがそこにはあった。
「ライス自体に味はそこまでありませんが…… なるほど、パンやパスタのように、何かと共に食べるものなのですね」
早くもライスの美味しさと食べ方に気付いたシクウは、サーモンとデーモンフィッシュも一切れずつライスと共に食べていった。
「ああ、もう口の中と腹の中が幸せですね。 少食な自分が恨めしいです」
ここまで三品を食べたシクウは、かなりお腹も膨れたのか、非常に満足そうな表情を浮かべていた。
「なら、食後のデザートといこうか」
そんなシクウに、クリスタは不適な笑みを浮かべながらケーキの載った皿を差し出した。
「こちらのケーキもカスミさんが?」
「はいっ。 普通の料理よりも、こういう甘いものを作る方が得意なくらいです」
「それは素晴らしいですね。 甘味を作れる者は貴重ですから」
「ふふ、シクウよ。 これはただのケーキじゃない…… いや、これが本当のケーキだ」
「まさかこちらも……? では、いただきましょう」
クリスタの自信ありげな言葉を聞いたシクウは、期待に胸を膨らませながらケーキをフォークに載せ、口に運んでいった。
「……っ!? こ、これはっ…… なんという……!」
すると、シクウの目が今日一番の大きさに開かれ、一口目をゆっくりと飲み込んだら、確かめるようにもう一度ケーキを口に運んでいく。
「……素晴らしい。 私の商会では貴族のパーティーに出すケーキを取り扱う事も多々ありましたが、これまで私は偽りの商品を提供してしまっていたようです」
シクウはそう言うと、カスミの方へ向き直った。
「カスミさん、貴女は本当に素晴らしい料理人です。 ぜひ貴女の生み出すものを、私達の商会で取り扱わせて欲しい」
「はいっ。 こちらこそよろしくお願いしますっ」
シクウはもう、カスミがこの先、莫大な利益を生み出す事を確信しているようで、早速具体的な契約内容について話し始めた。
まず、カスミが作る料理のレシピや、調理道具の設計図に関する売り上げは、商業ギルドに手数料として引かれるものを除いた金額の7割をカスミに渡すという事になった。
「7割もいいんですか?」
「設計図はともかく、レシピはかなり低額で売られるので、正直そこまでの利益になりませんから、基本は考案者が多く貰える契約のことが多いです。 ただ、レシピが売れればその材料も売れますから、商業ギルドや商会はそちらで利益を出すという形ですね」
「なるほど」
そして、肝心の調味料に関しては、フィオが鑑定の魔法で作り方を調べてまとめてくれたので、それをシクウに見せてみた。
「なるほど…… かなり作るのに時間と手間がかかるものが多いですね。 原材料も市場には出回ってないものもかなりあるようです」
シクウの言う通り、例えば醤油や味噌の原材料である大豆は、こちらの世界では食材としてはあまり扱われておらず、ライスと同じように家畜の餌として扱われていたりするようだ。
名前も大豆ではなく、ビーンズと呼ばれているらしい。
「確か、ビーンズを育てている地域がありましたから、そこは掛け合いつつ、私の商会でも育てられる環境と、ビーンズを加工する工場も作らないといけませんね」
「大変じゃないですか……?」
「いえいえ、この程度は商人にとって苦労でもなんでもありませんよ。 それに、今回はその先にある利益が確実ですからね」
(凄い信頼してくれてるなぁ…… 私もできる事は手伝わせてもらおう)
商売についてはシクウに完全に任せる形になるので、ちょっと心苦しい気もしてしまうカスミだったが、その分、利益に繋がるように頑張ろうと、内心決意するのであった。
「調味料の利益分配については、商品によっても色々と変わりそうなので、量産の目処が立ち次第、またお話させてください」
「分かりました」
「なるべく早く…… そうですね、2ヶ月後くらいには売り出したいところです」
(そんなに早く? ……いやでも、魔法を駆使すればいけるのかな? 工場の建設も、レネさんみたいな物作りが得意な人がやったら、地球で同じものを建てるのとは比にならないくらいのスピードで建てられたりするのかも)
どうしても前世の常識に引っ張られてしまうカスミだったが、凄腕の商人であるシクウが言うならそうなんだろうなと、自分を納得させた。
「あ、そうだカスミさん。 これは提案なのですが、そのケーキ作りの腕を振るって頂きたい場所がございまして」
すると、シクウが何やらそんな風に話を切り出した。
「と、言いますと?」
