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馬車が砦の前で止まった瞬間、胸の奥がどくりと跳ねた。長い道のりの果てに、ついに目的地へ着いたのだ。目の前には、石造りの堅牢な城壁。王都の華やかな白い壁とはまるで違う。灰色の石が重ねられ、何度も風雪に耐えた痕跡が刻まれている。威圧感があるけれど、同時に不思議な安心感もあった。守ってくれる壁だ、と直感的にわかる。
「ここがグレイフォード辺境騎士団の本拠だよ」
御者の言葉に、私は唾をのみ込んだ。馬車から降りると、冷たい風がマントをはためかせる。遠くに見える塔の上で旗が揺れていた。灰と銀の色合い、剣をかたどった紋章。これが新しい世界の入口か——。
「君が紹介状を持っているって人だね?」
声に振り返ると、短髪で快活そうな女性騎士がこちらに歩いてきていた。茶色の髪をポニーテールにして、軽装の鎧を着ている。鋭い目つきだけど、口元の笑みが優しい。
「は、はい。王都の記録係から紹介状を……」
バッグから封書を取り出すと、女性騎士は目を細めて受け取った。
「マリエル副官だ。団長のところまで案内するよ」
この人が噂のマリエルか。コリンが言っていた“兄のように団長を慕っている”副官だろう。しっかりした雰囲気に少し緊張しつつも、救われた気がした。
「ついてきて。団長は数字が大の苦手だから、君が来ると聞いてきっと喜ぶ」
マリエルの言葉に思わず口元がほころびそうになる。必要とされている。まだ会ってもいないのに、その感覚が胸にあたたかく広がっていく。
砦の中は、王城とは全く別世界だった。白く輝く大理石の廊下はない。代わりに、しっかりと磨かれた石床と、木の梁のむき出しの天井。どこも実用的で、過剰な装飾はないけれど、温かみがある。廊下を歩く騎士たちは私をちらりと見るが、敵意の色はなく、むしろ好奇心を含んだ視線だ。
「団長ー、新人の子連れてきましたよー」
マリエルが重い扉をノックすると、中から低い声が返ってきた。
「入れ」
その声を聞いただけで、空気が変わった。静かで重い、でも威圧ではなく、落ち着いた力を帯びた響き。背筋が自然と伸びる。
部屋に入ると、広い執務室が目に飛び込んできた。分厚い書類の束、地図、武具。そして、その中央に立っていたのは——。
大きい。第一印象がそれだった。背が高く、肩幅も広い。灰がかった金髪が肩までかかり、深い青灰の瞳がこちらをまっすぐ射抜く。鋭いはずの目元が、不思議と優しく見えるのは、その瞳の奥に柔らかな光が宿っているからだろう。年齢は三十代半ばか、王城の騎士たちよりも大人の落ち着きを纏っている。
「……王都の紹介状か」
低く、落ち着いた声。彼——ライアン・グレイフォード団長は、マリエルから封書を受け取るとゆっくり開封した。視線が一瞬だけ走り、再び私を見た。
「水野すみれ、か」
「は、はい。お世話になります」
頭を下げた瞬間、あの王城の冷たい空気がふと脳裏をよぎった。でも、次の言葉がそれをかき消した。
「——よく来てくれたな」
その声は想像よりずっと穏やかで、体の芯にじんわりと染みた。威厳はあるのに、拒絶の気配がない。むしろ、受け入れようとしてくれているのがわかる。
「団長、この子、王都で事務や数字に強かったらしいです」
「そうか」
ライアンはほんのわずかに目を細めた。厳しい顔立ちなのに、その仕草はどこか不器用な優しさを帯びていた。
「ちょうど困っていた。報告書と物資の管理が山積みでな」
机の上の書類の山が、その言葉の証拠のようにそびえている。思わず口元が動いた。
「もし、私でよければ……お手伝いできます」
そう口にした瞬間、ライアンの目がほんの少しだけ和らいだ気がした。
「助かる」
短い言葉だったけれど、胸の奥が熱くなるのを感じた。王城では一度ももらえなかった言葉。“助かる”と言ってもらえた。
「ここで働く間、危険なことはない。紙と数字が相手だ。ただし……無理はするな」
