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第1話 追放の朝
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鐘が三度鳴った。石造りの大聖堂に響く低い音が、まるで判決の印鑑のように私の胸に押しつけられる。
赤い絨毯の先、玉座の横で銀髪の大司教が羊皮紙を広げた。蝋の匂い、窓から差し込む冷たい光、誰かの忍び笑い――その全部が、今日に限って鋭い。
「聖女セリーナ。お前は禁忌の術に触れ、王家に仇なす魔女の疑いがある。よって、浄化の名のもとに、王国より追放とする」
ざわめきが波のように起き、すぐに引いた。
私は反論しなかった。しようとすればできたのだ――昨夜、病の少年の手を握って祈っただけ。いつも通り、ただ光を分けただけ。けれど、彼は貴族の甥で、治ったことさえ「禁忌の代償に過ぎぬ」と言われてしまえば、言葉は無力だった。
聖女の証である白金の腕輪を外す。金具のはまる乾いた音が、指先から心臓まで薄く広がる。
大司教は目を細め、儀礼的な祝詞を口にした。祈りの言葉なのに、刃のように冷たい。
「……異議は、ありません」
私の声は思ったよりも穏やかだった。
重い扉が開く。外はよく晴れていて、冬を連れてくる前の秋風が街道のほこりをゆっくり舞い上げる。聖堂前の広場には、人、人、人。誰もが見知らぬふりをし、誰かは唇の端を上げ、誰かは目をそらした。
足元で、幼い男の子が母親のスカートの陰からこちらを見ていた。おずおずと差し出された小さな花。私はしゃがんでそれを受け取り、短く微笑む。
「ありがとう。あなたに、良い日が続きますように」
祈りのかたちが癖になっている。指先に集まる光をすぐにほどき、見えないように空へ溶かした。もう、私はこの国の聖女じゃない。それでも、誰かの痛みに手を伸ばす癖は、今さら直せない。
荷は少ない。替えの下着、糸と針、乾いた薬草、古びた祈祷書。革の袋は肩に軽く、心には重い。
城門を抜けると、見慣れた街並みが背中の向こうへ小さくなっていく。石畳から土の道に変わり、靴の裏に土の重みが戻ってくる。
私は振り返らなかった。振り返ったら、きっと泣いてしまうから。
城壁の影が遠ざかるにつれ、胸の奥で固まっていたものが少しずつ溶け、別の形になる。
――怖い。
この一言に尽きる。
でも、終わりは同時に始まりでもある。私を聖女にしたのは、この国の制度でも大司教の言葉でもない。祈りは、いつだって私個人の選択だった。ならば、奪われるものではないはずだ。
丘をひとつ越えると、国境へ続く街道が森の縁で細くなる。噂に聞いていた。森を抜ければ、隣国リュミエールの領。そこは学問と交易が盛んで、異国人にも比較的寛容だという。
私は花束から一輪だけ抜き、道端の小さな祠にそっと供えた。
「見守ってください」
言葉にするだけで、少し背が伸びたような気持ちになる。
◇
森は昼でも薄暗く、木々の隙間からこぼれる光が点々と落ちる。苔の匂い、乾いた枝を踏む音、遠くで鳥が警戒する声。
正午を過ぎる頃、空がかすかに鈍くなった。風が変わる。雨の気配。私は外套のフードを深くかぶり、歩調を早めた。
ぽつ、ぽつ、と額に冷たいものが落ちる。やがて糸のような雨が森全体を縫いはじめ、土は湿り、靴に重さが増す。
道端のくぼみに溜まる水を避けようとして、足をひねった。
「……っ」
痛みは鋭いが、幸い骨は無事らしい。私は倒木に腰を下ろし、靴を脱いで足首に触れる。じんわり熱い。
無意識に手のひらに光を集めかけて、私は指を握りしめた。
もう、私が私を責める必要はない。けれど、うかつに力を使えば「魔女」の噂は、どこへ行っても尾を引くだろう。私は深呼吸して、布で冷やすだけにした。