「実は来月に、この国の第二王女様の12歳の誕生日を祝うパーティーが王城で開かれまして、我が商会はそこで出す料理やケーキに使う食材を用意する予定だったのですが、いっそのことカスミさんのケーキをそのパーティーに提供するのはどうかと思いまして」
「えぇ……!? お、王族の方々がいるパーティーに、ですか……?」
「はい。 なんなら料理の方も監修したっていいかもしれませんね」
「待て待て、シクウ」
そうカスミに言ってきたシクウを、横で話を聞いていたクリスタが止めた。
「そんな急に王族だのなんだの言われたら、カスミが困るだろう。 大体、今回の話もカスミを表に出したくないからお前に話を持ちかけたのに、王族の誕生日パーティーのケーキなんて作ったら、カスミが目立ってしまうだろう」
「ああ、確かにそれはそうですね。 すみません、あまりにカスミさんの料理に魅入られてしまい、私も興奮してしまったようです」
「い、いえ、大丈夫ですよ」
(うーん、でも、良い話なのかも…… この世界ってインターネットとかないから、流行りはほぼ全て貴族の人が発信するものらしくて、美味しい料理とかケーキを宣伝するなら、またとないチャンスなのかも……)
そう内心で思う気持ちはあるものの、やはり目立ってしまうとクリスタ達との生活が脅かされかねないので、カスミとしても二つ返事で了承する訳にはいかなかった。
「ですが、これだけの料理や調味料が世に出たら、確実にカスミさんはいつか日の目を浴びてしまうと思います。 完全に隠し切る事は不可能かと」
「む…… 確かにそれはそうだな……」
シクウの言葉を受けたクリスタは、その可能性を否定できずに苦い顔をした。
「ですから、私の商会だけではなく、いっそのこと王家の方々に後ろ盾になって貰えば、貴族の方々からの干渉も防げます」
「そんなに上手くいくか?」
「カスミさんの料理やケーキを手土産にすれば、確実に後ろ盾を得る事は可能…… なんなら、こちらから条件を付ける事だって出来ると思います」
「……それなら、悪くないな」
先程までは否定的だったクリスタも、王家を味方にできるメリットを考えると、悪くないかもしれないという思考になり始めた。
「どうでしょう、カスミさん? もちろん、カスミさんの素性を明かすのは、ごく一部の人に留める事を約束します」
「……分かりました。 シクウさんにお任せします」
「ありがとうございます。 では、王家の方々にカスミさんの事を伝え、できるだけ早く準備が始められるよう、尽力致します」
そんな大きな仕事の事も含め、その後もカスミはクリスタとシクウと様々な事について話し合うのであった。
ナポリタンを何口か食べたシクウは、他の料理も気になったようで、次にオークの角煮を口に運んだ。
すると、長時間煮込まれた角煮は口の中でほろほろと解け、醤油ベースのタレとオーク肉の旨みが噛めば噛むほど広がっていった。
「ああ…… 商談の事を忘れて食べるのに集中したいくらいです」
「お気に召したようで良かったですっ」
カスミの料理に夢中になってくれているシクウを見て、受け入れられるか少し不安だったカスミも肩を撫で下ろした。
「それはもう。 こちらのお椀に乗っているものは?」
「こちらはライスの上に生のお魚を乗せた海鮮丼になります」
「ライス、ですか? 生魚は私も何度か食したことはありますが……」
シクウもどうやらライスは食べたことがないらしい。
「私も最初はライスなんて、と思ってたが、これが美味しいんだから驚きなんだ」
少し躊躇いを見せたシクウに、クリスタがそう告げた。
「そちらの小皿の醤油という調味料を軽く回しかけて、お魚とライスを一緒に食べてみてくださいっ」
「ふむ…… 分かりました。 食べて確かめるのが一番早いですね」
シクウはそう言うと、カスミに言われた通り海鮮丼に醤油を回しかけ、マグロとライスを口に運んでいった。
「おお……!? こ、これは美味しいですね……!」
すると、マグロの強い旨みと醤油の塩気と香ばしさが、ライスと共に食べる事で、口の中で一つの料理として完成したかのような、確かな美味しさがそこにはあった。
「ライス自体に味はそこまでありませんが…… なるほど、パンやパスタのように、何かと共に食べるものなのですね」
早くもライスの美味しさと食べ方に気付いたシクウは、サーモンとデーモンフィッシュも一切れずつライスと共に食べていった。
「ああ、もう口の中と腹の中が幸せですね。 少食な自分が恨めしいです」
ここまで三品を食べたシクウは、かなりお腹も膨れたのか、非常に満足そうな表情を浮かべていた。
「なら、食後のデザートといこうか」
そんなシクウに、クリスタは不適な笑みを浮かべながらケーキの載った皿を差し出した。
