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雨の降り続く日曜日の午前2時、その部屋には彼女がいた
その1 雨の降り続く日曜日の午前2時、その部屋には彼女がいた 1
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6月の物憂く怠い夜、雨が強く降りしきる中停車した列車は誰を降ろす事も乗せる事も無く、再び無人のホームを出発した。
もう夜の九時近くになっているので、街から臨海工業地帯方面に向かう一両編成のワンマン車両には僕の他には3人の乗客がいるだけだった。
雨滴の滴り落ちる車窓からぼんやり外を眺めていると住宅地を抜けてからは倉庫や空地が多くなってきて、路上の外灯の明かりだけが目立つ様になってきた。
この臨海鉄道と並行して埋立て地の工場に向かって伸びている2車線道路を大型トラックが水浸しになったアスファルトの路面をヘッドライトで照らし出しタイヤから水飛沫をあげながら走っているのが見えた。
やがて列車が終点から2つ前の団地近くの駅に到着すると僕以外の3人が降りて乗客は僕一人になった。
ブザーがなって扉が閉まり、列車が走り始めると僕は窓の外を眺めるのをやめて、がらんとした車内でどこを見るともなくぼんやりとしていた。
しばらくして列車が終点の一つ前の駅に到着すると僕はバッグを肩に掛けて立ち上がった。
運転席にいる運転士に高校の通学定期を見せ、折り畳み傘を開きながら扉からホームに降り立つ。
雨は相変わらず強く降り続いていた。
片側一面の簡素なホームを傘を差して歩いている僕の横を発車した列車が通り過ぎて線路の向こうに遠去って行った。
コンクリートで囲っただけの小さな駅舎を出て、線路に沿った外灯の明かりだけの暗い道を歩く。
アスファルトの窪みに出来た大きな水溜まりの上に浮かんだ外灯の白い明かりが雨に打たれてゆらゆらと揺れていた。
少し先の臨海鉄道から分岐した貨物線の踏切の向こう側には道の左に常夜灯が等間隔に灯った2階建ての集合住宅が三棟並んでいるのが見えている。
工場の社宅であるその三棟の真ん中の棟の2階に僕は父親と2人で暮らしている。
工場の社宅の向こうのずっと先の方には終夜操業を続けている工場の大きな建物がうっすらとした照明に白く浮かび上がっているのが見える。
工場から発せられている巨大な虫の羽音の様な鈍い振動音がこの場所でも微かに聞き取る事が出来た。
工場のさらに向こう側にはあちこちに伸びたコンビナートのパイブ管が幾つもの強い照明に照らし出され、ずっと上の方には高い煙突の航空障害灯が雨の中に赤く灯っているのが見える。
低く垂れ込めた雨雲はその辺りだけ、地上からの光で不思議な色合いに光って見えた。
僕は社宅の脇の階段を上がり、傘を閉じながらなるべく静かに廊下を歩いた。鉄製のドアに鍵を差し込み、軋んだ音を立てるそのドアを音を立てないようにゆっくりと開けて中に入った。
父は今日、夜勤に出ているので誰もいないドアの中はひっそりと湿った闇に包まれている。
玄関の電気を点けて中に入り、居間を素通りして自分の部屋の電気を点けると僕はバッグを床に置き、ベッドにぐったりと腰を降ろして大きな溜め息を吐いた。
窓の外からはぱらぱらという雨の音に混じって、どこかから滴り落ちる雨水が何かを打っている音が不規則に聞こえてくる。
僕はしばらくの間、ぼんやりと天井を見上げながら、どうしようもなく陰鬱で塞ぎ込みたくなる様な気分が、少しでも和らいで来るのをじっと待った。
もう夜の九時近くになっているので、街から臨海工業地帯方面に向かう一両編成のワンマン車両には僕の他には3人の乗客がいるだけだった。
雨滴の滴り落ちる車窓からぼんやり外を眺めていると住宅地を抜けてからは倉庫や空地が多くなってきて、路上の外灯の明かりだけが目立つ様になってきた。
この臨海鉄道と並行して埋立て地の工場に向かって伸びている2車線道路を大型トラックが水浸しになったアスファルトの路面をヘッドライトで照らし出しタイヤから水飛沫をあげながら走っているのが見えた。
やがて列車が終点から2つ前の団地近くの駅に到着すると僕以外の3人が降りて乗客は僕一人になった。
ブザーがなって扉が閉まり、列車が走り始めると僕は窓の外を眺めるのをやめて、がらんとした車内でどこを見るともなくぼんやりとしていた。
しばらくして列車が終点の一つ前の駅に到着すると僕はバッグを肩に掛けて立ち上がった。
運転席にいる運転士に高校の通学定期を見せ、折り畳み傘を開きながら扉からホームに降り立つ。
雨は相変わらず強く降り続いていた。
片側一面の簡素なホームを傘を差して歩いている僕の横を発車した列車が通り過ぎて線路の向こうに遠去って行った。
コンクリートで囲っただけの小さな駅舎を出て、線路に沿った外灯の明かりだけの暗い道を歩く。
アスファルトの窪みに出来た大きな水溜まりの上に浮かんだ外灯の白い明かりが雨に打たれてゆらゆらと揺れていた。
少し先の臨海鉄道から分岐した貨物線の踏切の向こう側には道の左に常夜灯が等間隔に灯った2階建ての集合住宅が三棟並んでいるのが見えている。
工場の社宅であるその三棟の真ん中の棟の2階に僕は父親と2人で暮らしている。
工場の社宅の向こうのずっと先の方には終夜操業を続けている工場の大きな建物がうっすらとした照明に白く浮かび上がっているのが見える。
工場から発せられている巨大な虫の羽音の様な鈍い振動音がこの場所でも微かに聞き取る事が出来た。
工場のさらに向こう側にはあちこちに伸びたコンビナートのパイブ管が幾つもの強い照明に照らし出され、ずっと上の方には高い煙突の航空障害灯が雨の中に赤く灯っているのが見える。
低く垂れ込めた雨雲はその辺りだけ、地上からの光で不思議な色合いに光って見えた。
僕は社宅の脇の階段を上がり、傘を閉じながらなるべく静かに廊下を歩いた。鉄製のドアに鍵を差し込み、軋んだ音を立てるそのドアを音を立てないようにゆっくりと開けて中に入った。
父は今日、夜勤に出ているので誰もいないドアの中はひっそりと湿った闇に包まれている。
玄関の電気を点けて中に入り、居間を素通りして自分の部屋の電気を点けると僕はバッグを床に置き、ベッドにぐったりと腰を降ろして大きな溜め息を吐いた。
窓の外からはぱらぱらという雨の音に混じって、どこかから滴り落ちる雨水が何かを打っている音が不規則に聞こえてくる。
僕はしばらくの間、ぼんやりと天井を見上げながら、どうしようもなく陰鬱で塞ぎ込みたくなる様な気分が、少しでも和らいで来るのをじっと待った。
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