思わず瞬きをした。まっすぐな眼差しが怖いくらいに真剣で、少し胸が詰まる。
「は、はい」
それしか言えなかったけれど、ライアンはそれで満足したらしい。小さくうなずくと、マリエルに視線を送った。
「部屋を用意してやれ。明日から書庫を手伝ってもらう」
「了解!」
マリエルが元気よく返事をする。私の心の中では、驚きと安堵が入り混じっていた。まさか、着いたその日から受け入れてもらえるとは思っていなかった。
「……ありがとう、ございます」
改めて頭を下げると、ライアンはほんの少しだけ口元を緩めた。大きな体に似合わないほど、優しい笑みだった。
部屋を出たあと、マリエルが肩を軽く叩いてきた。
「よかったじゃない! 団長があんな顔するの、めったに見ないよ」
「そ、そうなんですか……?」
「うん。あの人、無口だし怖がられやすいけど、本当は良い人だから。すみれちゃんが来てくれて助かったって、絶対思ってる」
心臓がまた跳ねた。必要とされることが、こんなに力になるとは思わなかった。
砦の廊下を歩きながら、私は昨日までの不安がひとつひとつ剥がれていくのを感じた。ここでなら、私の力を活かせるかもしれない。
そして、ほんの少しだけ。胸の奥があたたかくなる。あの灰色の瞳の奥の光を、もう一度ちゃんと見てみたい——そんな気持ちが生まれていた。
マリエルに案内されて向かったのは、砦の一角にある小さな部屋だった。石壁に木の家具が並び、窓からは森が見える。質素だけれど清潔で、柔らかい布団が整えられている。王城の豪華さとはまるで違うのに、ここには温かさがあった。
「ここが今日から君の部屋だよ。どう? 狭いけど、静かで過ごしやすいと思う」
「はい……すごく、落ち着きます」
率直な感想を口にすると、マリエルが満足そうに笑った。
「団長はね、必要なことしか言わないけど、部下を大事にしてる。怖がる必要はないから安心して」
「……はい」
私の声が小さくなったのを察したのか、マリエルがふっと表情を和らげた。
「王都で何があったかは聞かないけど、こっちはこっちのやり方がある。あの人、力がないからって人を切り捨てたりしないから」
その一言が、心の奥の一番冷たい部分に触れてじんわり溶かしていく。ありがとう、と小さくつぶやいた。
荷物をベッドに置き、バッグから紹介状を取り出して机の上にそっと置く。重さを確かめるように、手のひらで撫でた。これが私をここまで連れてきたんだ。少し誇らしい。
「明日は朝から書庫に入ってもらうよ。書類の整理や、物資の記録が山のようにあってね。団長ひとりじゃ全然まわってなかったんだ」
「数字や記録は……好きです。得意だと思います」
「それは助かる! 君が来てくれたおかげで私も戦闘だけに集中できるし、団長もかなり楽になるはず」
マリエルがにっと笑うと、肩の力が抜けた。ここでは、私のやってきたことが誰かの役に立つ。そう言ってもらえるだけで心が満たされていくのを感じる。
「夕飯は食堂においで。みんなで食べるよ。怖がらなくていいから」
そう言ってマリエルが去っていくと、部屋に静けさが戻った。窓を開けると森の匂いが入り込んでくる。木々のざわめきと鳥の声。王都では感じなかった息づかいがここにはあった。
机の上にノートを広げ、これからのことを書き出す。
——明日からの業務内容の聞き取り。
——物資管理の方法を確認。
——砦内の部屋の位置、動線の把握。
計画を立てているうちに、体の緊張がほどけていく。やっぱり私は、こうして整理していくことで安心を得る人間なんだと改めて思う。
窓から見える空は薄いオレンジから群青に変わりつつあった。焚き火の煙が遠くの中庭から上がっている。どこか懐かしくて、子供のころキャンプで見た景色を思い出した。
ドアが軽くノックされた。
「入っていいか」
低い声。すぐに誰か分かった。ライアン団長だ。
「は、はい!」
慌てて立ち上がると、扉が開き、ライアンがゆっくりと入ってきた。昼間の執務室で見たときよりも少しラフな格好だ。鎧を外し、簡素なシャツに外套を羽織っているだけ。それでも威圧感はあるが、どこか柔らかい。