「こちらのケーキもカスミさんが?」
「はいっ。 普通の料理よりも、こういう甘いものを作る方が得意なくらいです」
「それは素晴らしいですね。 甘味を作れる者は貴重ですから」
「ふふ、シクウよ。 これはただのケーキじゃない…… いや、これが本当のケーキだ」
「まさかこちらも……? では、いただきましょう」
クリスタの自信ありげな言葉を聞いたシクウは、期待に胸を膨らませながらケーキをフォークに載せ、口に運んでいった。
「……っ!? こ、これはっ…… なんという……!」
すると、シクウの目が今日一番の大きさに開かれ、一口目をゆっくりと飲み込んだら、確かめるようにもう一度ケーキを口に運んでいく。
「……素晴らしい。 私の商会では貴族のパーティーに出すケーキを取り扱う事も多々ありましたが、これまで私は偽りの商品を提供してしまっていたようです」
シクウはそう言うと、カスミの方へ向き直った。
「カスミさん、貴女は本当に素晴らしい料理人です。 ぜひ貴女の生み出すものを、私達の商会で取り扱わせて欲しい」
「はいっ。 こちらこそよろしくお願いしますっ」
シクウはもう、カスミがこの先、莫大な利益を生み出す事を確信しているようで、早速具体的な契約内容について話し始めた。
まず、カスミが作る料理のレシピや、調理道具の設計図に関する売り上げは、商業ギルドに手数料として引かれるものを除いた金額の7割をカスミに渡すという事になった。
「7割もいいんですか?」
「設計図はともかく、レシピはかなり低額で売られるので、正直そこまでの利益になりませんから、基本は考案者が多く貰える契約のことが多いです。 ただ、レシピが売れればその材料も売れますから、商業ギルドや商会はそちらで利益を出すという形ですね」
「なるほど」
そして、肝心の調味料に関しては、フィオが鑑定の魔法で作り方を調べてまとめてくれたので、それをシクウに見せてみた。
「なるほど…… かなり作るのに時間と手間がかかるものが多いですね。 原材料も市場には出回ってないものもかなりあるようです」
シクウの言う通り、例えば醤油や味噌の原材料である大豆は、こちらの世界では食材としてはあまり扱われておらず、ライスと同じように家畜の餌として扱われていたりするようだ。
名前も大豆ではなく、ビーンズと呼ばれているらしい。
「確か、ビーンズを育てている地域がありましたから、そこは掛け合いつつ、私の商会でも育てられる環境と、ビーンズを加工する工場も作らないといけませんね」
「大変じゃないですか……?」
「いえいえ、この程度は商人にとって苦労でもなんでもありませんよ。 それに、今回はその先にある利益が確実ですからね」
(凄い信頼してくれてるなぁ…… 私もできる事は手伝わせてもらおう)
商売についてはシクウに完全に任せる形になるので、ちょっと心苦しい気もしてしまうカスミだったが、その分、利益に繋がるように頑張ろうと、内心決意するのであった。
「調味料の利益分配については、商品によっても色々と変わりそうなので、量産の目処が立ち次第、またお話させてください」
「分かりました」
「なるべく早く…… そうですね、2ヶ月後くらいには売り出したいところです」
(そんなに早く? ……いやでも、魔法を駆使すればいけるのかな? 工場の建設も、レネさんみたいな物作りが得意な人がやったら、地球で同じものを建てるのとは比にならないくらいのスピードで建てられたりするのかも)
どうしても前世の常識に引っ張られてしまうカスミだったが、凄腕の商人であるシクウが言うならそうなんだろうなと、自分を納得させた。
「あ、そうだカスミさん。 これは提案なのですが、そのケーキ作りの腕を振るって頂きたい場所がございまして」
すると、シクウが何やらそんな風に話を切り出した。
「と、言いますと?」
「実は来月に、この国の第二王女様の12歳の誕生日を祝うパーティーが王城で開かれまして、我が商会はそこで出す料理やケーキに使う食材を用意する予定だったのですが、いっそのことカスミさんのケーキをそのパーティーに提供するのはどうかと思いまして」
「えぇ……!? お、王族の方々がいるパーティーに、ですか……?」
「はい。 なんなら料理の方も監修したっていいかもしれませんね」
「待て待て、シクウ」
そうカスミに言ってきたシクウを、横で話を聞いていたクリスタが止めた。
「そんな急に王族だのなんだの言われたら、カスミが困るだろう。 大体、今回の話もカスミを表に出したくないからお前に話を持ちかけたのに、王族の誕生日パーティーのケーキなんて作ったら、カスミが目立ってしまうだろう」