雨脚が強くなる。葉を叩く音、地面に跳ねる音、世界は水の幕に包まれていく。視界が白くほどけ、身体の熱が雨に奪われていく感覚。
歩かなきゃ。
ここで止まったら、冷えが骨に入る。
それでも、少しだけ休んだはずの身体は思うように動かなかった。空腹が遅れてやってきて、胃の奥がきゅうと鳴く。朝から何も食べていない。広場で気持ちを保つのに精一杯で、パンを買い忘れた。
笑えてくる。こんな時でも、生活はつづく。呼吸と同じように、食べることも、生きることも。
私は袋の底に残っていた干し果物を一切れ口に放り込むと、再び立ち上がった。足首に鈍い痛み。雨粒が睫毛に溜まり、視界が滲む。
森の向こうに、かすかな鐘の音がしたような気がした。風向きのいたずらかもしれない。あるいは、隣国の小さな礼拝堂。
行ける。もう少し。
私は自分にそう言い聞かせて、一本一本枝を払いながら進んだ。
次の瞬間、靴の裏がぬかるみに滑った。
世界が斜めに傾き、濡れた地面が間近に迫る。私は咄嗟に両手をついたが、冷たさが骨まで刺さる。
「誰か……」
声に出してから、助けを呼ぶ相手がこの森にいないことを思い出す。
雨が、降り続く。音がだんだん遠くなる。指先の感覚が薄れて、胸の中心に残った小さな光だけが、呼吸に合わせて明滅した。
その時だった。
水飛沫を割るように、近づいてくる蹄の音。重すぎず、軽すぎない、調律の合った二頭分の足音。
私は顔を上げる。雨の幕の向こう、黒い馬と灰色の馬が木々の間をすり抜けてくるのが見えた。先頭の騎手は濃紺の外套を翻し、こちらに気づくと迷わず手綱を引いた。
「――君、大丈夫か」
低く、よく通る声。
私は返事をしようとして、うまく声にならなかった。視界の端で、彼が馬から軽やかに降りる。
外套の裾に付いた雨粒が、光った。近づいてくる足音。
彼は膝を折り、私の視線に合わせて目の高さを下げた。雨の匂いの向こうに、ほんのりと橙の香り。外套の内側に忍ばせた柑橘の皮だろうか。
「手を」
差し出された掌は、雨に濡れても温かかった。
私はその手を取る。引かれて立ち上がると、彼は迷いなく自分の外套を外し、私の肩にかけた。布が重く、そして心地よい。熱が戻ってくる。
「足を傷めているね。すぐ近くに休める小屋がある。連れていく。……無理に歩かせたくはない。ここで抱えても?」
抱える――その言葉に、胸の奥で何かがちり、と鳴る。
私は首を横に振り、深く息をついた。
「……歩けます。手、もう少しだけ貸してください」
彼は少し笑って、言葉より優しい力で私の肘を支えた。
歩き出すと、さっきまで敵のようだった雨が、音楽のように後ろへ流れていく。外套の中に閉じ込められた温もりが、身体の中心まで降りてくる。
「名前を、聞いても?」
彼の声は、こちらを急かさない。雨に合わせて、静かに待つテンポ。
私は一拍置いて、答えた。
「セリーナ、です」
自分の名を初めて他国の森で名乗る。その事実が、不思議なほど私を軽くした。
「セリーナ。いい名だ」
彼は短くそう言い、言葉の最後をやわらかく結んだ。
私も聞き返そうとして、躊躇う。見ず知らずの旅人に、これ以上踏み込むのは礼を欠く気がして。けれど、彼は私の戸惑いを見透かしたように軽く顎を引いた。
「俺はアレク。道に詳しいだけの者だよ」
アレク。
その響きは、雨の白い帳の中で小さく灯る焚き火みたいに、確かな熱を持っていた。
――この時の私はまだ知らない。
彼が国境の向こうで最も高い席に座る人であり、誰よりも真っ直ぐに人を守ろうとする青年であることを。
ただ、差し出された手の温かさと、外套の重みだけを信じながら、私は雨の森を一歩ずつ進んだ。