「部屋の具合はどうだ」
「とても快適です。ありがとうございます」
「そうか。……明日からの仕事について少し説明しておく」
彼は机の端に積まれた書類を一部取り出し、広げて見せてくれた。物資の出入りの記録表、隊員の勤務表、給与計算の一覧。どれも手書きで、書き手によって書式がバラバラだ。
「これを見て分かると思うが、整理がまったくできていない。俺は戦と防衛のことなら分かるが、数字は苦手だ」
その言葉に、胸の奥がふっとあたたかくなった。団長ほどの人でも苦手がある。そんな姿を正直に見せてくれるのが、なんだか嬉しい。
「私、やれます。整理や管理はずっとやってきたので」
「……頼もしいな」
ライアンの口元がわずかにゆるんだ。ほんの一瞬の笑みだったけれど、胸がどくんと大きく鳴った。王城では決して向けられなかったまなざしだ。認められることが、こんなに温かいものだなんて。
「困ったことがあればマリエルか俺に言え。いいな」
「はい」
それしか言えなかったが、ライアンは満足したようにうなずいた。
彼が部屋を出ていく前に、一瞬だけ振り返った。目が合う。あの青灰色の瞳がまっすぐこちらを射抜く。
「……よく来た」
それだけ言って、扉が閉まった。短い言葉なのに、胸の奥がじんわりと温かくなって涙がこぼれそうになった。昨日の私なら信じられないくらい、心が軽い。
私はノートを開き、今日一番大切な言葉を書き留める。
——よく来た。
それは、たった三文字で、私を新しい場所へ迎え入れてくれた魔法のような言葉だった。
ランプの光の中、私はその文字をじっと見つめた。ここから、私の第二の人生が本当に始まるんだ。胸の奥で、静かな決意が音を立てて芽吹いていくのを感じた。
夜の砦は、王都の夜とまるで違う匂いがした。湿った土と木の香り、焚き火の煙、そして鎧や革の匂いが混じって、どこか安心させる。窓の外では、見張りの兵が交代しているらしく、かすかな足音と声が響いていた。
私はベッドの上に座り、まだ温かいランプの光の下で今日のページをゆっくり埋めていた。業務の予想、砦内の地図、さっきライアンが見せてくれた帳簿の雑さ——。頭の中に手順が少しずつ組み上がっていく。日本にいた頃の私のやり方だ。ここでも使える。使っていい。そんな当たり前が、胸の奥をふわりと温める。
ペン先が止まった。机の上には、さっきの「よく来た」という言葉が書かれている。団長の声が耳の奥で蘇った。その一言で、長い間貼り付いていた「無能」という烙印がすこし剥がれた気がする。
——よく来た。
ただそれだけの言葉で、世界が変わるなんて思ってもみなかった。
扉をノックする音に、びくりと肩が跳ねた。
「はい!」
「夕飯だよ、すみれちゃん!」
マリエルの声だ。慌てて立ち上がると、扉の外に彼女が笑顔で立っていた。鎧の上着を脱ぎ、ラフな服装になっているけれど、やはり凛々しい。
「一緒に行こう。団の連中、会いたがってたよ」
「……私なんかに?」
「当たり前でしょ。新しい仲間だもん。怖がる必要ないって」
マリエルに引かれるまま、食堂へ向かう。砦の食堂は広く、木の長机がいくつも並んでいた。すでに数十人の騎士たちが夕食を取っている。肉と野菜の煮込みの香りが漂い、パンの焼ける匂いが鼻をくすぐった。活気はあるが、王城のような冷たい視線はひとつもない。
「こっちだ、マリエル! 新人連れてきたか!」
奥の方から元気な青年が手を振った。コリンが言っていた“弟分”みたいな雰囲気の若い騎士、きっと彼がそうだろう。
「紹介するね。今日からここで文官として働いてくれる水野すみれちゃん!」
マリエルの声が響いた瞬間、何人もの視線が一斉にこちらに集まった。でも、それは敵意ではなく好奇心と歓迎の色だった。
「おおー! 新しい仲間か!」「ようこそ! 助かるよ、書類地獄からの解放だ!」
笑い声と拍手まで起きて、思わず頬が熱くなる。こんな歓迎、初めてだ。王城では誰も名前すら呼んでくれなかったのに。
