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ありがとうのネックレス
しおりを挟む今日は特別な日。お母さんに『ありがとう』を伝える日。そう、母の日です。
「さぁ作るぞ!」里香は空色のビーズを机に広げました。この前のお年玉で買った、とっておきのビーズ。手芸屋さんで、一目で「これだ!」と、確信したのです。空色はお母さんが一番好きな色。里香はお母さんの笑顔を想像しながら、一粒一粒紐に通していきました。そして、気づいたのです。
「ビーズが足りない!」できたネックレスはスカスカ。半分くらい紐が見えています。
「どうしよう。こんなんじゃ、お母さん喜んでくれない。」里香は泣きたくなりました。すると、さっきまで里香の近くで絵本を読んでいた弟の悠が、おもちゃ箱から何かを取り出してきました。
「おねえちゃん、これあげる。」それは、紙コップとビニール袋とストローで作った、『むくむくおばけ』でした。ストローで息を吹き込むと、ビニールでできたおばけが膨らむおもちゃです。
「このストローを切ると、ビーズになるって、むっちゃんが言ってたよ!」むっちゃんは悠が幼稚園で仲良しの女の子です。
「でも、悠のおばけが壊れちゃうよ?」
この『むくむくおばけ』は悠が幼稚園で作ってきた物です。「おねえちゃん見てて!」と言って、毎日のように里香の前で膨らましていました。
「いいよ。おねえちゃんにあげる。」悠はにっこりして、里香に差し出しました。
「悠、ありがとう。」里香は悠から、そっと『むくむくおばけ』を受け取りました。それから、ビニール袋のおばけが破けないように、優しくテープをはがし、ストローを取り外しました。そして、細かく切り、紐に通しました。しかし・・
「何だか、あんまりかわいくない。」
紐は綺麗に埋まりました。けれど、里香が頭の中で思い描いていた物とは別物でした。
「お母さんもこれじゃ、がっかりしちゃう。」里香は肩を落としました。そんな里香を見て、悠は言いました。
「じゃあ、おばあちゃんに聞いてみようよ。」
おばあちゃんの家は里香の家の裏にあります。里香と悠は、困ったことや、「なんで?」があると、おばあちゃんに聞きに行くのです。「そうだね!」
ピンポーン
「はぁい。あら、里香ちゃん、悠くん。いらっしゃい。」おばあちゃんはにこにこして出迎えてくれました。
「おばあちゃん、あのね、このネックレスお母さんにプレゼントしたいのだけれど、かわいくないの。」そう言って里香はおばあちゃんにネックレスを見せました。
「そうかな?かわいいよ。」里香は首を振りました。
「これじゃあ、お母さん喜んでくれないよ。」
「そうかな?里香ちゃんがくれるものなら、お母さんは何だって喜んでくれると思うよ。」
「でも、もっとかわいいのあげたいの。」
「それじゃあ、おばあちゃんが良い物をあげる。」そう言って、おばあちゃんはドレッサーの中から、何かを出してきてくれました。
「わぁ、綺麗なブローチだね!」深い青色をした宝石が、キラキラと輝いていました。
「この宝石は『サファイア』っていうの。お母さんが大好きだったブローチだよ。」
「おばあちゃん、ありがとう。」里香は針を外して、ネックレスの真ん中に付けました。
「お姫様のネックレスみたい!」
「お母さんも里香ちゃんくらいの頃、そのブローチをつけて、お姫様ごっこをしていたねぇ。」おばあちゃんは懐かしそうに微笑みました。
家に帰ると真っ先にお母さんの元へ。
「おかあさん!これあげる!」里香はネックレスを差し出しました。
「まぁ!素敵なネックレスね!」
「この空色のビーズは里香の。それから、ストローのビーズは悠がくれて、それからこのブローチは」
「おばあちゃんのね。」お母さんはそっとブローチに触れました。
「そうなの。悠とおばあちゃんのおかげ!」「それから、何より、里香のね。」お母さんは里香の頭を撫でました。
「里香、ありがとう。」お母さんは優しく笑いました。
「うん!」里香も嬉しそうに笑いました。
「このネックレスには、里香や悠やおばあちゃんの、『ありがとう』が、沢山つまっているのね。」お母さんは大事そうにネックレスを首にかけました。
「お母さん、いつもありがとう!」
里香はお母さんにギュッとしました。「ぼくも~!」そう言って、悠もお母さんと里香に飛びつきました。
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