中卒の俺が偶然出会った有名配信者とコラボしたらトップランカー入りしてしました。学がなくても大バズりできる裏技でランキング一位を取ります。

ニゲル

文字の大きさ
34 / 57
二章 天才探偵

33話 分かり合えない

しおりを挟む
「夜道君は私の援護に続いて奴に攻撃してくれ!」

 シャーロットはルーペを振り上げ光線を出し魔物の退路を塞ぐ。空中に乱雑に飛ばされるそれに飛ぶスペースを潰され、奴はお得意の空中戦を封じられる。
 両手足の鋭利な爪を光らせこちらを殺そうと嘴からカチカチと威嚇の音を出す。

「今度は逃がさない……絶対に倒す!!」

 俺は二本の剣で奴の爪を弾き着実に追い詰めていく。爪と鋼鉄では後者に軍配が上がり奴の爪は傷つき鋭利だった先は削れ丸みを帯びていく。
 やがて剣は爪や羽を通り越し肉を斬り、赤い鮮血が宙を舞う。
 これは中々の深手だったようで奴は自分の死を自覚し狼狽えて逃げ出そうとする。

「させないよ! いくよ夜道君!」

 俺達はタイミングを合わせてボタンを三回押しそれぞれの武器にエネルギーをチャージする。
 奴の顔に恐怖の色が出て焦り木に激突する。

「うわっ!!」

 その衝撃で木が揺れて男の子が巣から投げ出されてしまう。
 建物三階程の高さだ。打ちどころが悪ければ即死だ。

「ちっ……!!」
 
 俺は剣を放り捨てて駿君を受け止めに向かう。しかしシャーロットはそんなことどうでも良いかのように、明らかに気づいているのにお構いなしにルーペから先程とは比較にならない威力の光線を発射する。
 それは奴の体ど真ん中を捉え消し炭にする。そして駿君がいた木にも当たりこちらにも衝撃が伝わり、俺はこの子を受け止めたはいいものも風圧により転がされ駿君に擦り傷を作ってしまう。

「大丈夫!?」

「う、うん……」

 駿君は生傷こそあるものの、俺が一度受け止めたため衝撃は殺せており命に別状はない。

「ふぅ……なんとか両方の依頼を完了できたね。やはりこのシャーロットに解決できない依頼は……」

「おい!!」

 またいつもの自画自賛が始まりそうだったが、俺は怒鳴り彼女の独り言を堰き止める。

「もしかしてあんた……駿君が落ちているの分かってて助けようともせず撃ったのか!?」

「そうだけど何か?」

 駿君が死ぬ可能性があったことは観察眼が優れている彼女なら必ず視野に入れていたはずだ。それを無視して魔物にトドメを刺しにいった。
 それは場合と運によっては見殺しにするのも同然だ。だからこそ彼女の飄々とした態度が許せなかった。人を見殺しにすることだけは。

「あんた自分が何したのか分かってるのか!? 駿君が死んでたかもしれないんだぞ!?」

「それよりもあの魔物を取り逃す方が重大だったというわけだ。魔物退治の依頼の方が報酬や責任が重大だしそっちを優先するのは当然だろう?」

「あんたそれ……本気で言ってるのか?」

 とてもじゃないが理解できない。人命より優先すべきことなんてあるはずがない。
 人の命を軽視するその考えに協調なんてできようがない。

「あ、あの……」

 駿君が立ち上がり気まずそうにこちらの様子を窺う。口元には木の実らしきものが付いており、どう手に入れたのかは不明だがそれで空腹をやり過ごしていたのだろう。
 
「ごめんまずは家に帰りたいよね。道はこっちだから……」

 俺はこの場では矛を収めて駿君を背負って山を下るのだった。


☆☆☆


「……というわけだ。ちゃんと魔物退治の依頼は達成したから契約通り振り込みを頼むよ」

 あれから駿君を親元に帰してから事務所に戻り、掃除をしながらシャーロットの敷島さんへの報告を耳に入れる。
 サブネルソンの調査結果によるとあの魔物は地球の鳥と習性が非常によく似ており、駿君を連れ去り自分の子供のように木の実などを運んで世話していたようだ。
 そして警官を獲物と見做し木に吊るしていたらしい。

「じゃあまた魔物を倒したら連絡するよ」

 シャーロットが通話を終えスマホを机に置く。

「それで……夜道君はこれからどうするつもりなのかな? この事務所のやり方に随分と不満があるようだったけど?」

 指をタンタンとリズムを刻ませて机を叩く。苛立ちが見て取れ、遠回しにこのバイトをやめるよう促しているとも受け取れる。

「夜道さん。あなたのような考え方も理解できないわけではありません。しかしこれがシャーロット探偵事務所の方針ですので」

 ベラドンナは彼女とは反対に優しくだが、無理しないようにと善意からなのだがそれでも辞職を勧めてくる。
 実際肌や感性に合わない仕事は辞めるのが正解だ。

「いや……俺はこの仕事を続けるよ」

 だが俺の答えは論理に基づいたものではなかった。

「ほう……どうして? あっ、お金かい?」

「いや違うよ。確かにここの論理は理解できないしこのまま続けても納得することはないと思う。
 でも、理解しようともせずに離れるのはもっと嫌なんだ。だから……続ける。続けて少しでも二人のことを知れるようになるよ」

 気に入らないからといってここを辞めて投げ出すのはそれこそ無責任だ。
 だからここに残り二人がまた人を見殺しにしようとしたら止めるし、二人のことをもっとよく理解したい。

 それが俺の出した答えだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件

月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ! 『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』 壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...