「あ、あの、よろしくお願いします」
おずおずと頭を下げると、誰かが「かたいなぁ!」と笑い、パンのかけらを軽く放ってきた。ふざけているだけらしく、マリエルがすかさず私を庇って笑った。
「この人たち、ちょっと騒がしいけど悪い人はいないから安心して」
「はい……ありがとうございます」
座席に案内され、隣のコリン似の若い騎士——コリン本人だった——がにやにやしていた。
「やっぱり来たんだね! よかったー!」
「コリンくん……ありがとう」
小声で言うと、彼は照れくさそうに鼻をこすった。
夕食の間、みんながさりげなく話しかけてくれる。「王都の飯より美味いだろ?」「数字得意ってほんと?」「団長、きっと喜ぶぞ」——そんな何気ない一言ひとことが、体の奥をじわりと温めていく。
食後、マリエルがそっと耳打ちしてきた。
「ね、ね。団長のこと、どう思った?」
「えっ……」
不意打ちに声が裏返る。マリエルは悪戯っぽく笑っている。
「怖いと思うでしょ? でも、実はすごく優しいんだよ。ああ見えて、部下の名前もちゃんと覚えてるし、怪我したやつがいれば夜中でも診に行く」
「……そうなんですか」
「君のことも歓迎してた。あんなふうに“よく来た”なんて、なかなか言わないんだから」
その言葉に、胸がまた熱くなった。ライアンの声が、耳の奥で温かく響く。
初めてだ。こんなふうに、人の輪の中に入れたのも。誰かに“来てくれてよかった”と真正面から言われたのも。
部屋に戻って寝るころには、身体中がぐったりしていた。でもそれは疲れじゃない。安心の重さだ。新しい居場所の重み。
ベッドの上で、私は小さく笑った。明日からこの砦で働く。数字と紙を相手に、誰かの役に立つ。
そして、きっと——あの寡黙な団長の力になれる。
そう思うだけで、胸の奥が静かに熱を帯びていく。
王城で折れた自尊心が、ゆっくりと形を取り戻していくのを感じながら、私は目を閉じた。明日は初めての仕事だ。少しだけ、楽しみだと心がつぶやいた。
「ここがグレイフォード辺境騎士団の本拠だよ」
御者の言葉に、私は唾をのみ込んだ。馬車から降りると、冷たい風がマントをはためかせる。遠くに見える塔の上で旗が揺れていた。灰と銀の色合い、剣をかたどった紋章。これが新しい世界の入口か——。
「君が紹介状を持っているって人だね?」
声に振り返ると、短髪で快活そうな女性騎士がこちらに歩いてきていた。茶色の髪をポニーテールにして、軽装の鎧を着ている。鋭い目つきだけど、口元の笑みが優しい。
「は、はい。王都の記録係から紹介状を……」
バッグから封書を取り出すと、女性騎士は目を細めて受け取った。
「マリエル副官だ。団長のところまで案内するよ」
この人が噂のマリエルか。コリンが言っていた“兄のように団長を慕っている”副官だろう。しっかりした雰囲気に少し緊張しつつも、救われた気がした。
「ついてきて。団長は数字が大の苦手だから、君が来ると聞いてきっと喜ぶ」
マリエルの言葉に思わず口元がほころびそうになる。必要とされている。まだ会ってもいないのに、その感覚が胸にあたたかく広がっていく。
砦の中は、王城とは全く別世界だった。白く輝く大理石の廊下はない。代わりに、しっかりと磨かれた石床と、木の梁のむき出しの天井。どこも実用的で、過剰な装飾はないけれど、温かみがある。廊下を歩く騎士たちは私をちらりと見るが、敵意の色はなく、むしろ好奇心を含んだ視線だ。
「団長ー、新人の子連れてきましたよー」
マリエルが重い扉をノックすると、中から低い声が返ってきた。
「入れ」
その声を聞いただけで、空気が変わった。静かで重い、でも威圧ではなく、落ち着いた力を帯びた響き。背筋が自然と伸びる。
部屋に入ると、広い執務室が目に飛び込んできた。分厚い書類の束、地図、武具。そして、その中央に立っていたのは——。
