魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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大パニック! 魔女たちが乗り込んだ潜水艦は生物?

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「……やったな! この潜水艦ん中はばっちり空気があるぜ! 助かったなおい!」
最初に潜水艦内部に入ったシーナが喜びの声を上げるとメリーたちも一息ついて笑った。
「それは助かったけどあなたが開けた穴が心配ね。魔法で穴をふさがないと……」
マリーが潜水艦の穴を見るとその穴はじわじわと自動的にふさがっていった。
「……どういうこと? 魔法も使っていないのに勝手に穴がふさがったわ」
「姉ちゃん、この船の中にちょっとだけど魔力があるみたいだよ。気のせいかなあ?」
ミリーが言うと、マリーも精神を集中して潜水艦の中に漂う力を探った。
「魔力なんかどうでもいい! マリー、酒があるって言ったろ? どこにあるんだい?」
メリーに肩をつかまれたマリーはそれを無視し、再び集中して魔力を探った。
「みんな! やっぱりこの潜水艦の中には魔力が流れてる。魔法少女がいたら大変よ!」
漂う魔力を知覚したマリーはメリーたちに知らせ、暗い潜水艦の中を注意深く探索した。
「……さびついてるけど案外きれいな船じゃないか。これなら酒もありそうだねえ」
メリーはまったく警戒せずにずんずんと船内を探し回ったが、特に何も発見しなかった。
「……魔力は感じるけど人の気配はないわね。いったいどういうことなんだろう?」
マリーは漂っている魔力の根源を慎重に探して回ったが、思うように発見できなかった。
「……魔法少女がいやがったらアタイがぶちのめすんだけど、どこにもいねえなあ」
シーナはときおり潜水艦の内壁にパンチやキックを当てて反応を見たが何事もなかった。
「……あれ? これ何? 生きてるの? なんか動いてるみたいだね」
ミリーが入った部屋の奥にかすかな光があり、ミリーが近づくとさらに強く光った。
「やっぱり生きてる? ようし、ミリーの踊りで確かめるよ! ダンスフラッシュ!」
笑ったミリーが電流をまといながら激しく踊ると、部屋の前面にあるパネルが反応した。
「……ノラです。潜水艦ジェイを発進させますか? ご命令をどうぞ」
ミリーの目の前でパネルが話し始めたのでミリーは驚いて悲鳴を上げた。その悲鳴を聞いたメリーたちはすぐに部屋に集まり、部屋全体を調べてから話し合った。
「……この部屋は潜水艦の司令室のようね。計器みたいなのがたくさんあるわ」
「この画面がしゃべったの。ノラっていうんだって。船の名前はジェイって言ってた」
メリーたちは画面に向かってあれこれ話しかけ、潜水艦ジェイに関する知識を得た。
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