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四章 アイ参上!
37話 ライブへの準備
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「生人! 決めろ!」
サッカー部のクラスメイトの子が僕に向かって高いパスを上げる。その高さは相手校の選手が誰も取ろうとしない程の高さで、このままラインを切る無謀なパスに思えた。
「任せて!」
しかし僕はゴールの前に、ボールの落下地点の少し前に向かって駆け出す。鍛え訓練したその足を使って、疾風の如く走りまだボールが宙を待っている時点でジャンプする。
本来なら届くはずもない高さだったが、僕の驚異的なジャンプ力ならいけると確信する。
予想通りボールはちょうど僕の跳んだ場所に来てくれた。僕は体を捻りゴールに向かってオーバーヘッドキックを放つ。
そのシュートは相手も予想していなかったらしく、速さも相まって彼らは反応できずにボールはゴールに突き刺さった。
それとほぼ同時にホイッスルが鳴り、それは試合終了を知らせる。
「すげぇな生人! 今のパスも取れちまうなんて!」
先程パスをくれたクラスメイトの晴也がこちらに駆け寄って来る。
「仕事の都合で高い所に急いで行かないといけないこともあるから、ジャンプ力は鍛えているんだ」
「はえーそうなのか。あ、それと今日はありがとうな。フォワードの奴が先週足捻っちゃったからって急にお前に頼んで」
「いいよいいよ別に。それより僕より他に試合に出たかった人とかいなかったの?」
僕はベンチに座っている自分の学校の選手達を見る。いくら練習試合とはいえ、彼らもスポーツマンだ。試合には出してもらいたいだろう。
誘いを受けた時から僕がそのチャンスを奪っていいものかと考えていた。
「それが今日休んだ奴がすごいストライカーでさ。とてもじゃないけど代役なんてできないしみんなやりたがらなかったんだよ。
そこで前体育でとんでもないプレーをしたお前を無理も承知で頼んだってわけ」
僕は前の体育の授業でサッカーをした際、小回りが利くこの体で圧倒的なプレーを見せて何本もシュートを入れた。
「そうだよ気にしないでよ生人君」
先程までベンチに座っていた隣のクラスの相馬が話しかけてくる。
「少なくとも僕じゃあ生人君みたいなプレーはできなかった。それに君を見て僕ももっと頑張らないとって思えたしね。諸々含めて感謝しているよ」
「ならよかったよ」
彼らが僕に対して嫉妬などを抱いていないと知り僕は一安心する。
その後片付けなどが終わり解散して、相馬と晴也からお礼代わりのジュースとお菓子を貰う。
「なぁ生人? 一つ聞いていいか?」
僕が早速貰ったメロン味の炭酸飲料に口をつけると、晴也から言葉を投げかけられる。
「お前って峰山さんと同じ屋根の下で暮らしてるんだよな?」
「まぁ……そうだけど」
正確には十数個の天井を挟んだ屋根の下で、セキュリティがしっかりした扉と防音の壁に隔たれてだが。
「うっらやましいなー! あの超絶美人と一緒に暮らせてるなんて!」
「晴也……一緒に暮らすっていっても部屋は完全に分かれてるし、仕事と……あと遊んだりする時と、一緒に勉強したり配信について話し合ったりする時と、ご飯食べに行ったりする時と……あれ?」
自分で話していて僕は思ったより彼女とずっと一緒にいることに気づく。確かに今思えば四月に高校に入学してDOに入ってからは毎日かなりの時間を彼女と過ごしていた。
「めちゃくちゃ仲良いじゃん。多分男子の中であの人と遊びに行ったことあるの生人だけだぜ?」
「確かに入学式から今日まで毎日顔合わせしてるけど、他の人と遊んでる感じは一切なかったな」
二人は言葉を失う。先程から嘘だろと言いたげな目で僕のことを見てくる。
学校でみんな峰山さんのことを高嶺の花とか、雲の上の存在だとかよく言っているけれど僕はそうは思わない。
彼女はみんなが思うような完璧超人ではなく、しっかり欠点もある普通の人間なのだ。それをここ数ヶ月ずっと一緒にいた僕は知っていた。
「きっと二人も話しかけに行ったら喜ぶと思うよ。峰山さんは恥ずかしがりだけどとても良い人だから」
二人は煮え切らないといった感じだったがとりあえずは僕の言ったことに納得してくれて、それから適当に話をした後二人と別れて僕は部屋に戻る。
机の上に置いてあるカレンダーには明日の日付に丸が付けてあり、海上ライブの日と書かれてる。
僕が峰山さんと岩永さんと一緒に行く海上ライブ。今一番流行っているアイドルのアイが開くそのライブに行く日が明日に迫っていた。
「アイか……」
一応存在自体は知っていた。
ランストを使い変身して、その状態で常軌を逸したパフォーマンスで観客を沸かせるアイドル。それだけでなく歌やトークの技術も他のアイドルとは比べ物にならず、世間からは二度と出ない逸材とまで呼ばれている。
今思えば岩永さんよく抽選当たったな……三枚持ってたってことは外れること想定して何枚も応募したのかな?
