カードで戦うダンジョン配信者、社長令嬢と出会う。〜どんなダンジョンでもクリアする天才配信者の無双ストーリー〜

ニゲル

文字の大きさ
90 / 130
七章 最高のクリスマスプレゼント

85話 本当の犯人は……

しおりを挟む
 狼人間のサタンを倒してから十分ほど経ったが、サタンの数は一向に減る気配がない。
 そしてサタン達は不可解な行動を取っており、それがわたくしの中に一抹の不安を掻き立てる。

 サタン達は避難している人などを積極的には襲おうとはせず、この建物の破壊にこだわっている。
 壁を壊したり天井に頭突きをして穴を開けたり。この葬式場を崩したいかのように感じ取れる。
 最悪崩されたとしてもわたくし達は変身しているので大丈夫だろうし、避難ももう済んでいる。

 だがまだ田所さんの遺体がこの式場内にある。
 今サタンと戦える者は手が離せず遺体を運んでいる暇などない。もしここを崩されたら田所さんは埋もれ燃やされてしまうだろう。

「生人さん! 応答してください!」

 わたくしはランストに向かって声を張り上げる。先程から生人さんに連絡を取ろうとしているが、一切応答しない。
 もしかしたらお手洗いに行っている際に変身していない状態でサタンに襲われたのではと考えてしまうが、そんな不安を押し殺して今は目の前のサタン達の処理を行う。

「寧々ちゃん! アタシはこっちに行くからそっちは任せていい!?」

 別れ道に当たり、椎葉さんがわたくしとは違う道に進もうとする。

「はいお願いします! それと何か応援が必要な場合はすぐに連絡を!」
「了解! 任せといて!」

 わたくしは彼女とは違う道を進み、そこで数十体ものサタンを倒していく。
 ダメージはないが走りながら戦っているので流石に疲労が溜まり、一旦止まり呼吸を整えようとする。
 壁に手をついた瞬間凄まじい衝撃と爆音が辺り一帯を覆いわたくしはその場に尻餅をついてしまう。

「一体何が……」

 音が止み辺りを確認しようとしたが、上から降ってきた瓦礫に押し潰され視界が遮られ暗転する。
 
「熱っ!!」

 火を纏っている瓦礫もすぐ側にあるため、まるで熱された鉄板を体に押し付けられているような感覚に襲われる。
 そんな中に長居はできず、わたくしは瓦礫を押し除けその上へ飛び出る。
 
「寧々ちゃん大丈夫だった!?」

 瓦礫の山の上にはもう既に風斗さんと椎葉さんがおり、そして生人さんの姿はなかった。

「わたくしは大丈夫です。それより生人さんは……」

 最悪の状況が脳裏を掠めたが、それは杞憂で終わってくれる。
 背後で瓦礫が吹き飛び、その中から生人さんが飛び出てくる。

「痛ててて……何が起こったの?」

 体に付いている埃や炭などを叩き落としながらこちらに事情を尋ねてくる。

「生人さんこそ何してたんですか!? 心配したんですよ!?」

 安堵のあまり肩を掴み抱きしめそうになるが、今この場には椎葉さんと風斗さんも居ることを思い出しギリギリのところで踏み留まる。

「トイレに入ったら急に眠くなって……気づいたらすごい爆発音がして咄嗟に変身したんだ」
「つまり生人さんは今まで寝ていたということですか?」

 こんな緊急事態に、それ以前に葬式中に寝てしかもわたくし達からの連絡も聞き逃していた。
 それはDOとしてありえない態度であり、生人さんの言うヒーロー像からもかけ離れている姿だ。
 彼もそれを自覚しているようで俯きごめんなさいと一言呟くとそれ以上は何も語ろうとはしない。

「生人。お前は本当にトイレで寝ていただけなのか?」

 瓦礫の上を歩きながら風斗さんが生人さんを問い質す。
 どこか言葉に棘があり、何か含みのようなものもある。

「すみませんでした」

 生人さんは自分に非があるので素直に頭を下げ謝る。
 だが風斗さんは態度を一向に変えない。寝過ごしたことはどうでもよいかのように。

「なぁ。もしかしてこの建物を燃やしたのはお前なんじゃないか?」

 風斗さんは生人さんに剣を向け、言葉に籠らせた刃を更に鋭くさせる。

「えっ……そ、それは。そんなことないよ!」
「何で今一瞬言い悩んだ? 何かやましいことでもあるのか?」

 風斗さんは剣を向けたまま生人さんに詰め寄り、その切先はついに生人さんの喉元に届こうとする。

「真太郎さん!! ストップ!!」

 椎葉さんが背後から彼の両腕を抱え上げ切先を生人さんから逸らす。

「そうですよ風斗さん! 生人さんがそんなことするわけ……」

 わたくしはそう言いかけるが、この前の田所さんの手紙の内容を思い出してしまう。
 生人さんは人間ではない。寄生虫という名の化物なのだと。

「僕はやってない!! 信じてよ……!!」

 今度は言い淀みなく口調を強くして否定する。
 
「悪かったな……俺も疲れてどうかしていたよ」

 風斗さんも剣を下ろしてくれて、とりあえずこの修羅場はどうにかなってくれた。
 だが問題がなくなったわけではない。

 田所さんの遺体は今頃原形も残らない程グチャグチャになり燃やされてしまっているだろう。
 それに今あるわたくし達のこのギスギスとした空気はそう簡単には治ることはないだろう。

 わたくし達の物語はより一層悪い方へ進んでいる。その確信が今自分の心を蝕み続けているのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

処理中です...