子供の姿で転生したパティシエ、異世界で甘くて幸せな生活を送る。〜調味料や料理器具を生み出す力で、食文化を発展させます〜

かむら

文字の大きさ
31 / 51

#31 帰宅

投稿したつもりになってました^^;



***



「ガリュウさん、ありがとうございました」

「グル♪」


 メッコ村を訪れていたカスミ達は、ガリュウに乗ってサミアンの街に戻ってきており、そこでカスミはガリュウに別れの挨拶をしていた。


(出会って最初は怖かったけど、ガリュウさんとっても良い子だな)


 今も別れの挨拶をするカスミに、目線を合わせるように頭を下げ、別れを惜しむような素振りをガリュウは見せてくれていた。


「じゃあな、ガリュウ。 そう遠くない内にまた呼ぶ」

「グルゥ」


 そして、アネッタとも別れの挨拶をしたガリュウは、大きな翼をはためかせて飛び立ち、自分の巣へと帰っていった。

 カスミ達もそれを見送り、ガリュウの姿が見えなくなったら、自分達も家へと帰る。


「楽しかったですね、メッコ村」

「そうだな。 何よりカスミが楽しそうで良かったよ」


 楽しかったと言うカスミに、クリスタが微笑みながらそう返す。
 

「そんなに楽しそうでしたか?」

「村人達に女神と呼ばれて楽しそうにしてたじゃないか」

「あ、あれはそういうのじゃ……!」

「良いじゃねぇか、女神カスミ様」

「あ、アネッタさんまでぇ……! もうっ……!」


 そんな風にクリスタとアネッタにからかわれたカスミは、ぷんすかとちょっと拗ねた表情を浮かべつつ、パーティーハウスへの道のりを早足で進んでいった。

 それから程なくして、パーティーハウスに辿り着いたカスミがドアを開けると、レネが出迎えに来てくれた。


「あ、おかえりカスミちゃん!」

「ただいまです、レネさん」

「よっ!」

「わぁっ……!」


 すると、出迎えるや否や、レネはカスミの事をお姫様抱っこしてきた。


「んー、カスミちゃん可愛いねぇ」

「あ、ありがとうございます? 何かありましたか?」

「ううん、何もなかったけど、カスミちゃんが恋しくて!」


 カスミの問いかけに、レネはそんな風に答えた。
 

「朝、出る前にも会いましたけど……」

「いやー、そうなんだけど、ここ一週間くらいはカスミちゃんがいるのが当たり前で、ただそれでも、カスミちゃんが出て行ってからすぐは凄い寂しいって感じじゃなかったんだけど、お昼ご飯食べた時にねー」