小屋の屋根が見えたところで、アレクはふっと息をつく。
「もう大丈夫だ」
その言葉に、初めて心から頷けた。外の雨はまだ止まない。けれど、胸の内側で、長い長い嵐が少しだけ遠のいた気がした。
赤い絨毯の先、玉座の横で銀髪の大司教が羊皮紙を広げた。蝋の匂い、窓から差し込む冷たい光、誰かの忍び笑い――その全部が、今日に限って鋭い。
「聖女セリーナ。お前は禁忌の術に触れ、王家に仇なす魔女の疑いがある。よって、浄化の名のもとに、王国より追放とする」
ざわめきが波のように起き、すぐに引いた。
私は反論しなかった。しようとすればできたのだ――昨夜、病の少年の手を握って祈っただけ。いつも通り、ただ光を分けただけ。けれど、彼は貴族の甥で、治ったことさえ「禁忌の代償に過ぎぬ」と言われてしまえば、言葉は無力だった。
聖女の証である白金の腕輪を外す。金具のはまる乾いた音が、指先から心臓まで薄く広がる。
大司教は目を細め、儀礼的な祝詞を口にした。祈りの言葉なのに、刃のように冷たい。
「……異議は、ありません」
私の声は思ったよりも穏やかだった。
重い扉が開く。外はよく晴れていて、冬を連れてくる前の秋風が街道のほこりをゆっくり舞い上げる。聖堂前の広場には、人、人、人。誰もが見知らぬふりをし、誰かは唇の端を上げ、誰かは目をそらした。
足元で、幼い男の子が母親のスカートの陰からこちらを見ていた。おずおずと差し出された小さな花。私はしゃがんでそれを受け取り、短く微笑む。
「ありがとう。あなたに、良い日が続きますように」
祈りのかたちが癖になっている。指先に集まる光をすぐにほどき、見えないように空へ溶かした。もう、私はこの国の聖女じゃない。それでも、誰かの痛みに手を伸ばす癖は、今さら直せない。
荷は少ない。替えの下着、糸と針、乾いた薬草、古びた祈祷書。革の袋は肩に軽く、心には重い。
城門を抜けると、見慣れた街並みが背中の向こうへ小さくなっていく。石畳から土の道に変わり、靴の裏に土の重みが戻ってくる。
私は振り返らなかった。振り返ったら、きっと泣いてしまうから。
城壁の影が遠ざかるにつれ、胸の奥で固まっていたものが少しずつ溶け、別の形になる。
――怖い。
この一言に尽きる。
でも、終わりは同時に始まりでもある。私を聖女にしたのは、この国の制度でも大司教の言葉でもない。祈りは、いつだって私個人の選択だった。ならば、奪われるものではないはずだ。
丘をひとつ越えると、国境へ続く街道が森の縁で細くなる。噂に聞いていた。森を抜ければ、隣国リュミエールの領。そこは学問と交易が盛んで、異国人にも比較的寛容だという。
私は花束から一輪だけ抜き、道端の小さな祠にそっと供えた。
「見守ってください」
言葉にするだけで、少し背が伸びたような気持ちになる。
◇
森は昼でも薄暗く、木々の隙間からこぼれる光が点々と落ちる。苔の匂い、乾いた枝を踏む音、遠くで鳥が警戒する声。
正午を過ぎる頃、空がかすかに鈍くなった。風が変わる。雨の気配。私は外套のフードを深くかぶり、歩調を早めた。
ぽつ、ぽつ、と額に冷たいものが落ちる。やがて糸のような雨が森全体を縫いはじめ、土は湿り、靴に重さが増す。
道端のくぼみに溜まる水を避けようとして、足をひねった。
「……っ」
痛みは鋭いが、幸い骨は無事らしい。私は倒木に腰を下ろし、靴を脱いで足首に触れる。じんわり熱い。
無意識に手のひらに光を集めかけて、私は指を握りしめた。
もう、私が私を責める必要はない。けれど、うかつに力を使えば「魔女」の噂は、どこへ行っても尾を引くだろう。私は深呼吸して、布で冷やすだけにした。
雨脚が強くなる。葉を叩く音、地面に跳ねる音、世界は水の幕に包まれていく。視界が白くほどけ、身体の熱が雨に奪われていく感覚。