大きい。第一印象がそれだった。背が高く、肩幅も広い。灰がかった金髪が肩までかかり、深い青灰の瞳がこちらをまっすぐ射抜く。鋭いはずの目元が、不思議と優しく見えるのは、その瞳の奥に柔らかな光が宿っているからだろう。年齢は三十代半ばか、王城の騎士たちよりも大人の落ち着きを纏っている。
「……王都の紹介状か」
低く、落ち着いた声。彼——ライアン・グレイフォード団長は、マリエルから封書を受け取るとゆっくり開封した。視線が一瞬だけ走り、再び私を見た。
「水野すみれ、か」
「は、はい。お世話になります」
頭を下げた瞬間、あの王城の冷たい空気がふと脳裏をよぎった。でも、次の言葉がそれをかき消した。
「——よく来てくれたな」
その声は想像よりずっと穏やかで、体の芯にじんわりと染みた。威厳はあるのに、拒絶の気配がない。むしろ、受け入れようとしてくれているのがわかる。
「団長、この子、王都で事務や数字に強かったらしいです」
「そうか」
ライアンはほんのわずかに目を細めた。厳しい顔立ちなのに、その仕草はどこか不器用な優しさを帯びていた。
「ちょうど困っていた。報告書と物資の管理が山積みでな」
机の上の書類の山が、その言葉の証拠のようにそびえている。思わず口元が動いた。
「もし、私でよければ……お手伝いできます」
そう口にした瞬間、ライアンの目がほんの少しだけ和らいだ気がした。
「助かる」
短い言葉だったけれど、胸の奥が熱くなるのを感じた。王城では一度ももらえなかった言葉。“助かる”と言ってもらえた。
「ここで働く間、危険なことはない。紙と数字が相手だ。ただし……無理はするな」
思わず瞬きをした。まっすぐな眼差しが怖いくらいに真剣で、少し胸が詰まる。
「は、はい」
それしか言えなかったけれど、ライアンはそれで満足したらしい。小さくうなずくと、マリエルに視線を送った。
「部屋を用意してやれ。明日から書庫を手伝ってもらう」
「了解!」
マリエルが元気よく返事をする。私の心の中では、驚きと安堵が入り混じっていた。まさか、着いたその日から受け入れてもらえるとは思っていなかった。
「……ありがとう、ございます」
改めて頭を下げると、ライアンはほんの少しだけ口元を緩めた。大きな体に似合わないほど、優しい笑みだった。
部屋を出たあと、マリエルが肩を軽く叩いてきた。
「よかったじゃない! 団長があんな顔するの、めったに見ないよ」
「そ、そうなんですか……?」
「うん。あの人、無口だし怖がられやすいけど、本当は良い人だから。すみれちゃんが来てくれて助かったって、絶対思ってる」
心臓がまた跳ねた。必要とされることが、こんなに力になるとは思わなかった。
砦の廊下を歩きながら、私は昨日までの不安がひとつひとつ剥がれていくのを感じた。ここでなら、私の力を活かせるかもしれない。
そして、ほんの少しだけ。胸の奥があたたかくなる。あの灰色の瞳の奥の光を、もう一度ちゃんと見てみたい——そんな気持ちが生まれていた。
マリエルに案内されて向かったのは、砦の一角にある小さな部屋だった。石壁に木の家具が並び、窓からは森が見える。質素だけれど清潔で、柔らかい布団が整えられている。王城の豪華さとはまるで違うのに、ここには温かさがあった。
「ここが今日から君の部屋だよ。どう? 狭いけど、静かで過ごしやすいと思う」
「はい……すごく、落ち着きます」
率直な感想を口にすると、マリエルが満足そうに笑った。
「団長はね、必要なことしか言わないけど、部下を大事にしてる。怖がる必要はないから安心して」
「……はい」
私の声が小さくなったのを察したのか、マリエルがふっと表情を和らげた。
「王都で何があったかは聞かないけど、こっちはこっちのやり方がある。あの人、力がないからって人を切り捨てたりしないから」
その一言が、心の奥の一番冷たい部分に触れてじんわり溶かしていく。ありがとう、と小さくつぶやいた。
荷物をベッドに置き、バッグから紹介状を取り出して机の上にそっと置く。重さを確かめるように、手のひらで撫でた。これが私をここまで連れてきたんだ。少し誇らしい。
