魔法熟女三姉妹の物語

北条丈太郎

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追い詰められた魔法少女たち

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「ミクちゃん、マキちゃん帰ってこないね。やられちゃったのかな?」
天高く上昇した魔王城から地表を見下ろしながらメグがつぶやいた。
「私はどうでもいいかな。メグちゃんもそうでしょ? 助けなかったんだしさあ」
ミクに皮肉を言われたメグはしばらく黙り込んでから再びミクを見て口を開いた。
「やられたんならしょうがないけどさ、また魔法熟女が攻めてきたらどうすんの?」
「どうしようか? なんかあのおばさんたちには勝てそうもないし、降参する?」
ミクはあっけらかんと言ってのけ、真剣な顔のメグを見て大笑いした。
「ちょっとミクちゃん。降参なんかしても私たちは魔女にやられちゃうよ! 嫌よ私」
「じゃあどうするの? メグちゃん一人で戦う? 私が見ててあげるよ。がんばって!」
ミクとメグが言い合いをしている間に魔王ドロンが起き上がり、ぼそぼそとつぶやいた。
「あのお。ワシは降参されると困るでおじゃる。作戦を考えましたからお耳を……」
「魔王ちゃんさあ、ここには私たちしかいないのに、なんでひそひそ話なの?」
そう言いつつもメグとミクは言い合いをやめ、魔王ドロンの大きな口に耳を寄せた。
「地獄耳の魔法を使う魔女もいますから慎重に内緒話でおじゃるよ。まず……」
「ちょっと魔王ちゃん、息が臭いよ。それで? それで? えっ? 本当に?」
「サファイアさまがダイビンの魔法で魔女の心に……エメラルダさまも……」
「……でも魔王ちゃん。怪物と魔女じゃ勝手が違うでしょ。本当にうまくいくの?」
「そこはワシが魔力を貸すでおじゃるよ。タイミングが勝負でおじゃる」
ミクたちが魔王ドロンと話していたとき、魔王城が大きく揺れた。
「オロロン! 魔女たちがまた来て攻撃を始めたでおじゃる! サファイアさま!」
魔王ドロンに言われたメグとミクは城の窓からメリーたちの姿を確認した。
「本当だ! 魔王ちゃん! あの青い服の魔女を狙うのね? いくわよミクちゃん!」
メグは機械の杖を構え、魔力を集中させてマリーに杖の先を向けた。
「メグちゃん、うまくいったらメグちゃんの日記を見せてね? ミク知ってるんだから」
「……えっ? ミクちゃん、このタイミングで何? 悪口なんて書いてないから!」
メグは動揺しながらもミクの手を握り、魔王ドロンから魔力の供給を受けているのを確認するとマリーめがけて呪文を唱えた。
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