魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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星空月の家で遊ぶ魔女たち

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「メリーさんにマリーさん。そんな感じで私はあなたたちの家にしばらく遊びに行ってたという話になったわ。ママは人を疑わない性格だからこの家でしばらく休んでて」
月が言うとメリーもマリーもうなずき、月の部屋で茶菓子をつまんでくつろいだ。
「しかし小さい家だねえ。マンデーはこんな家でずっと暮らしてたのかい?」
メリーが言うと月は笑い、自分の部屋を見つめてうなずいた。
「でも魔法帝国の地下街の部屋は居心地が悪かった。この自分の部屋は落ち着くわ」
「マンデーちゃん、これ何? 面白そう。ミリー見てもいい?」
ミリーに言われた月は笑い、ミリーが興味を持った本を本棚から取り出した。
「これは漫画。面白いのよ。私はこの部屋で漫画ばっかり呼んでたわ」
ミリーは渡された漫画を読んでみたが、すぐに飽きて別のものを見つけた。
「マンデーちゃん。この箱は何? 面白そう。中に何が入ってるの?」
「それはゲーム機。そこのテレビ画面で遊ぶのよ。これがコントローラー」
月はゲーム機のスイッチを入れ、テレビ画面にゲームを映して操作をした。するとミリーの目がきらきらと輝き、メリーとマリーの目も画面にくぎ付けになった。
「なんだいこれは? 潜水艦のレーダー画面に似てるねえ? 何がどうなってんだい?」
驚いているメリーの表情を見た月は微笑み、別のゲームを起動した。
「……最近私がはまってたゲームがこれなの。『魔法帝国の野望』っていうのよ」
月はゲーム画面に映った魔女のキャラクターを操作し、魔法を使って見せた。
「……すごいわね。この画面の中に別の世界があるようだわ。魔法みたい」
マリーが画面を見た感想を口にすると月はうなずき、思わず感慨にふけった。
「私はこのゲームの世界に憧れてた。人間の世界なんかつまらないからゲームの世界に行って魔法少女になりたいってずっと思ってたの。それで気が付いたら魔法帝国にいたのよ。今でも信じられないけど私は魔法少女マンデーになったんだわ」
月が遠くを見つめるように言ったとき、メリーがそわそわとして月に言った。
「頼むよマンデー。酒はないかい? 人間界の酒を飲んでみたいんだよ」
「……たぶんあるわ。パパのお酒を探してくるから待ってて」
月が部屋を出ると、メリーたちは月の部屋にあるものを片っ端から調べ始めた。
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