「ああ、確かにそれはそうですね。 すみません、あまりにカスミさんの料理に魅入られてしまい、私も興奮してしまったようです」
「い、いえ、大丈夫ですよ」
(うーん、でも、良い話なのかも…… この世界ってインターネットとかないから、流行りはほぼ全て貴族の人が発信するものらしくて、美味しい料理とかケーキを宣伝するなら、またとないチャンスなのかも……)
そう内心で思う気持ちはあるものの、やはり目立ってしまうとクリスタ達との生活が脅かされかねないので、カスミとしても二つ返事で了承する訳にはいかなかった。
「ですが、これだけの料理や調味料が世に出たら、確実にカスミさんはいつか日の目を浴びてしまうと思います。 完全に隠し切る事は不可能かと」
「む…… 確かにそれはそうだな……」
シクウの言葉を受けたクリスタは、その可能性を否定できずに苦い顔をした。
「ですから、私の商会だけではなく、いっそのこと王家の方々に後ろ盾になって貰えば、貴族の方々からの干渉も防げます」
「そんなに上手くいくか?」
「カスミさんの料理やケーキを手土産にすれば、確実に後ろ盾を得る事は可能…… なんなら、こちらから条件を付ける事だって出来ると思います」
「……それなら、悪くないな」
先程までは否定的だったクリスタも、王家を味方にできるメリットを考えると、悪くないかもしれないという思考になり始めた。
「どうでしょう、カスミさん? もちろん、カスミさんの素性を明かすのは、ごく一部の人に留める事を約束します」
「……分かりました。 シクウさんにお任せします」
「ありがとうございます。 では、王家の方々にカスミさんの事を伝え、できるだけ早く準備が始められるよう、尽力致します」
そんな大きな仕事の事も含め、その後もカスミはクリスタとシクウと様々な事について話し合うのであった。
あなたにおすすめの小説
銀髪幼女のスローライフ旅 ~お料理バンバン魔法バンバン~
滝川 海老郎
ファンタジー
銀髪で生まれた主人公レナは辺境の村で育った。そこで出会ったのがボーパル・バニーのレクスだった。
レクスは村でなかなか受け入れられず、レナは二人で村を出ることに。
レナの料理が好きなレクス。二人はご飯を食べながら進んでいく。
近くの町について冒険者を始めたレナに、フィオが加わった。
レナとフィオは色々あってレッサー・ワイバーン退治に参加、見事討伐する。
カレーもどきを振舞って、仲間内では有名になっていく。
でも、目標はのんびり生活できるスローライフを目指すこと。旅をして安住の地を探すのだ。
家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る
りーさん
ファンタジー
アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。
その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。
そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。
その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。
空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される
木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。
婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。
やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。
「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。
契約結婚から始まる公爵家改造計画 ~魔力ゴミ令嬢は最強魔術師の胃袋をつかみました~
夢喰るか
恋愛
貧乏男爵令嬢エマは、破格の報酬に惹かれて「人食い公爵」と恐れられるヴォルガード公爵邸の乳母に応募する。そこで出会ったのは、魔力過多症で衰弱する三歳のレオと、冷酷な氷の魔術師ジークフリート。前世の保育士経験を持つエマは、自身の「浄化魔力」で作った料理でレオを救い、契約結婚を結ぶことに。エマの温かさに触れ、ジークフリートの凍りついた心は次第に溶けていく。
