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第20話 試される言葉
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翌朝の城は穏やかに見えたが、空気の底に小さなざわめきが潜んでいた。人々の視線は以前より柔らかいものの、その中に探るような冷たさも混じっている。――陰謀の芽が、ついに表に出始めたのだろう。
◇
午前、王宮の広間で開かれた小会議に、私はマリアンヌと共に同席を許された。兵糧の配分についての話し合いの場だったが、私の姿を見たある貴族が立ち上がり、声を張り上げた。
「殿下! なぜこの場に追放された女を座らせるのです? 聖女の力などと甘言に惑わされ、国の大事を誤られては困ります!」
広間にざわめきが走る。胸が締め付けられる。アレクが口を開きかけた瞬間、私は深呼吸し、一歩前に出た。
「……お言葉、もっともです」
意外な返答に人々が息を呑む。私はまっすぐ貴族の目を見つめ、静かに続けた。
「私は追放されました。その烙印は消えません。けれど、この国に来てから多くの人々を救い、感謝の言葉をいただきました。それは偽りではありません」
声は震えていたが、思いは真っ直ぐだった。
「私がここにいるのは、権力のためではなく、人を癒やすためです。もしそれが国のためにならないと言うのなら、どうか今日この場で私を追い出してください。けれど――人々の声を聞いてください。彼らは私を魔女と呼ぶでしょうか?」
沈黙が広間を満たす。貴族は言葉を失い、周囲の視線が揺れた。
◇
アレクが一歩前に出た。
「聞いただろう。彼女は己を飾らず、真実を語った。俺はその言葉を誇りに思う。……そして俺は、彼女をこの国に必要だと信じている」
彼の声は力強く、広間全体に響き渡った。ざわめきはやがて収まり、誰も反論できなかった。
◇
会議の後、廊下でアレクが私を呼び止めた。
「よく言ったな、セリーナ」
「……怖かったです。でも、もう逃げてはいけないと思いました」
彼は柔らかく微笑み、私の肩に手を置いた。
「君の言葉は、剣より強い。俺が守るよりも、君自身が示したことで、人々は動かされる」
胸が熱くなる。守られるだけの存在ではなく、私自身の意思で立てたことが誇らしかった。
◇
夜、部屋の窓辺で星を眺める。昼間の緊張がまだ残っていたが、心には不思議な静けさがあった。自分の言葉で敵意に立ち向かった。結果はどうあれ、その一歩が確かな力になった。
――私は、彼の隣に立てる。
そう思えたとき、胸の奥に新しい強さが宿るのを感じた。
◇
午前、王宮の広間で開かれた小会議に、私はマリアンヌと共に同席を許された。兵糧の配分についての話し合いの場だったが、私の姿を見たある貴族が立ち上がり、声を張り上げた。
「殿下! なぜこの場に追放された女を座らせるのです? 聖女の力などと甘言に惑わされ、国の大事を誤られては困ります!」
広間にざわめきが走る。胸が締め付けられる。アレクが口を開きかけた瞬間、私は深呼吸し、一歩前に出た。
「……お言葉、もっともです」
意外な返答に人々が息を呑む。私はまっすぐ貴族の目を見つめ、静かに続けた。
「私は追放されました。その烙印は消えません。けれど、この国に来てから多くの人々を救い、感謝の言葉をいただきました。それは偽りではありません」
声は震えていたが、思いは真っ直ぐだった。
「私がここにいるのは、権力のためではなく、人を癒やすためです。もしそれが国のためにならないと言うのなら、どうか今日この場で私を追い出してください。けれど――人々の声を聞いてください。彼らは私を魔女と呼ぶでしょうか?」
沈黙が広間を満たす。貴族は言葉を失い、周囲の視線が揺れた。
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アレクが一歩前に出た。
「聞いただろう。彼女は己を飾らず、真実を語った。俺はその言葉を誇りに思う。……そして俺は、彼女をこの国に必要だと信じている」
彼の声は力強く、広間全体に響き渡った。ざわめきはやがて収まり、誰も反論できなかった。
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会議の後、廊下でアレクが私を呼び止めた。
「よく言ったな、セリーナ」
「……怖かったです。でも、もう逃げてはいけないと思いました」
彼は柔らかく微笑み、私の肩に手を置いた。
「君の言葉は、剣より強い。俺が守るよりも、君自身が示したことで、人々は動かされる」
胸が熱くなる。守られるだけの存在ではなく、私自身の意思で立てたことが誇らしかった。
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夜、部屋の窓辺で星を眺める。昼間の緊張がまだ残っていたが、心には不思議な静けさがあった。自分の言葉で敵意に立ち向かった。結果はどうあれ、その一歩が確かな力になった。
――私は、彼の隣に立てる。
そう思えたとき、胸の奥に新しい強さが宿るのを感じた。
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