おばあちゃんはお姫様

月兎もえ

文字の大きさ
1 / 1

おばあちゃんはお姫様

しおりを挟む
 僕のおばあちゃんの話をしよう。僕のおばあちゃんはお姫様みたいなんだ。背は僕よりも小さくて、力もぼくよりも弱い。お菓子の袋も僕が開けてあげているんだよ。そして、優しくてかわいいだ。まるでおとぎ話のお姫様みたいでしょ?だからね、僕は決めたんだ。僕がおばあちゃんを守ってあげるって。
だから、僕は頑張ってきたよ。おばあちゃんと買い物に行ったら荷物を持ってあげたり、ゴンタ(ケンちゃんの家の犬だ)から守ってあげたり、いっぱい頑張ったんだ。でも、守れなかった。おばあちゃんは病気にさらわれてしまったんだ。
ママもパパも元気がなくなっちゃた。ママは僕がプリントを出し忘れても怒らない。パパはずっとボーッとしてる。僕がこっそりテレビ番組を変えても気づかないくらいだ。そんなママとパパを見てると、僕までもっと悲しくなってきた。おばあちゃんはこのままさらわれたままなのかな?
 そんな時、ママのスマホが鳴った。ちらっとキッチンを見るとママはご飯を作っていた。僕はママのスマホを持って、トイレに入った。
「もしもし。」おばあちゃんだ。
「おばあちゃん。大丈夫?ごめんね。僕守ってあげられなくて。」僕の目から涙が出てきた。今まで、泣かなかったのになんでだろう。おばあちゃんの声を聞いたら涙が止まらない。
「悠くんかい?おばあちゃんは大丈夫だから、そんなに泣かないで。」
「でも…」声が出ない。たくさん話したいのに悲しさが邪魔をするんだ。
「おばあちゃんね実は今、決闘してるんだ。」
「決闘?」ピタッと涙が止まった。
「そうだよ。病気と決闘してるんだ。大丈夫。おばあちゃんこう見えて強いから、必ず勝つよ。だから、悠くんも一緒に闘ってくれるかな?」
「うん!もちろんだよ!僕も一緒に闘うよ!僕は何をしたらいい?」おばあちゃんを守れるなら何でもする。
「まず、仲間を集めてほしいんだ。ママとパパに話してくれるかな。」
「わかった!おばあちゃん、一緒に頑張ろうね!」
僕はキッチンに駆け込んだ。
「ママ!おばあちゃん、さらわれたんじゃなかった!闘いに行ったんだよ!だから、ママ、僕たちもおばあちゃんと一緒に闘おうよ!」
ママはびっくりした顔をしてから、涙をボロボロ零した。
「今もおばあちゃんは決闘しているんだって!パパも呼んでおばあちゃんを助けなきゃ!」
僕はママにテッィシュを渡しながら言った。
「そうね。悠くん。ごめんね。ママも強くならなくちゃね。」ママはパパにすぐに電話した。そしてパパが帰ってくると、「ありがとう。」と言って、パパは僕の頭を撫でてくれた。
さぁ、作戦会議だ。僕らはおばあちゃんのために何ができるか話しあった。僕らはおばあちゃんの心が元気になる方法を考えたんだ。そしたらもっともっと力が出るはずだ!僕らが用意したのはアルバム。それから戦闘服。アルバムは僕たち家族の写真や、おばあちゃんが大切にしているお花の絵(お花はママが守ってくれてるよ)、友達のトキさんの絵、大切にしているブローチの絵とか、おばあちゃんの好きな物をたくさん詰め込んだよ。それから戦闘服はピンク色のパジャマにしたよ。おばあちゃんが大好きなピンク色。パパが一生懸命選んでいたよ。ママに「いいかげん早くしてよ」って怒られてたよ。そして、戦闘服にはおまじないをかけたんだ。庭のラベンダーの上にパジャマを広げて、ラベンダーの香りをお裾分けしてもらうんだ。おばあちゃんがよく僕らの枕カバーにやってくれてたんだ。良く眠れるおまじないなんだって。
 今は病院の中に入れないから、直接渡せないけれど、プレゼントに気持ちをいっぱい詰め込んで贈ったんだ。
「おばあちゃん、僕たちがいるよ。絶対勝ってね。」
 それから秋が来て、冬を越し、春が来た。
おばあちゃんが帰ってきた!闘いに勝ったんだ!僕はおばあちゃんに飛びついた。
「おばあちゃん、お帰り!」
ママもパパも嬉しいはずなのに泣いていた。
「ただいま。一緒に闘ってくれてありがとうね。まだ闘いは続くけれど、お家に帰れてこれたのは皆んなのおかげだよ。」おばあちゃんは僕を抱きしめてくれた。
「ううん。おばあちゃんが強いからだよ!おばあちゃんはお姫様じゃなくて、勇者だね!」おばあちゃんもママもパパも笑った。
「そうだねぇ。おばあちゃんは強いお姫様がいいかなぁ。だからこれからもよろしくね。」
「うん!僕はこれからもおばあちゃんを守るよ!」
これが僕のおばあちゃん。ねぇ、僕のおばあちゃんって素敵なお姫様でしょ?
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ナナの初めてのお料理

いぬぬっこ
児童書・童話
ナナは七歳の女の子。 ある日、ナナはお母さんが仕事から帰ってくるのを待っていました。 けれど、お母さんが帰ってくる前に、ナナのお腹はペコペコになってしまいました。 もう我慢できそうにありません。 だというのに、冷蔵庫の中には、すぐ食べれるものがありません。 ーーそうだ、お母さんのマネをして、自分で作ろう! ナナは、初めて自分一人で料理をすることを決めたのでした。 これは、ある日のナナのお留守番の様子です。

雪の降る山荘で

主道 学
児童書・童話
正体は秘密です。 表紙画像はフリー素材をお借りしました。 ぱくたそ様。素敵な表紙をありがとうございました。

うっかり素麺

はりもぐら
児童書・童話
楽しい夏休みに一つだけこまったことがある。それが素麺だ。

さっちゃんとうさこ

こぐまじゅんこ
児童書・童話
さっちゃんのドライブのお供は、ピンク色のうさこです。

まほうのマカロン

もちっぱち
絵本
ちいさなおんなのこは 貧しい家庭で暮らしていました。 ある日、おんなのこは森に迷い込み、 優しいおばあちゃんに出会います。 おばあちゃんは特別なポットから 美味しいものが出てくる呪文を教え、 おんなのこはわくわくしながら帰宅します。 おうちに戻り、ポットの呪文を唱えると、 驚くべき出来事が待っていました

クーラーくんとおばあちゃん

こぐまじゅんこ
児童書・童話
今年の夏は、とっても暑いです。 おばあちゃんは、朝、起きてすぐにクーラーくんのスイッチを入れました。

城下のインフルエンサー永遠姫の日常

ぺきぺき
児童書・童話
永遠(とわ)姫は貴族・九条家に生まれたお姫様。大好きな父上と母上との楽しい日常を守るために小さな体で今日も奮闘中。 全5話。

ヘアースタイル

こぐまじゅんこ
児童書・童話
おばあちゃんは、白髪がふえてちょっぴり気にしています。

処理中です...