長いタイトル、くそ喰らえ。

mimikan

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卑怯者1

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​ヨウタは再び痕跡追跡(トレースマーカー)のスキルを発動する。

「いた!」

200メートルほど先を、男が必死に走っているのが感知された。

​ヨウタは再び結界術で空に舞い上がる。

前回と同様に急降下し、男の前に音もなく降り立った。

「逃げるなよ!」

ヨウタの言葉に、男は顔を歪める。

「しつこい奴め!」

​男は「ファイアーバレット!」と叫び、炎の弾丸を放つ。

ファイアーボールよりも速い速度で飛んでいく魔法だが、ヨウタの目の前で虚しく消滅した。男は焦りを滲ませる。

​「もう、無理だよ。だいたい、大声で『なんの技打ちます』って、詠唱バレバレだよ」

ヨウタは呆れたように言う。

「詠唱するとみんな使いやすいからするけど、詠唱すると行動キャンセルできないし、格ゲーのボタン一つでコンボできます、みたいなものだよ。だから防御されるし、デバで魔法を消されるんだよ」

​「格ゲー?デバ?また訳の分からない事を。」

男は困惑した表情を浮かべる。

​「格ゲーとは格闘ゲームの略称です。また、デバとは(出鼻技)のことで、相手が技を出そうと動き始めた瞬間を狙って弱い同属性の魔力を打ち込む技で、相手の攻撃をキャンセルできます。タイミングと読みの精度が問われる高度な技術です」

またもや、ヨウタの隣にアイがひょっこり現れ、冷静に解説した。

​男はアイの出現に一瞬驚いたが、すぐに表情を引き締める。

「よく分かりませんが、遠距離魔法は使えないことが分かりました。では、近接戦闘はどうでしょうか?」

男はそう言い返すと、腰から短剣を引き抜いた。

「ライトニングリアクション!」と魔法を唱える。その身に雷の魔力を纏い、彼の動きは見る間に加速していく。

​男は雷光を帯びた短剣を構え、ヨウタに斬りかかる。

その速度はもはや常人の動体視力では追いきれない。

横一閃に放たれた一撃を、ヨウタは紙一重でかわす。

短剣が空を切る音は、まるで風を切り裂く悲鳴のようだ。

ヨウタもまた、腰の短剣を瞬時に引き抜く。

二人の体は激しくぶつかり合い、金属音が夜の闇に響き渡る。

男の攻撃は精密かつ執拗だ。ヨウタの頭上から、胴体へ、そして足元へと、雷光を纏った短剣が嵐のように襲いかかる。

ヨウタは雷光の身こそ使っていないが、身体能力洞察力で、その攻撃を捌き続ける。

短剣と短剣が火花を散らし、互いの刃が皮膚を掠める度に、ヒリヒリとした緊張感が走る。

息をする暇もないほどの、激しい撃ち合いが数分間、高速で繰り広げられた。

​しかし、急に男の動きが鈍くなる。その表情には疲労の色が濃く、額には脂汗がにじんでいた。どうやら、魔力と体力的に限界が来たらしい。

​「お前は一体なんなんだ……剣術まで使えるのか。私のスピードについてこれるとは……ますます部下にほしいぞ。」

男は苦しそうに息を切らしながら言った。

​「絶対嫌だね。そろそろ大人しく捕まってくれる?できれば怪我なく確保したいんだよね」

ヨウタは短剣を構えたまま尋ねる。

​「クソッ、そんなことができる訳が無いです!捕まったら王族どもが何をするか分かったもんじゃありません!」

男は叫んだ。

​その時だった。戦闘の轟音と閃光に気づいたのか、路地裏から一人の女性が様子を伺うように現れた。

その姿を視界に捉えた男は、間髪入れずに女性の方へ駆け寄ると、瞬く間に彼女の首に短剣を突きつけ、人質にした。

​「おい、私を見逃さないと、この人の命が死んでしまいますよ!」

男は女性の細い首に短剣を押し付け、声を荒げる。

​「やめてください!」

女性は恐怖に顔を歪め、悲鳴を上げた。短剣の切っ先が皮膚に食い込み、すでに血が滲んでいる。

​「落ち着け!分かった、見逃すから女性を解放しろ!」

ヨウタは叫び、短剣を構えたまま一歩も動けなくなった。彼の使命と、目の前の人命。二つの天秤が、彼の心の中で激しく揺れ動く。

​男は女性の首に短剣を押し付け、その顔には冷酷な笑みが浮かんでいた。

「良い判断だ、王族の犬。この女は一般市民だろう?まさか、この場で私を捕まえるために、無関係な命を犠牲にするような真似はしないでしょうね?」





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