子供の姿で転生したパティシエ、異世界で甘くて幸せな生活を送る。〜調味料や料理器具を生み出す力で、食文化を発展させます〜

かむら

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#27 レッドスネークを食べてみよう

「……って、感じになりました」

「ほえー、なんか面白い事ににゃってきたにゃー」


 シクウとの邂逅から時は過ぎ、現在カスミは夕食の準備をしており、その話の顛末をローニャに話していた。

 あれからシクウは、カスミとクリスタとの話し合いが一段落すると、時間が惜しいと言わんばかりにそそくさとこの家を後にした。

 ただ、その表情は非常に明るく、大きな商売のネタができたことで、商人としての血が騒いでいるように見えた。

 とりあえずカスミがこれまで使った調味料の作り方をまとめた紙を渡したので、商会の方で試作して、できたら持ってくるとのこと。


「大丈夫ですかね…… 貴族どころか王家の方々と会うなんて……」


 そんな中、カスミはカスミで、王家の者達には一度会って話をした方が良いとシクウに言われた事で、ちょっと不安になっていた。

 後ろ盾になってもらう以上、流石に顔合わせはしておいた方が良いだろうという理由は分かるのだが、


(日本で言えば天皇様に会うようなものだよね…… うぅ、想像するだけで胃が痛い……)


 内心ではもうかなり不安が募っていた。


「そんな心配しなくても、この国の王家の人達は良い人ばっかだから大丈夫にゃー」

「えっ、ローニャさん、会ったことあるんですか?」

「うんにゃ。 Sランク冒険者パーティーっていうのは3国以上の王の承認がないと認められにゃくて、ビフレストはこの国と帝国、あと森林国からの承認を受けてSランクになったにゃー。 だから、この国の王様と王妃様には会ったことあるにゃ」

「凄いです……! というか、ビフレストって、Sランクなんですね……!」

「ありゃ、言ってなかったにゃ?」


 実はカスミはビフレストやそのメンバー達のランクを詳しくは知らなかった。

 別に聞く必要性も感じなかったので、聞いてこなかったのだが、高いんだろうなという予想はしていた。


「ちなみにSランクの冒険者パーティーってどれくらい凄いんですか?」

「世界でうちだけにゃよ?」

「ええっ!?」

「そもそも、冒険者のランクは50年くらい前までAまでしかなかったにゃ。 けど、クリスタとかフィオとかアネッタが他のAランクの冒険者とは格が違い過ぎて、同じなのはどうなんだってことで、Sランクができたにゃ」


 まさかの事実を聞いて、カスミはかなり驚いてしまう。


「Sランク冒険者パーティーっていうのは平均戦闘力がSランクって事だから、まぁ他には当分出てこないにゃー。 個人でもSランクの冒険者なんて、クリスタとフィオとアネッタの他に片手で数えられるくらいしかいにゃいし、そいつらがパーティー組んだらワンチャンスって感じにゃね」

「レネさんとローニャさんはSじゃないんですか?」

「レネとローニャはAランクにゃよー。 レネはSに片足突っ込んでるけど、ローニャは斥候だから、クリスタ、フィオ、アネッタには天地がひっくり返っても勝てないにゃー」

「でも、斥候役でAランクというのも凄いんじゃ?」

「実はローニャだけにゃ!」

「わぁ、凄いですっ!」

「ふふーん、もっと褒めるがよろしいにゃー♪」


 実際、比較対象のクリスタ、フィオ、アネッタの戦闘能力が抜けているだけで、ローニャも他のAランク冒険者と真っ向勝負できるくらいには戦闘能力があったりする。

 その事をカスミが褒めると、ローニャは満足そうなドヤ顔と満面の笑みを見せた。


「ところで、カスミは何作ってるにゃ?」

「今日はレッドスネークのお肉を使った料理を作ってます」


 そんな風に色々とローニャと話している間にも、カスミの手はちゃんと動いており、今は食べやすいサイズに切ったレッドスネークの肉を、フライパンで焼き上げているところだった。


「お、レッドスネーク良いにゃー」

「作っておいてあれですけど、どんな味なんですか?」

「んー、味はビッグバードに似てるけど、レッドスネークの方が少し歯応えあって、噛んでるとずっと旨みが出てくるにゃ!」

「なるほど?」

「レッドスネークで作った干し肉とか結構美味しいにゃー」

(旨みの強いささみ肉って感じかな? でも、焼いてる感じ、ささみ肉と違って結構しっとりしてて美味しそう)