歩かなきゃ。
ここで止まったら、冷えが骨に入る。
それでも、少しだけ休んだはずの身体は思うように動かなかった。空腹が遅れてやってきて、胃の奥がきゅうと鳴く。朝から何も食べていない。広場で気持ちを保つのに精一杯で、パンを買い忘れた。
笑えてくる。こんな時でも、生活はつづく。呼吸と同じように、食べることも、生きることも。
私は袋の底に残っていた干し果物を一切れ口に放り込むと、再び立ち上がった。足首に鈍い痛み。雨粒が睫毛に溜まり、視界が滲む。
森の向こうに、かすかな鐘の音がしたような気がした。風向きのいたずらかもしれない。あるいは、隣国の小さな礼拝堂。
行ける。もう少し。
私は自分にそう言い聞かせて、一本一本枝を払いながら進んだ。
次の瞬間、靴の裏がぬかるみに滑った。
世界が斜めに傾き、濡れた地面が間近に迫る。私は咄嗟に両手をついたが、冷たさが骨まで刺さる。
「誰か……」
声に出してから、助けを呼ぶ相手がこの森にいないことを思い出す。
雨が、降り続く。音がだんだん遠くなる。指先の感覚が薄れて、胸の中心に残った小さな光だけが、呼吸に合わせて明滅した。
その時だった。
水飛沫を割るように、近づいてくる蹄の音。重すぎず、軽すぎない、調律の合った二頭分の足音。
私は顔を上げる。雨の幕の向こう、黒い馬と灰色の馬が木々の間をすり抜けてくるのが見えた。先頭の騎手は濃紺の外套を翻し、こちらに気づくと迷わず手綱を引いた。
「――君、大丈夫か」
低く、よく通る声。
私は返事をしようとして、うまく声にならなかった。視界の端で、彼が馬から軽やかに降りる。
外套の裾に付いた雨粒が、光った。近づいてくる足音。
彼は膝を折り、私の視線に合わせて目の高さを下げた。雨の匂いの向こうに、ほんのりと橙の香り。外套の内側に忍ばせた柑橘の皮だろうか。
「手を」
差し出された掌は、雨に濡れても温かかった。
私はその手を取る。引かれて立ち上がると、彼は迷いなく自分の外套を外し、私の肩にかけた。布が重く、そして心地よい。熱が戻ってくる。
「足を傷めているね。すぐ近くに休める小屋がある。連れていく。……無理に歩かせたくはない。ここで抱えても?」
抱える――その言葉に、胸の奥で何かがちり、と鳴る。
私は首を横に振り、深く息をついた。
「……歩けます。手、もう少しだけ貸してください」
彼は少し笑って、言葉より優しい力で私の肘を支えた。
歩き出すと、さっきまで敵のようだった雨が、音楽のように後ろへ流れていく。外套の中に閉じ込められた温もりが、身体の中心まで降りてくる。
「名前を、聞いても?」
彼の声は、こちらを急かさない。雨に合わせて、静かに待つテンポ。
私は一拍置いて、答えた。
「セリーナ、です」
自分の名を初めて他国の森で名乗る。その事実が、不思議なほど私を軽くした。
「セリーナ。いい名だ」
彼は短くそう言い、言葉の最後をやわらかく結んだ。
私も聞き返そうとして、躊躇う。見ず知らずの旅人に、これ以上踏み込むのは礼を欠く気がして。けれど、彼は私の戸惑いを見透かしたように軽く顎を引いた。
「俺はアレク。道に詳しいだけの者だよ」
アレク。
その響きは、雨の白い帳の中で小さく灯る焚き火みたいに、確かな熱を持っていた。
――この時の私はまだ知らない。
彼が国境の向こうで最も高い席に座る人であり、誰よりも真っ直ぐに人を守ろうとする青年であることを。
ただ、差し出された手の温かさと、外套の重みだけを信じながら、私は雨の森を一歩ずつ進んだ。
小屋の屋根が見えたところで、アレクはふっと息をつく。
「もう大丈夫だ」
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