魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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潜水艦の動力は魔女たちのダンス?

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魔力炉が設置されている機関室は魔力潜水艦ジェイの胴体部中心に存在した。
「わざわざこんな殺風景なところで酒を飲めってえのかい? 無粋だねえマリーは」
バボーンと記された酒瓶を数本抱えたメリーはマリーの指示に不満を言いながら機関室内部に座り、不可思議な形状の魔力炉を眺めながらちびちびとバボーンを飲み始めた。
「……確かにお酒を飲む雰囲気じゃないわね。ミリー艦長、ちょっと得意のダンスを踊ってみない? 姉さんの気分を盛り上げましょう。シーナも一緒に踊れて?」
マリーが微笑んでミリーに言うとミリーは喜んでゆったりと踊り始めた。
「ほんじゃアタイも踊るぜ。アタイのダンスはめっちゃ激しいからテンション上がるよ」
シーナがその場でシャドーボクシングを始めるとメリーは不味そうにバボーンを飲んだ。
「……姉さん。恥ずかしいけど私は歌を歌うからお酒をもっと飲んでね」
マリーは頬を染めながら悲恋の歌を歌い始め、青い瞳にうっすらと涙をためていった。
「やめなマリー! お前の歌はいい歌だけど暗いんだよ! ジョーを思い出すだろ!」
マリーの歌を聞いたメリーは目を閉じてバボーンを一気に飲み、顔を真っ赤にした。
「う~~ん効くねえこの酒は。アタシはもう火を吹き出しそうだよ、いいかい?」
メリーに聞かれたマリーは歌をやめてうなずき、魔力炉を指さした。
「姉さん、あの役立たずの機械を燃やしてよ。景気よく燃やしてもっと飲んでください」
マリーに頼まれたメリーはにかっと笑い、大きく息を吸って赤い瞳を魔力炉に向けた。
「フルパワーでいくよ! レッドストーム!」
メリーが吹き出した猛火が魔力炉に直撃し、機関室を照らすと魔力炉が強く反応した。
「……成功だわ! 魔力炉が動き始めたみたい。司令室に戻ってノラに確認しましょう」
マリーの指示で全員が司令室に戻り、魔力炉の作動について尋ねた。
「魔力炉は現在作動中。ワイハまでの航行は十分に可能です」
ノラの回答を聞いた一同は大いに喜び、互いに抱きしめあった。
「じゃあねえノラ、潜水艦ジェイを発進させちゃって! ミリーの艦長命令だよ!」
「了解ですミリー艦長。本艦はこれより発進します」
ノラが答えると潜水艦ジェイは静かに振動し、海中を進み始めた。
「……うっぷ、アタシはもう飲めないよ。うう気持ち悪い」
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