少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo

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第492話 貴族と根回し<問答騎士ガレティレ派遣>

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「この私にこんなことをして!!父上が黙ってないぞ!!?」
「いいか!?戦争だ!!」
「こんなちっぽけな領地、全員まとめて奴隷落ちにさせてやる!!!聞いてるのか!?ガキがっ!!!」

「ん、抵抗するなら殴ってもいいよ」

「ひっ」

「わかりました」


騒いでいる貴族の子弟だけど貴族ってこんなのばっかりだなぁ・・・

地球だと『人々の代表』って言うものは慕われたり、成果や結果を出して頭角を現し、人気や人望ってのがあったりするものだと思う

権力であったり財力だったり人徳だったりと人を動かせるだけのなにかしらの力がその人にある


しかし、神様が身近にいるこちらの世界では直接的な力が物を言う、加護や恩寵そして血統を持って人を統治する


魔物や魔族、竜のような強い外敵がいるのだ

人々の生活を脅かす敵から領地を護る者こそが貴族

強いものが居ないと人の生活は成り立たないからこそ貴族には権力が集まる

平民の幸せを考えるわけではない、平民の上にいる上位存在、それが貴族

戦って、力で存在価値を示す生き物・・・だから、民のことを考えないものがとても多い

貴族にとって民は同じ人間ではない、経済動物である

加護を持たない、自分たちよりも下等で愚かな生き物

粗雑に扱っても、壊れても良い

命を自由にする権利が自分たち貴族にこそある

民など自分たちに奉仕するために存在する下等な生き物

だから暴力を振るうのは暴力ではない、彼らにとって正当な権利である


貴族にも色々いて一括りには言えないがやはり基本わがままで好き勝手する

中には彼ら貴族の中には人々の代表として魔物と戦うことこそ尊いと考える人もいるが逆に戦いを嘆いてその境遇に咽び泣くようなものものもいる

加護の影響なのか、本人の資質なのか変なのも多い

・・・勿論「貴族こそが真なる人間であり、その他は貴族に仕えるだけの玩具」なんて声高に言うものが基本のどうしようもない連中だ

人々を救おうと考えるレアナー教とは根本的に気が合わない


・・・・・本当に、本当に彼らは厄介な存在である




レアナー教国に【転移】してエッサイに事情を話した


「なるほど、聖下はそれなりの対処をお望みなのですね?」

「うん」

「わかりました、ガレティレ率いる神聖騎士団第二十八騎士団を領地に派遣しましょう」

「僕が連れて行こうか?転移ですぐだし、あれ?ガレティレもっと別の数字じゃなかったっけ?」

「ガレティレは使いにくいので別の部署を任せています」


ガレティレは武勇に優れるが問答騎士と呼ばれるだけあって戦うときには自分が納得してから戦う

だから上の立場となるとすごく使いにくく、ザウスキアとの戦争も城を守っていたのだけど本国に襲撃はないし勿体ないと新人教育を任せているそうだ

ちょうど新人教育にもなるし、セーセルリーのいる領地なら鰐竜相手に修行もできそうだと一石二鳥や三鳥も狙っている

聖王は完璧に政務を全うしていたがそれに甘えていて以前から甘い統治体制があるとかで現在エッサイは改革している最中だそうだ


<わー、おいしいですぅ>

<こっちのこれもおすすめですぅ>


レアナー様は本体のレアナー様と一緒にお菓子を食べている

お皿に盛られているのは香ばしそうな色をしたクッキーだ

疲れているエッサイや他の神官にあげるためにも机でつまみやすいクッキーをだした

他の神官にもあげるために机の上に出していく


もうちょっとお値段のするやつもあったのだけどレアナー様には「お値段」という価値観はほとんど関係無い


僕が値段を気にするようになるなんてな・・・信徒に「良いものを食べて」と気を使われることが増えた

だからだろうか、レアナー様にも少しでも良いものを食べてもらいたくてそう思ったのだけど・・・そもそも美味しいものが有り余って、選ぶことができるなんて贅沢だな

なんだか変な気もする


<これもおいしーですぅ>

<皆も食べるといいですぅ>


その一言で城中はお茶会となった

僕の守護神であるレアナー様と、本体であるレアナー教国を護るレアナー様は同じくその小さな体で美味しそうにクッキーを食べている


「これは・・とても美味しいですね」

「ジンジャークッキーだね、しょうがだったかな」

「ほほう」


エッサイは常に怒っているような神経質そうに見えるがちゃんと話せばちゃんと通じる

旅の仲間や英雄というのは話しても言葉が通じない人も居る・・ライオン丸やニロン、ダリアは今頃なにやってるかなぁ・・・


ガレティレと100人ばかりを【転移】で領地に運ぼう


「何故、その地を護らなければならないのでしょうか?」

「貴族によって僕の領地は虐げられている、瘴気にさらされて瀕死の人々を僕が治した途端に連れて帰ろうとした」


大きく禿げ上がったエッサイの頭に血管が浮き出た

エッサイは情に厚いし、正しいことには突き進む

間違っていると自分で判断すれば上司であっても逆らってくる

こういう性格だからこそ神の力を借りる【神の裁き】が得意なんだと思う


「更に、僕の子供となった人たちに対してその場で杖刑にし、娼館に売るとまで僕の目の前で言い放った」


眼からビームを出しそうなぐらい怒っている


「<わかりました、このガレティレ、その地を護るべく、全力を尽くしましょう>」

「全力じゃなくてもいいから、その地には魔物もでるし新兵の訓練も兼ねて欲しい」


全力なんて尽くされるとその貴族の親にまで殴り込みをしかねない


「魔物とはどういったことでしょうか?」

「エッサイに聞いてみて」

「わかりました」


エッサイに任せられてよかった

一応他国の話だし派兵は良くないらしいが・・・あそこの戦力では最悪の場合に領民を護ることが出来ない

軍隊を連れて行くのに『派兵』は駄目だけど『神殿の建築と魔物の駆逐』という名目であれば問題ないそうだが・・・何が違うのかさっぱりわからない

エッサイは悪い顔をしていたしきっと色んな意味があるのだろうな


「聖下、そういえば余った素材についてですがようやく完成したそうなので後で聖域に取りに行ってください」

「素材?」

「見ればわかるかと」

「・・・・・?」






―――――・・・・さすがの僕もあんな物が作られていたなんて驚いた・・・・・うん、いや、キモいというのが正しいのだろうか?

かなりのダメージを受けたがちゃんと受け取った

代わりに神様たちに大量の貢物を求められたので寄付しておく

もう布団ですぐにでも寝たかったし好きにして欲しい

あ、そうだ

僕の好きなメロンソーダもちゃんとゴブレットで三杯リュートギーン様に奉納した


<ウムウム、ヨイゾ>


リュートギーン様はルービックキューブのような姿の神様だ

ゴブレットの中に入って・・回転している・・・これは飲んでいるのかな?

記憶や知識を司る神様のうちの一神で、加護を授かることで魔力の使える量が増えるのと、勉強の効率が良くなる

ユーレウラギス神はレアナー様と同じぐらいの僕に加護を授けてくれるけど・・やっぱり居ないや


「これ、ユーレウラギス様にも渡しといてくれます?」

<儂が渡しといてやろう!>
<いやいや私、仲良いから持っていきますよ、ふふふふ>
<コルルルル!>


「・・・・・」


ちゃんと持っていってくださいよという意味も含めてお供えの量を増やしておく

僕も昔よりは色々考えて行動するようになったな

前だったら仲間連れて殴り込みに行くこともあったのに比べると成長したのかもしれない
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