「明日は朝から書庫に入ってもらうよ。書類の整理や、物資の記録が山のようにあってね。団長ひとりじゃ全然まわってなかったんだ」
「数字や記録は……好きです。得意だと思います」
「それは助かる! 君が来てくれたおかげで私も戦闘だけに集中できるし、団長もかなり楽になるはず」
マリエルがにっと笑うと、肩の力が抜けた。ここでは、私のやってきたことが誰かの役に立つ。そう言ってもらえるだけで心が満たされていくのを感じる。
「夕飯は食堂においで。みんなで食べるよ。怖がらなくていいから」
そう言ってマリエルが去っていくと、部屋に静けさが戻った。窓を開けると森の匂いが入り込んでくる。木々のざわめきと鳥の声。王都では感じなかった息づかいがここにはあった。
机の上にノートを広げ、これからのことを書き出す。
——明日からの業務内容の聞き取り。
——物資管理の方法を確認。
——砦内の部屋の位置、動線の把握。
計画を立てているうちに、体の緊張がほどけていく。やっぱり私は、こうして整理していくことで安心を得る人間なんだと改めて思う。
窓から見える空は薄いオレンジから群青に変わりつつあった。焚き火の煙が遠くの中庭から上がっている。どこか懐かしくて、子供のころキャンプで見た景色を思い出した。
ドアが軽くノックされた。
「入っていいか」
低い声。すぐに誰か分かった。ライアン団長だ。
「は、はい!」
慌てて立ち上がると、扉が開き、ライアンがゆっくりと入ってきた。昼間の執務室で見たときよりも少しラフな格好だ。鎧を外し、簡素なシャツに外套を羽織っているだけ。それでも威圧感はあるが、どこか柔らかい。
「部屋の具合はどうだ」
「とても快適です。ありがとうございます」
「そうか。……明日からの仕事について少し説明しておく」
彼は机の端に積まれた書類を一部取り出し、広げて見せてくれた。物資の出入りの記録表、隊員の勤務表、給与計算の一覧。どれも手書きで、書き手によって書式がバラバラだ。
「これを見て分かると思うが、整理がまったくできていない。俺は戦と防衛のことなら分かるが、数字は苦手だ」
その言葉に、胸の奥がふっとあたたかくなった。団長ほどの人でも苦手がある。そんな姿を正直に見せてくれるのが、なんだか嬉しい。
「私、やれます。整理や管理はずっとやってきたので」
「……頼もしいな」
ライアンの口元がわずかにゆるんだ。ほんの一瞬の笑みだったけれど、胸がどくんと大きく鳴った。王城では決して向けられなかったまなざしだ。認められることが、こんなに温かいものだなんて。
「困ったことがあればマリエルか俺に言え。いいな」
「はい」
それしか言えなかったが、ライアンは満足したようにうなずいた。
彼が部屋を出ていく前に、一瞬だけ振り返った。目が合う。あの青灰色の瞳がまっすぐこちらを射抜く。
「……よく来た」
それだけ言って、扉が閉まった。短い言葉なのに、胸の奥がじんわりと温かくなって涙がこぼれそうになった。昨日の私なら信じられないくらい、心が軽い。
私はノートを開き、今日一番大切な言葉を書き留める。
——よく来た。
それは、たった三文字で、私を新しい場所へ迎え入れてくれた魔法のような言葉だった。
ランプの光の中、私はその文字をじっと見つめた。ここから、私の第二の人生が本当に始まるんだ。胸の奥で、静かな決意が音を立てて芽吹いていくのを感じた。
夜の砦は、王都の夜とまるで違う匂いがした。湿った土と木の香り、焚き火の煙、そして鎧や革の匂いが混じって、どこか安心させる。窓の外では、見張りの兵が交代しているらしく、かすかな足音と声が響いていた。
私はベッドの上に座り、まだ温かいランプの光の下で今日のページをゆっくり埋めていた。業務の予想、砦内の地図、さっきライアンが見せてくれた帳簿の雑さ——。頭の中に手順が少しずつ組み上がっていく。日本にいた頃の私のやり方だ。ここでも使える。使っていい。そんな当たり前が、胸の奥をふわりと温める。