 そんな風に思いつつ、レッドスネークの肉を焼き色がつくまでフライパンで焼いたら、皿に盛り付ける。

 そしてその上に、みじん切りにしたネギと白だし、レモン汁、オリーブオイル、砂糖、黒胡椒、おろしニンニクというたくさんの調味料を合わせた旨みたっぷりのネギ塩ダレを回しかければ、今日のメイン料理の完成だ。


「相変わらずカスミは色んな調味料使うにゃー。 ごちゃごちゃにならないにゃ?」

「大体どういう組み合わせが美味しいかを頭に入れておけば、やった事ない組み合わせでも美味しくできたりしますよ。 今回作ったこのネギ塩ダレも、割と目分量で作りましたし」

「凄いにゃ!」

「えへへ…… ありがとうございます」

(そういえば、シクウさんとの話の中でも軽く言われたけど、料理人の育成もして欲しいらしいんだよね。 少なくとも、王城でのパーティーで私が考えた料理を作れる人が何人かアシスタントとして居ないと、百何十人規模のパーティーで出す量の料理は賄えないし……)


 流石のカスミでも、一度に作れる量は限度があるし、できればそのパーティーでは、本職であるデザートやケーキ作りに専念したいと思っている。

 その辺の事もなんとかしないと、カスミがパーティーに携わっても中途半端になってしまいかねないだろう。

(携わるならもう全部のメニュー考えたい…… デザートとかケーキだけレベルが高くて、他の料理はあんまりってなるのは悲しいし…… って、今考えてもどうにもならないか)


 幸いまだ時間はあるので、その辺は上手くシクウが調整してくれるだろうと、カスミは考えるのをやめ、とりあえず今は美味しい夕食を楽しむべく、出来上がった料理をリビングに運んでいった。


「今日のご飯はネギ塩ダレをかけたレッドスネークです」


 そんな夕食のメインに当たる皿の説明をカスミがすると、早速皆、メインのレッドスネークを口に運んでいった。


「んー! このタレ美味しいー!」

「野菜が使われたタレなのに、肉と合うにゃ!」


 レネとローニャがそんな風に言う通り、旨みの強いレッドスネークに、更なる旨みを持ったネギ塩ダレが絡まる事で、一口食べるだけで口の中には旨みが爆発的に広がっていった。


(蛇肉って聞くとちょっと怖さもあったけど、すっごい美味しい! 全然食べやすくて、人気があるのも分かるなぁ)


 肉屋でレッドスネークの肉が人気だと聞いた時は、ちょっと疑っていたカスミだったが、いざ食べてみるとレッドスネークの肉はとても美味しかった。

 先程ローニャが言っていた通り、歯応えがありつつ、噛めば噛むほど旨味が出てきて、正直焼いたものをそのまま食べるだけでも十分美味しそうだなとカスミは思った。

 こういった未知の食材がまだまだこの世界にあると思うと、カスミはなんだか嬉しい気分になり、もっとこの世界ならではの食材を食べてみたいと切に感じた。


「あ、そういえば、ライスの方が今回炊いた分でもうほとんど無くなっちゃったんですよね……」

「あんなに買ったのに、もう無くなったのか」


 そんな美味しいレッドスネークを頬張りつつ、カスミがそう言うと、ライスを買った場面を見ていたクリスタがそんな風に言う。
 

「アネッタが食べ過ぎるから~……」

「お前らもめっちゃ食ってるだろ」


 フィオの責めるよう発言を受けたアネッタは、即座にそう反論した。

 確かにアネッタが一番食べるのはそうだが、他の面々も毎食必ずお代わりするぐらいなので、かなりの量を買ったはずのライスはもう底をつきかけていた。
 

「なら、その内カスミは忙しくなるだろうから、明日にでもこの前の少女…… マキだったか? 彼女の住む村に行こう」

「私も行って良いですか?」

「もちろん。 ずっと家にいるのは健康に悪いからな」

「ありがとうございます!」


 という事で、急だが明日は少しお出かけをする事となったのであった。
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