魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

文字の大きさ
上 下
15 / 122

火炎魔法で港を燃やす長女メリー

しおりを挟む
ヨハマ港に案内されたメリーたちは港の一部が軍港になっていることを確認した。
「……あれは魔王軍の軍艦かい? アタシは詳しくないけど魔王軍の軍人ってのはたいてい魔族の男が仕切ってるんだろ、違うかいマリー?」
軍港に係留されている軍艦を見上げたメリーがマリーに尋ねた。
「以前はそうでしたけど今はどうでしょう。そのあたりの兵士に聞いてみましょう」
マリーが答えると、メリーは軍艦に物資を搬入中の兵士を見つけて聞いた。
「おい、お前。ジョーという魔族の男を知っているかい? 知らなければ知っていそうな偉い軍人に会わせな。断ったら燃やすよ。そこの荷物も全部燃やすぞ!」
メリーが手のひらに浮かべた大きな火の玉を見た兵士が悲鳴を上げたので近くにいた兵士たちがメリーたちのもとへ続々と集まってきた。
「なんだなんだ? 魔女たちが港に殴り込みか? いったいどういうこっちゃ!」
メリーを取り囲んだ兵士たちが銃を構えてメリーに狙いをつけたのでメリーは激怒した。
「燃やす! ファイアボール!」
メリーが手のひらから発射した火の玉が軍用物資のコンテナに直撃し、コンテナが爆発すると周囲にあったコンテナも誘爆し、あっという間に物資置き場は火の海になった。
「緊急事態発生! 港に不審な魔女たちが侵入、物資が爆破されている! 迎撃せよ!」
港中に緊急警報が鳴り、海軍の制服を着て武装した兵士たちが集結してきた。
「そこの魔女ども。今なら間に合う。魔法を使うのをやめて降伏しろ。さもなくば……」
大音量のマイクで降伏勧告されたメリーは怒りで我を忘れた。
「アタシにケンカ売るなら買ってやるよ。こんな港の一つや二つ、軽く全焼させてやる」
頭に血が上った様子のメリーを見たマリーはなだめるように声をかけた。
「姉さん、こんな港はどうでもいいからジョーのことを知っている軍人を探そう」
その間にメリーたちは海軍兵士にすっかり包囲されていたが、兵士たちの隊長らしき魔族の男がじりじりとメリーたちに歩み寄って言った。
「お前たちの目的はなんだ? 立派な魔女のようだが軍隊に恨みでもあるのか?」
「お前は魔族の男だな。ジョーという魔族の男を知らないか?」
マリーが男に聞くと、男は絶句した後に軍艦のほうへとメリーたちを誘った。
しおりを挟む

処理中です...