異世界転生でチートでもないのに全てから愛される件

セイカ

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1章 貴族の息子編

第3話 貴族と庶民

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転生をしてもう1週間が経った。
この1週間物語がないか探したが、全くそんな気配がない。

「貴族はやっぱり政略結婚の方が多いのか?」

私フターミが部屋でそう呟きながら本を読んでいる。
本の物語を読みでもしないと元気がなくなってしまう。
貴族同士の恋や友情はなかなかないところをみたらやっぱり貴族は冷めているのではないかと思ってしまう。
庶民に転生した方が良かったのかと考えたら、ピンッ!と閃いた。

「そうだ!庶民のところに行けば、いっぱい物語を見れるはず!」

庶民なら自分にも馴染み深いので、恋愛などの物語があると思い、早速庶民達が暮らす下町に行こうと支度をしようとした。
したのだが、リオン兄様にそのことをお願いすれば、

「ダメだ」

と一言で僕の願望を一刀両断されてしまった…
何故かと私が聞くと、どうやら私達貴族が治めているこの土地の下町は、少し危ないとのことだ。
庶民同士の争いや貴族を見つけては殺そうとしたりするとのこと。
おぞましい事を聞いたが、それでも現実の物語を見たい!
そのことを訴え続けると、リオン兄様は呆れながらため息を吐いたが、最終的には許可をしてくれた。

「ただし、条件がある」

何だと私が身構えながら聞く。

「まず、庶民の服を着なさい。明らかにそのままでは貴族だとバレる。それと護衛騎士を連れて行きなさい。良いね?」

そう言いながら、すごい圧をかけられたので、「はい~」と間抜けな声で返事をしてすぐに準備に取りかかる。
庶民の服に着替えて、同じく庶民の服を着た護衛騎士2人と出かける。
2人とも私の側近の護衛騎士で、ラルフとカーランという。記憶を辿ってみると、フターミはあまり側近とも上手くいっていなかったようだ。

「この度はご迷惑をおかけして申し訳ありません。本日はよろしくお願い致します」

私が来てくれることにお礼を言うと、2人とも不思議そうに私を見ている。
私が「あの」と声をかけると、彼らは同時にハッとして、

「とんでもございません!貴方様をお守りするのが我らの役割でございます!」

とラルフが胸に拳を当てながら答える。同じく拳を胸に当てたカーランも頷く。
私は、嬉しくて少しクスッと笑ってしまう。

私は2人を連れて下町に行くと、屋敷の中から見えていたものとは全く違くて、大変テンションが上がった。

イヤッホォォォォウ!!!!
ついに来たぜ下町!さあ、物語は見つかるかな?!

と街を回りながら見ていると、時々手を繋ぐカップルや照れながら話をしている男女。そして、何かの勝負をしていてその後にお互いを認めあった友情。中には男性同士の恋人もいた。

おおーー!マジであったよ!ほぼ賭けだったけど、下町に出て良かった~!
良くてよ、良くてよ良くてよよろしくてよ!
もっと見せてくださいな!下町様~!

自分1人で舞い上がっているといつの間にかお菓子屋らしきところの前にいた。
お兄様達にお土産でも買って帰ろうとしたが、ラルフとカーランが

「いけません!」

と私の腕を掴んだ。

えっ?!何でや?!

と驚いていると、ラルフが、

「貴族が直々に庶民のものを買っては危ないのです!何か入っているかもしれない」

と教えてくれたが、そのラルフの言葉が聞こえたのだろう、私が貴族だということがバレた。周りから沢山の人々が私の方へ駆け寄って来た。

「お貴族様でございますか!?」

「お願い致します!どうかお助けください!」

「どうか、どうか我らに救いを!」

私はまた死んでしまう!と思ったが、庶民達がしてきたのは懇願だった。
ラルフ達も構えていたが、驚いた表情をしている。

あー。ハイハイ、これはあれですね?偏見というやつですなー?

おそらく、貴族はろくに庶民と交流していなかった、あるいは関わりたくなかったため、勝手にそういうイメージを抱いていたのだろう。
こういうパターンは私が嫌いにしているもののひとつだ。

だがどうしたものか、勝手にあれこれやれば必ず兄様達はお怒りになるだろう。

…………まあいっか!

考えるのをやめて、庶民達に、

「承知致しました。ですが、一度には出来ないこともありますゆえ、順番でお願い致します。今から数字を書いた札を渡します。その数字の通りの順番で話を聞きます。何が出ても恨みっこはなしですよ!」

と私が言うと、ラルフ達は困惑していた。

「フターミ様!よろしいのですか?!」

「まずは聞くだけです。聞いてからじゃないと何も始まりませんし終わりもありません」

ラルフの問いかけにそう答えると、同じく困惑していたカーランが、

「ですが、庶民と関わりたくないと仰っていたではありませんか!?」

と言ってきた。
そう、実は記憶を辿ってみると、庶民を忌み嫌い、貴族にそういうイメージを持たせたのは誰でもない私自身。詳しくは前のフターミだけど。

「気が変わったのです。少しは庶民と話すのもいいのではとね」

そう言ったら2人とも渋々黙り込む。
庶民達に札を渡し終えて私は一度帰宅する事にした。流石に兄様になんの報告もなしでは、私の気持ちが許さない。

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