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ユエ
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「ゆっくりしていってね。お茶とお菓子もあるのよ」
十郎は見たことのない調度品や小屋の塗装の色使いに目を奪われていた。
「私はこの桜花島に長く住んでいるユエと言います。唐の国から来たの」
「唐の国?」
十郎は初めて聞く国の名前に驚き、姫は首をかしげた。
「私は聞いたことがある。この国のはるか遠くに唐国があるって」
「そう。ここからすごく遠い国よ。私は主人と一緒に海を渡って来たの」
「俺にはよくわからないが、この菓子もお茶もすごく美味い」
「それはよかったわ。主人が残してくれたものなの。一人じゃ味気なくて」
十郎も姫も、目の前の夫人が善人であるらしいことに安心した。
二人は自分たちの境遇や、この島に漂着するまでの話を婦人に語った。
「それは大変だったわねえ。でもなんだか素敵な話ね。若返る気分よ」
話を聞き終えると婦人は立ち上がり、小屋の外へ二人を招いた。
「十郎さん。ちょっと、あなたの拳術を見せて。私、興味があるの」
十郎が言われたとおりに構えてみると、婦人はくすくすと笑い出した。
十郎は見たことのない調度品や小屋の塗装の色使いに目を奪われていた。
「私はこの桜花島に長く住んでいるユエと言います。唐の国から来たの」
「唐の国?」
十郎は初めて聞く国の名前に驚き、姫は首をかしげた。
「私は聞いたことがある。この国のはるか遠くに唐国があるって」
「そう。ここからすごく遠い国よ。私は主人と一緒に海を渡って来たの」
「俺にはよくわからないが、この菓子もお茶もすごく美味い」
「それはよかったわ。主人が残してくれたものなの。一人じゃ味気なくて」
十郎も姫も、目の前の夫人が善人であるらしいことに安心した。
二人は自分たちの境遇や、この島に漂着するまでの話を婦人に語った。
「それは大変だったわねえ。でもなんだか素敵な話ね。若返る気分よ」
話を聞き終えると婦人は立ち上がり、小屋の外へ二人を招いた。
「十郎さん。ちょっと、あなたの拳術を見せて。私、興味があるの」
十郎が言われたとおりに構えてみると、婦人はくすくすと笑い出した。
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