少年忍者たちと美しき姫の物語

猟師町

海辺には猟師町があり、独特の活況を呈していた。
「ここらでちょっと聞き込みをする必要があるな」
十郎は初めて見た猟師町の様相に戸惑いながらも遼次と亘に告げた。
「おう。地元のことは地元だな。いきなり海賊砦に飛び込むのは迂闊だ」
遼次が頷き、亘も頷いた。
聞き込みを続けると、まずは五鬼の頭領に挨拶をという結論になった。
「それにしたっていきなり頭領に会えるわけでもあるまいよ」
遼次の言葉に十郎と亘は頷き、しばらく思案した。
「こういう町ではしょっちゅう宴会をやるんだろう。そこに紛れ込もう」
果たして宴会の夜、三人は飲めや歌えの大騒ぎの中に紛れ込んだ。
「「あああ！　キノ姉だ！　俺はキノ姉が大好きなんだぜチクショウ！」
差し出された酒を飲んだ亘が大柄な女性に抱きつき、前後不覚となった。
「おい十郎！　てめえはガキのころからまったく世話を焼かせやがるぜ！」
同様に酔っ払った遼次は十郎の胸元をつかんで説教をし始めた。