魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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ステッキに魔力をこめて

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「行くよお前ら。最初はゆっくり飛んでやるからちゃんとついてきな。アタシは目標の居場所をだいたい把握してるからまっすぐ行くよ。はぐれるんじゃないよ」
箒に乗って勢いよく窓から飛び立ったマキは後ろで怖気づいているマオたちに言った。
「わかりました……マオ、飛びま~~す!」
おどおどしながらも決意したマオが飛び立ち、ナオとアヤも続いて飛んだ。
「よっし、しばらくは安全な地域を飛ぶから怖がることはない。ただし、鳥の怪物が一匹か二匹くらいは飛んでるかもしれない。そんときは任せるからやってみな」
マキがマオたちに言うと、怪物という言葉を聞いたマオたちは動揺してふらふら飛んだ。
「しっかり飛べよ。後ろから怪物スカルバットが来たぞ。助けないからやってみな!」
マキは言い放って加速し、あえてマオたちを置き去りにして遠くから見守った。
「スカルバットは新鮮な魔法少女の血肉が好きだからな、新米が良くやられるんだよ」
骸骨化した蝙蝠に迫られて動きが止まっているマオたちに向けてマキは笑って言った。
「ほらほら、前方と左右に散開するんだよ。敵は動きが遅いから余裕だって、早くしな」
マキは大声で指示を出し、指示を聞いたマオたちは慌てて三方向に散開した。
「よし、それでいい。敵を包囲したらステッキに魔力を込めて攻撃形態だ。早くやれ」
マオたちはマキの指示通りに動き、ステッキを攻撃形態に変形させて敵をねらった。
「上出来だ。三人で呼吸を合わせて一斉攻撃だ。機銃をイメージして撃て撃て撃て!」
言われた三人は敵をにらみ、ステッキに魔力を集中させて機銃を発射した。
「死ね! 気持ち悪いの死ね! 落ちろ! 落ちろ! 落ちろ~~!」
マオたちが撃った銃弾は敵に全弾命中し、敵は煙を上げて地表へ落下した。
「よくやった! やればできるな。お前らはなかなか優秀だぞ。でも油断すんなよ」
マキが三人に言ったとき、落ちて行った怪物スカルバットがのろのろと上昇を始めた。
「ふん、やっぱり死んでないな。とどめだ。ミサイルで木っ端みじんにしてやれ!」
マキが命令すると三人は上昇してくる敵へ向けてステッキを構えなおし、魔力を込めた。
「ミサイル撃て! 一斉発射だ! 全力でとどめを刺せ!」
「ミサイル行け! ぶっ壊せ! 爆発しろ!」
三人が撃ったミサイルはスカルバットにすべて直撃し、スカルバットの姿は霧消した。
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