ペン先が止まった。机の上には、さっきの「よく来た」という言葉が書かれている。団長の声が耳の奥で蘇った。その一言で、長い間貼り付いていた「無能」という烙印がすこし剥がれた気がする。
——よく来た。
ただそれだけの言葉で、世界が変わるなんて思ってもみなかった。
扉をノックする音に、びくりと肩が跳ねた。
「はい!」
「夕飯だよ、すみれちゃん!」
マリエルの声だ。慌てて立ち上がると、扉の外に彼女が笑顔で立っていた。鎧の上着を脱ぎ、ラフな服装になっているけれど、やはり凛々しい。
「一緒に行こう。団の連中、会いたがってたよ」
「……私なんかに?」
「当たり前でしょ。新しい仲間だもん。怖がる必要ないって」
マリエルに引かれるまま、食堂へ向かう。砦の食堂は広く、木の長机がいくつも並んでいた。すでに数十人の騎士たちが夕食を取っている。肉と野菜の煮込みの香りが漂い、パンの焼ける匂いが鼻をくすぐった。活気はあるが、王城のような冷たい視線はひとつもない。
「こっちだ、マリエル! 新人連れてきたか!」
奥の方から元気な青年が手を振った。コリンが言っていた“弟分”みたいな雰囲気の若い騎士、きっと彼がそうだろう。
「紹介するね。今日からここで文官として働いてくれる水野すみれちゃん!」
マリエルの声が響いた瞬間、何人もの視線が一斉にこちらに集まった。でも、それは敵意ではなく好奇心と歓迎の色だった。
「おおー! 新しい仲間か!」「ようこそ! 助かるよ、書類地獄からの解放だ!」
笑い声と拍手まで起きて、思わず頬が熱くなる。こんな歓迎、初めてだ。王城では誰も名前すら呼んでくれなかったのに。
「あ、あの、よろしくお願いします」
おずおずと頭を下げると、誰かが「かたいなぁ!」と笑い、パンのかけらを軽く放ってきた。ふざけているだけらしく、マリエルがすかさず私を庇って笑った。
「この人たち、ちょっと騒がしいけど悪い人はいないから安心して」
「はい……ありがとうございます」
座席に案内され、隣のコリン似の若い騎士——コリン本人だった——がにやにやしていた。
「やっぱり来たんだね! よかったー!」
「コリンくん……ありがとう」
小声で言うと、彼は照れくさそうに鼻をこすった。
夕食の間、みんながさりげなく話しかけてくれる。「王都の飯より美味いだろ?」「数字得意ってほんと?」「団長、きっと喜ぶぞ」——そんな何気ない一言ひとことが、体の奥をじわりと温めていく。
食後、マリエルがそっと耳打ちしてきた。
「ね、ね。団長のこと、どう思った?」
「えっ……」
不意打ちに声が裏返る。マリエルは悪戯っぽく笑っている。
「怖いと思うでしょ? でも、実はすごく優しいんだよ。ああ見えて、部下の名前もちゃんと覚えてるし、怪我したやつがいれば夜中でも診に行く」
「……そうなんですか」
「君のことも歓迎してた。あんなふうに“よく来た”なんて、なかなか言わないんだから」
その言葉に、胸がまた熱くなった。ライアンの声が、耳の奥で温かく響く。
初めてだ。こんなふうに、人の輪の中に入れたのも。誰かに“来てくれてよかった”と真正面から言われたのも。
部屋に戻って寝るころには、身体中がぐったりしていた。でもそれは疲れじゃない。安心の重さだ。新しい居場所の重み。
ベッドの上で、私は小さく笑った。明日からこの砦で働く。数字と紙を相手に、誰かの役に立つ。
そして、きっと——あの寡黙な団長の力になれる。
そう思うだけで、胸の奥が静かに熱を帯びていく。
王城で折れた自尊心が、ゆっくりと形を取り戻していくのを感じながら、私は目を閉じた。明日は初めての仕事だ。少しだけ、楽しみだと心がつぶやいた。
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***
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ありがとうございます💞
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