夕日と白球

北条丈太郎

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新たなる野球部

太陽と美緒の父は激怒した

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 ……夜空は自分がどれくらい寝ていたのかわからなかった。気が付くと額には冷たい手拭いが乗せられていて、自分が和室で寝ていたことが分かった。そして股間の痛みに気付いたとき、自分が美緒の投げたスローカーブを捕り損ねたせいで庭でうずくまったことを思い出した。
「……気付いたかね? 君は夜空くんというそうだな。美緒からだいたいの話は聞いた」
 低くて威厳のある声を聞いたとき、夜空の目に映ったのはたくましい男の顔だった。
「君が美緒に野球を教えているのは許そう。だがな、交際を申し込んだのは許せん! 君は中学生で美緒は小学生だぞ! どうしてもと言うなら道場へ来い! 君の根性を見てやる!」
 男の太い腕で夜空は抱き起され、数分ほど歩かされて剣道の道場へ連れ込まれた。
「お父さん! なんで夜空くんを連れてきたの? 夜空くんは大丈夫なの? お父さん?」
 見ると道場には剣道の道着を着た太陽が座っていたが、夜空を見ると立ち上がって駆け寄った。
「太陽! 美緒はどこだ? 美緒の前でこいつをぶちのめしてやる! 美緒を呼べ!」
 ……その数分後に美緒が現れ、ちょっとした冗談を言ったのだと父親に説明したので父親の怒りはいったん収まった。だが美緒は剣道よりも野球をやりたいと言い、結局父親を怒らせた。
「野球なんぞくだらん! 太陽! 美緒! お前たちはこの道場を継ぐんだ! 野球はやめろ!」
「やめない! じゃあ剣道やめる! それから夜空くんの彼女になって家を出る!」
 美緒が叫ぶと父親は怒り余って顔が青ざめ、ふらふらとよろめいて床に倒れた。
「……ちょっと夜空くん。お姉さんが迎えに来たわよ。あらお父さん? どうしたの?」
 太陽の母親が道場に来たとき、太陽は事態を説明出来ずに困ったが、美緒はただ笑っていた。
 ……太陽の家で思わぬ騒動に巻き込まれた夜空は姉の想子の顔を見るとほっとした。
 そのとき、太陽が想子の顔をじっと見ていたことに夜空は気付かなかった。
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