本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます
青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。
藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。
溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。
その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。
目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。
前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。
リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。
アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。
当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。
そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。
ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。
彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。
やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。
これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。
婚約破棄されたので田舎の一軒家でカフェを開くことにしました。楽しく自由にしていたら居心地が良いとS級冒険者達が毎日通い詰めるようになりました
緋月らむね
ファンタジー
私はオルレアン侯爵令嬢のエルティア。十四歳の頃、家の階段を踏み外して頭を打った衝撃で前世を思い出した。
前世での名前は坂島碧衣(さかしまあおい)。祖父母の引退後、祖父母の経営していた大好きなカフェを継ぐつもりでいたのに就職先がブラック企業で過労の挙句、継ぐ前に死んでしまった。そして、自分が息抜きでやっていた乙女ゲーム「星屑のカンパニー」の悪役令嬢、オルレアン侯爵令嬢エルティアに転生してることに気がついた。
エルティアは18歳の舞踏会で婚約破棄を言い渡される。それだけならまだしも、婚約者から悪役令嬢として断罪され、婚約破棄され、父親から家を追い出され、よからぬ輩に襲われて殺される。
前世だってやりたかったことができずに死んでしまったのに、転生してもそんな悲惨な人生を送るなんて、たまったもんじゃない!!それなら私は前世継ごうと思っていた祖父母のやっていたようなカフェを開いて楽しく自由な人生を送りたい。
そして私は王都と実家を飛び出して森が開けた自然豊かな場所で念願のカフェを侍女のシサとともに開くことができた。
森が開けた自然豊かな場所で楽しく自由にカフェをやっていたら、個性豊かなS級冒険者たちが常連として私のカフェにやってくるようになりました!
無能だと追放された「雑用係」のハル、現代の知恵(ライフハック)を駆使したら、呪われた魔王城が聖域化して伝説の賢者と呼ばれ始めた
ユネ
ファンタジー
「君のような無能な掃除係は必要ない!」
勇者パーティーからゴミのように捨てられた雑用係のハル。だが彼女には、前世で培った【家事のプロとしてのライフハック】があった。
移り住んだのは、誰もが恐れる『呪われた魔王城』。しかしハルにとっては、ただの「掃除のしがいがある大型物件」に過ぎなかった!
重曹とクエン酸で呪いを浄化し、アルミホイルで魔物を除け、ジャガイモの皮で伝説の鏡を蘇らせる。
魔法より便利な知恵で、お城はいつの間にか世界一快適な聖域に。
一方、ハルを失った勇者たちは、汚部屋と化した拠点と自らの無知に絶望することになり――。
これは、一人の「掃除好き」が知恵と工夫だけで異世界に革命を起こし、最高のスローライフを手に入れるまでの物語。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!