女性漫画家いちご先生を復活させたい男性編集者の物語

北条丈太郎

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いちご夢野先生と睦月拓馬

酒に呑まれる拓馬と先生

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 睦月拓馬は持病の発作を起こしてから数日間を山川家で過ごした。
 拓馬にあてがわれた部屋は山川真潮の夫である山川寅雄の部屋であった。
「なんちゅうかなあ、お父さんの部屋にお父さん以外の男がいるっちゅうのも不思議な感じやなあ。なあ睦月、調子悪くなかったら、お父さんが隠してる焼酎でも飲むか? そこの棚に入っとる。お父さんがいつ帰ってくるかなんてわからんし、まあバレへんやろ。飲んどけ」
 数日の静養を経て元気になっていた拓馬は若菜の言葉についうなずいた。
 拓馬は元来酒好きであり、好みのタイプの女性に酒を勧められたとあっては断れなかった。
「……うむ、これはスッキリとしていてコクがあって、それでいてまったりとした舌触りがどうにも別格というか、味わいが深く、どうにも止まらない。素晴らしい酒だ!」
 一口飲んだと思ったらぐいぐいと飲む拓馬の様子を見た若菜は驚き、少し心配になった。
「あんなあ睦月、ウチが勧めたのも悪いけど、病み上がりなんやからほどほどにしとき。ほら、もうそれでやめとき。はい水。なあ奈緒美、奈緒美からもやめるよう言うてや」
 山川家で倒れた拓馬の世話をしていたのは若菜だけでなく、拓馬がいちご先生と慕う奈緒美も同様であった。若菜は比較的冷静に拓馬の様子を見ていたが、奈緒美はうろたえていた。
「お、お姉ちゃん! これって日本酒でしょう? 睦月さん、大丈夫なのかな?」
 奈緒美の指摘に対して若菜が息を飲んだとき、拓馬は完全に酔っていた。
「……おいコラ! 帰ったぞ! 真潮! ご主人様が帰ったっちゅうのに出迎えなしか!」
 拓馬が酔って妙な歌などを歌い始めたとき、山川家に山川寅雄が帰ってきた。
「あ! あの声はお父さんや! お母さんを起こすから奈緒美はここで……」
 若菜が玄関に向かったとき、拓馬は奈緒美の柔らかい膝で眠り始めた。
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