「あれ、焼いて食べるだけの作り置きをしてたはずですけど……」

「うん、焼いて食べたよ! 自分で作ったとは思えないくらい美味しかった! ……でも、何だか物足りなくてさー」

「物足りない、ですか?」

「温かみが違うというか、カスミちゃんの料理をカスミちゃんと食べるのが幸せな事だったんだなって思ったんだー」

「なるほど……」

「それを自覚したらカスミちゃんが恋しくなっちゃったんだよー」


 レネはそう言って、カスミに頬擦りをしてきた。


「そんな風に思ってもらえて嬉しいですっ。 もう晩ご飯食べましたか?」

「ううん、帰って来るかもと思ってたから、食べてない!」

「ふふ、じゃあ、一緒に食べましょう?」

「うん!」


 レネと心温まる会話をしたカスミは、一度地面に降ろしてもらって、リビングへと向かった。


「うにゃ~……」

「……zzz」


 するとそこには、リビングのテーブルに突っ伏して、うにゃうにゃ言っているローニャと、気持ちよさそうにソファで寝ているフィオがいた。


「ローニャさん、ただいまです」


 フィオはぐっすり眠っているので、先にカスミはローニャにただいまを伝えた。


「あ、カスミ、おかえりにゃ~……」

「何だか元気ないですね?」

「うっ…… そのぉ…… いっぱい負けたのにゃ……」

「あー……」


 どうやらカスミが留守の間にギャンブルに行き、そこで大敗して帰ってきたようだ。


「最近調子良かったのに、すっからかんにゃー……」

「ま、まぁ、そんな時もありますよ。 美味しい晩ご飯作るので、元気出してください」

「ありがとにゃ~」


 ローニャとそんな会話をしたカスミは、一応今日メッコ村から帰ってこなかった時のことを考えて作っておいた、ビッグバードのもも肉を、はちみつ、粒マスタード、醤油で作ったタレに漬け込んだものを焼き、今日買ってきたライスを炊飯器で炊いていく。


(やっぱりこの一瞬で炊ける炊飯器は便利だなぁ。 ライスはきっとこれから普及していくから、炊飯器も売れるといいな)


 流石にこのパーティーハウスにある、一瞬でライスを炊ける機能はそうそう付けられないだろうが、それでも一度に沢山ライスが炊ける炊飯器は、今後のライスの普及によってどんどん売れるだろう。

 これまで苦労をしていたメッコ村のためにも、ライスがなるべく普及することを心から願うカスミだった。


「皆さん、できましたよー」


 それから、作り置きしてあった事もあって割とすぐに出来上がった夕食を、リビングのテーブルまで運んでいった。


「今日はビッグバードをハニーマスタードで味付けしてみました」

「甘い匂いする~……」


 夕食を始めるタイミングでフィオも起きてきて、黄色みがあるソースの甘い匂いを嗅いで不思議そうな顔をしていた。

 ただ、カスミが作るものが見慣れないのはもう当たり前みたいになっており、とりあえず皆、ハニーマスタード味のビックバードを口に運んでいった。


「ん~……! 甘めだけどなんか独特な風味がして美味しい~……!」


 マスタードは割と好みが分かれるので、受け入れられるかカスミは少し不安もあった。

 が、今感想を漏らしたフィオを始め、ビフレストの面々は美味しく食べられるタイプだったようで、用意された分をどんどん口に運んでいってくれた。


「この甘い味は砂糖じゃないにゃ?」


 そんな中、ローニャがハニーマスタードの砂糖とは違う甘さが気になったようで、カスミに質問をしてきた。


「こちらは、はちみつを使ってます」

「はちみつにゃ?」

「こっちには無いんですかね?」

「聞いた事にゃいにゃー」

「私の世界にいた蜂という虫が作るものなんです。 こっちにはいませんか? 体が黄色と黒色で、お尻に針を持った虫なんですけど」

「あ、ニードルビーにゃ?」


 どうやら、蜂に似た魔物がいるようだ。
 

「あいつらがはちみつ持ってるにゃ?」

「私も詳しくは知らないんですけど、巣に溜め込むみたいですよ」

「へー、あいつらの巣を見つけたら、すぐ燃やすか壊すのが当たり前だから、巣を観察した事無かったにゃ」

「そうなんですね?」

「デカくて一杯いると厄介にゃから、巣を作って群れをなす前に壊すのにゃ」

「えっ、大っきいんですか?」

「カスミくらい大っきいにゃ」

「えぇぇ……」


 子供くらいの大きさがある蜂がこの世界にいると聞いて、カスミはちょっとゲンナリとした気分になった。


「でも、美味しい甘いもの出すなら、今度見かけたらニードルビーだけ倒して巣は壊さずに持って帰ってくるにゃ!」

「わ、分かりました」


 この世界には色んな魔物が居るんだなぁと、改めて思いつつ、できれば大っきい虫系の魔物は見たくないなとも思うカスミなのであった。
感想 9

あなたにおすすめの小説

契約結婚から始まる公爵家改造計画 ~魔力ゴミ令嬢は最強魔術師の胃袋をつかみました~

夢喰るか
恋愛
貧乏男爵令嬢エマは、破格の報酬に惹かれて「人食い公爵」と恐れられるヴォルガード公爵邸の乳母に応募する。そこで出会ったのは、魔力過多症で衰弱する三歳のレオと、冷酷な氷の魔術師ジークフリート。前世の保育士経験を持つエマは、自身の「浄化魔力」で作った料理でレオを救い、契約結婚を結ぶことに。エマの温かさに触れ、ジークフリートの凍りついた心は次第に溶けていく。