そんなことを考えながら僕はスマホを操作しアイについてもう一度調べてみる。
動画サイト上にあるライブやミュージックビデオの動画。そしてダンジョン配信を見る。
「声色を変えて見ている人を飽きさせないようにしている。それに動きも無理ない範囲で派手に魅せるようにしようとしていて、コメントも一定周期で返すようにしている」
いくつかの動画を見て、やはり彼女は僕とどこか似ていると感じる。
いやそもそもお互い知名度を上げることを目的として活動しているのだ。寧ろ似て当然なのかもしれない。それでも僕は彼女に親近感を覚え、どこか惹かれていた。
その後配信をある程度見てから、明日に影響が出るといけないので早めにスマホを閉じ寝るのだった。
サッカー部のクラスメイトの子が僕に向かって高いパスを上げる。その高さは相手校の選手が誰も取ろうとしない程の高さで、このままラインを切る無謀なパスに思えた。
「任せて!」
しかし僕はゴールの前に、ボールの落下地点の少し前に向かって駆け出す。鍛え訓練したその足を使って、疾風の如く走りまだボールが宙を待っている時点でジャンプする。
本来なら届くはずもない高さだったが、僕の驚異的なジャンプ力ならいけると確信する。
予想通りボールはちょうど僕の跳んだ場所に来てくれた。僕は体を捻りゴールに向かってオーバーヘッドキックを放つ。
そのシュートは相手も予想していなかったらしく、速さも相まって彼らは反応できずにボールはゴールに突き刺さった。
それとほぼ同時にホイッスルが鳴り、それは試合終了を知らせる。
「すげぇな生人! 今のパスも取れちまうなんて!」
先程パスをくれたクラスメイトの晴也がこちらに駆け寄って来る。
「仕事の都合で高い所に急いで行かないといけないこともあるから、ジャンプ力は鍛えているんだ」
「はえーそうなのか。あ、それと今日はありがとうな。フォワードの奴が先週足捻っちゃったからって急にお前に頼んで」
「いいよいいよ別に。それより僕より他に試合に出たかった人とかいなかったの?」
僕はベンチに座っている自分の学校の選手達を見る。いくら練習試合とはいえ、彼らもスポーツマンだ。試合には出してもらいたいだろう。
誘いを受けた時から僕がそのチャンスを奪っていいものかと考えていた。
「それが今日休んだ奴がすごいストライカーでさ。とてもじゃないけど代役なんてできないしみんなやりたがらなかったんだよ。
そこで前体育でとんでもないプレーをしたお前を無理も承知で頼んだってわけ」
僕は前の体育の授業でサッカーをした際、小回りが利くこの体で圧倒的なプレーを見せて何本もシュートを入れた。
「そうだよ気にしないでよ生人君」
先程までベンチに座っていた隣のクラスの相馬が話しかけてくる。
「少なくとも僕じゃあ生人君みたいなプレーはできなかった。それに君を見て僕ももっと頑張らないとって思えたしね。諸々含めて感謝しているよ」
「ならよかったよ」
彼らが僕に対して嫉妬などを抱いていないと知り僕は一安心する。
その後片付けなどが終わり解散して、相馬と晴也からお礼代わりのジュースとお菓子を貰う。
「なぁ生人? 一つ聞いていいか?」
僕が早速貰ったメロン味の炭酸飲料に口をつけると、晴也から言葉を投げかけられる。
「お前って峰山さんと同じ屋根の下で暮らしてるんだよな?」
「まぁ……そうだけど」
正確には十数個の天井を挟んだ屋根の下で、セキュリティがしっかりした扉と防音の壁に隔たれてだが。
「うっらやましいなー! あの超絶美人と一緒に暮らせてるなんて!」
「晴也……一緒に暮らすっていっても部屋は完全に分かれてるし、仕事と……あと遊んだりする時と、一緒に勉強したり配信について話し合ったりする時と、ご飯食べに行ったりする時と……あれ?」
自分で話していて僕は思ったより彼女とずっと一緒にいることに気づく。確かに今思えば四月に高校に入学してDOに入ってからは毎日かなりの時間を彼女と過ごしていた。
「めちゃくちゃ仲良いじゃん。多分男子の中であの人と遊びに行ったことあるの生人だけだぜ?」
「確かに入学式から今日まで毎日顔合わせしてるけど、他の人と遊んでる感じは一切なかったな」
二人は言葉を失う。先程から嘘だろと言いたげな目で僕のことを見てくる。
学校でみんな峰山さんのことを高嶺の花とか、雲の上の存在だとかよく言っているけれど僕はそうは思わない。
彼女はみんなが思うような完璧超人ではなく、しっかり欠点もある普通の人間なのだ。それをここ数ヶ月ずっと一緒にいた僕は知っていた。
「きっと二人も話しかけに行ったら喜ぶと思うよ。峰山さんは恥ずかしがりだけどとても良い人だから」
二人は煮え切らないといった感じだったがとりあえずは僕の言ったことに納得してくれて、それから適当に話をした後二人と別れて僕は部屋に戻る。
机の上に置いてあるカレンダーには明日の日付に丸が付けてあり、海上ライブの日と書かれてる。
僕が峰山さんと岩永さんと一緒に行く海上ライブ。今一番流行っているアイドルのアイが開くそのライブに行く日が明日に迫っていた。
「アイか……」
一応存在自体は知っていた。
ランストを使い変身して、その状態で常軌を逸したパフォーマンスで観客を沸かせるアイドル。それだけでなく歌やトークの技術も他のアイドルとは比べ物にならず、世間からは二度と出ない逸材とまで呼ばれている。
今思えば岩永さんよく抽選当たったな……三枚持ってたってことは外れること想定して何枚も応募したのかな?
そんなことを考えながら僕はスマホを操作しアイについてもう一度調べてみる。
動画サイト上にあるライブやミュージックビデオの動画。そしてダンジョン配信を見る。
「声色を変えて見ている人を飽きさせないようにしている。それに動きも無理ない範囲で派手に魅せるようにしようとしていて、コメントも一定周期で返すようにしている」
いくつかの動画を見て、やはり彼女は僕とどこか似ていると感じる。
いやそもそもお互い知名度を上げることを目的として活動しているのだ。寧ろ似て当然なのかもしれない。それでも僕は彼女に親近感を覚え、どこか惹かれていた。
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