イデア草原の狼たち

迎撃準備

「命令された以上は仕方ない、特装車《トレーラー》の出撃準備を頼むよグリーン大尉。慌てず、ゆっくりでいい。わが部隊の整備班に武器弾薬、燃料のチェックと搭載RBの点検を万全にするよう伝えてくれ。今回は私の部隊の単独出撃でいいだろう。まあ、なんとかなるさ。とりあえず守りきれば勝ちということでね」
短く整えられた茶色の髪と茶色の瞳が美しく輝く副官にリンは告げ、濃紺の軍服と軍用ベレーを身に着けた。
「了解ですリン准将閣下、慌てずゆっくりですね。ゆっくり、準備を万全にということで」
ミシェルは復命すると優雅に立ち上がり、各部署に通信を送った。その間にリンはのろのろと身だしなみを整え、好物のアイスコーヒーを飲みながらぼんやりとした顔で何かを考え始めていた。ミシェルはそんな上官の顔を見つめたが、上官が考えていることをはかり知ることはできなかった。