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いちご夢野先生と睦月拓馬
いちご先生と久しぶりの会話
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拓馬の意識が戻ったとき、自分の真下に奈緒美の白い顔があった。
「……いちご先生。そうだ、本名は確か山川奈緒美さんだった。痩せてて肌が白くて、漫画家さんの中では美人だった。でも何となく元気がなくて、俺はそれが心配だった」
拓馬は奈緒美に話しかけていたわけではなく、自分の記憶を口に出して確認していた。
「あ、あの、編集さん。動けますか? ずっとこのままだと私も困ります。あの?」
拓馬に抱き着かれ、床に倒された形になっている奈緒美は眼前の拓馬を見つめながら小さな声を出した。だが拓馬は反応せず、奈緒美を見つめてしばらく動かなかった。
「なあ睦月。お前しゃべれるみたいやん。奈緒美に抱き着いたままじゃ話もようできんやろ。なんとか起き上がれるか? ウチが引っ張るから奈緒美は押し上げてな」
そこでようやく拓馬の意識は明確になった。
「……いやあすみません。なんとか膝立ちならできるんで、先生は抜け出してください。今立ち上がるとたぶん転ぶんですよ。あ、お姉さん。ちょっと手をつかんでてください」
驚きと緊張で顔を赤くしていた奈緒美は拓馬の下から抜け出したが、思わず座り込んだ。
「……お姉ちゃん? 睦月さんどうしよう? このまま居間で寝てもらう? お布団とかどうしよう? お母さん起こす? 膝で歩けるならベッドのある部屋まで行ってもらう?」
「そうやな、奈緒美の部屋が一番近いから奈緒美の部屋に寝かせて様子を見るしかないやろ」
姉妹の話を聞いた拓馬は恥ずかしく思いながら膝で歩き、案内されて狭い部屋に入った。
「あの、睦月さん。部屋の中をあまり見ないでくださいね。散らかってるし恥ずかしいし、ああどうしよう! 着替えが! ああ! お姉ちゃん! 睦月さん寝ちゃった!」
拓馬が案内された四畳半の部屋に三人がそろい、その日の夜は更けた。
「……いちご先生。そうだ、本名は確か山川奈緒美さんだった。痩せてて肌が白くて、漫画家さんの中では美人だった。でも何となく元気がなくて、俺はそれが心配だった」
拓馬は奈緒美に話しかけていたわけではなく、自分の記憶を口に出して確認していた。
「あ、あの、編集さん。動けますか? ずっとこのままだと私も困ります。あの?」
拓馬に抱き着かれ、床に倒された形になっている奈緒美は眼前の拓馬を見つめながら小さな声を出した。だが拓馬は反応せず、奈緒美を見つめてしばらく動かなかった。
「なあ睦月。お前しゃべれるみたいやん。奈緒美に抱き着いたままじゃ話もようできんやろ。なんとか起き上がれるか? ウチが引っ張るから奈緒美は押し上げてな」
そこでようやく拓馬の意識は明確になった。
「……いやあすみません。なんとか膝立ちならできるんで、先生は抜け出してください。今立ち上がるとたぶん転ぶんですよ。あ、お姉さん。ちょっと手をつかんでてください」
驚きと緊張で顔を赤くしていた奈緒美は拓馬の下から抜け出したが、思わず座り込んだ。
「……お姉ちゃん? 睦月さんどうしよう? このまま居間で寝てもらう? お布団とかどうしよう? お母さん起こす? 膝で歩けるならベッドのある部屋まで行ってもらう?」
「そうやな、奈緒美の部屋が一番近いから奈緒美の部屋に寝かせて様子を見るしかないやろ」
姉妹の話を聞いた拓馬は恥ずかしく思いながら膝で歩き、案内されて狭い部屋に入った。
「あの、睦月さん。部屋の中をあまり見ないでくださいね。散らかってるし恥ずかしいし、ああどうしよう! 着替えが! ああ! お姉ちゃん! 睦月さん寝ちゃった!」
拓馬が案内された四畳半の部屋に三人がそろい、その日の夜は更けた。
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