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

空港清掃員58歳、転生先の王宮でも床を磨いたら双子に懐かれ、国王に溺愛される

木風
恋愛
羽田空港で十五年、黙々と床を磨いてきた清掃員・田中幸子(58)は事故死し、没落寸前の子爵令嬢エルシアとして転生する。 婚約破棄の末に家を追われた彼女が選んだのは、王宮の清掃員――前世の技で空気まで変わるほど磨き上げていく仕事だった。 やがて母を亡くした双子王子王女に懐かれ、荒れた執務室の主である喪中の国王とも距離が縮まり……。 「泣くなら俺の胸で」――床も心も磨き直す、清掃令嬢の溺愛成り上がり。

「お前の味付けは田舎臭い」と追放された宮廷料理番——翌月の晩餐会で、王宮から料理が消えた

歩人
ファンタジー
マルガレーテは宮廷料理番の家系に生まれた令嬢。「素材の声を聴く」調理法で、食べる人の体調に合わせた料理を作る。 だが婚約者フリードリヒは流行の分子美食学に傾倒し、彼女の料理を「田舎臭い」と蔑んだ。 追放されたマルガレーテが去った翌月の大晩餐会、新しい料理人の華やかな料理は見た目だけ。 賓客は一口食べて顔をしかめ、「前の料理番はどこだ」と問う。 一方マルガレーテは、小さな食堂で「本物の味」を求める人々に囲まれていた。 「お口に合わないのでしたら、どうぞお帰りくださいませ」

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

「子守唄しか能がない女は要らぬ」と追い出された令嬢——3日後、王宮から眠りが消えた

歩人
ファンタジー
リディアは「眠りの歌い手」——声で人の精神を調律し、安らかな眠りに導く宮廷職。 王の安眠、騎士団の心的外傷ケア、外交使節の睡眠管理まで、宮廷の「夜」を支えてきた。 だが第二王子オスカーは嗤った。「子守唄しか能がない女は要らぬ」 リディアが王宮を去って3日後、王宮から眠りが消えた。 誰も眠れない。王も大臣も近衛騎士も。不眠は判断力を奪い、外交を狂わせ、王国を蝕む。 辺境で新たな居場所を見つけたリディアに、王宮から帰還要請が届く。 「おやすみなさい——はもう、言いません」

ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした

暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。 役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。 だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。 倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。 やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。 一方、病の裏で糸を引いていたのは………。 “無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。

無能な悪役に転生した俺、10年間で集めたハズレスキル4000個を合成したら最強になっていた

向原 行人
ファンタジー
十八歳になると神様からスキルを授かる世界を舞台にした、アポカリプス・クエスト……通称アポクエというゲームの悪役に転生してしまった。 俺が転生した悪役アデルは、この世界では珍しいスキル無し……神様から加護を授けられなかった。 そのため無能呼ばわりされた挙句、辺境に追放されてゲーム序盤に死んでしまう。 幸い、ゲーム開始の十年前……八歳のアデルなので、そんな運命を変えるべく、剣や魔法の腕を磨く。 更に、無能呼ばわりされない為に、ゲーム知識で隠しアイテムを手に入れてスキルを授かるのだが……授かったのは「ハズレスキルガチャ」というスキル。 一日一回ガチャでハズレスキルが貰えるらしい。 いや、幾らハズレスキルがあっても意味がないと思うのだが、もしかしたらレアスキルが当たるかも……と、十年間ガチャを回す。 そして約四千ものハズレスキルが貯まったが、一つもレアなスキルは出なかった。 だが、二つ目の隠しアイテムで、「スキル合成」というスキルを授かり、四千個のハズレスキルを組み合わせ、新たなスキルを作れるようになった。 十年間の努力とスキル合成……この二つを使って、末永く暮らすんだっ!