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八章 ボク
98話 知らせたくない真実
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「峰山さん大丈夫?」
危険が去ったことを確認して、変身を解き峰山さんの元へと向かう。
幸い怪我は大したことはなく少し休めばすぐに動けるようにはなるだろう。
「うぅ……生人さん?」
峰山さんは特に何ともなく目を覚ます。目立った外傷もなく首を締められていたが声にも違和感はない。
「ありがとう峰山さん。君のおかげでキュリアを倒せた。君のおかげで僕はヒーローをまた目指すことができた」
「生人さんっ……!!」
峰山さんは目に涙を浮かべたかと思えばこちらに飛びつき抱きついてくる。
温かい彼女の体温が肌に伝わってくる。頬と頬が擦れ合い柔らかな感覚が前後する。
「ありがとうございます。戻ってきてくれて」
段々と腕に込められる力が強くなっていき、骨がミシミシと悲鳴を上げ始める。
いくら寄生虫として目覚め強化された僕でも痛覚はある。この雰囲気で彼女を引き離すのは気が引け我慢していたが数十秒もすれば限界がくる。
「峰山さん……い、痛い」
「あっ! す、すみません……えっと、あはは……」
腕に込める力を緩めてくれるが、完全には離してくれない。僕の肩の上に顔を乗っけて深く深呼吸する。
そうして数分この体勢のままで、段々と峰山さんの顔が熱ってくる。
「すみません……少し距離を取ってもらってもよろしいでしょうか?」
彼女は顔を手で覆い隠しながら僕からゆっくり離れる。
「いいけど……どうかしたの?」
僕も立ち上がって後退り彼女から距離を取る。彼女は顔を隠しているが耳の端まで赤く染まっている。
「距離感を間違えてしまいました。すみません……」
「そうなの? 僕には分かんないや」
しばらくしてやっと彼女も落ち着きお互いに冷静に話すことができる。
何だかこうして二人でゆっくり落ち着いて話せるのは久しぶりな気がする。田所さんがいなくなってから僕はずっと不安定な精神状態だったから。
でも今は違う。峰山さんが僕を救ってくれた。彼女が僕をヒーローとして求めてくれたから今生きていける。前へ進む気力を分けてもらえた。
「これからあなたはどうするつもりですか?」
「僕は一旦DO本部に戻ってみるよ。そしてもう一度風斗さんと話してみる」
「風斗さんはあなたのことを強く憎んでいます。話す暇もなく攻撃されてしまうかもしれませんよ?」
彼女が言うこともごもっともだ。
風斗さんは僕に対してあまり良い感情を抱いていないだろう。それについては僕も納得してるし言い訳のしようもない。
「でもだからこそ風斗さんと会うべきなんだ。逃げてちゃ前に進めない。僕は決めたんだ。逃げずに罪と向き合うって」
「なら……わたくしにもその償いを手伝わせてください」
彼女は優しく微笑みながらスッと手をこちらに差し出してくる。
「わたくしはあなたに救われました。この人生はもう自分だけのものじゃありません。
あなたがわたくしの過去と真剣に向き合ってくれて助けてくれたように、わたくしもあなたの過去と向き合って助けたいんです。
だからこれからも一緒に歩んでいきましょう」
「……うん!」
僕はその手を取り、手を繋いだまま一緒にこの山を降りていく。
「生人さん。二度とあんなことしたり、考えたりしないでくださいよ?」
「あんなこと?」
下山している最中に彼女が真剣な声色で話し出す。
「命を大切にしてください。風斗さんに無抵抗に命を差し出したり、そういうことは本当にやめてください。
もしまた同じような気持ちに襲われたら、その時はわたくしを頼ってくださいね」
「うん気をつけるよ……命は大切だからね……」
僕は歯切れの悪い返答をしてしまう。
命を大切に……か。あはは……そうだよね。自殺なんて本当に馬鹿みたいだよね。もし峰山さんがあのことを知ったら……
彼女は僕の心の中で大きな存在だ。だからこそあのことは絶対に知られたくない。これ以上僕の秘密に踏み込まれてバレたくはない。
心に不安という霧がかかる。だがそれはランストから響く警報音によって掻き消される。
「はいこちら峰山です。生人さんも……一緒に居ます。何かあったのでしょうか?」
峰山さんが反射的にランストを取り出し通話をオンにする。
「美咲の居場所が分かった……富士の樹海だ。そこにダンジョンの反応があって、監視カメラにそこに向かう美咲の姿も確認できた。
それで……生人は大丈夫なのか?」
「父さん僕は大丈夫だよ!」
もう僕は自分の存在意義が分からず思考が停止したりはしていない。
また戦える。たとえ相手が美咲さんであろうとヒーローとして容赦なく倒すことができる。
「大丈夫……みたいだな。本当に良かった……」
「うん! それで富士の樹海まで行けばいいの?」
「あぁ。近くにあるワープ装置から向かっていってくれ。愛と風斗ももうそこに向かったからそこで合流してくれ」
ランストの通話が終わり、僕は気合いを入れ直し近くのワープ装置まで向かおうとする。
「行こう……決着をつけに」
「はい」
二人で駆け出す。美咲さんとの決着をつけるために。風斗さんともう一度話し合うために。
僕のこれからの人生という道を突き進んでいくために。
危険が去ったことを確認して、変身を解き峰山さんの元へと向かう。
幸い怪我は大したことはなく少し休めばすぐに動けるようにはなるだろう。
「うぅ……生人さん?」
峰山さんは特に何ともなく目を覚ます。目立った外傷もなく首を締められていたが声にも違和感はない。
「ありがとう峰山さん。君のおかげでキュリアを倒せた。君のおかげで僕はヒーローをまた目指すことができた」
「生人さんっ……!!」
峰山さんは目に涙を浮かべたかと思えばこちらに飛びつき抱きついてくる。
温かい彼女の体温が肌に伝わってくる。頬と頬が擦れ合い柔らかな感覚が前後する。
「ありがとうございます。戻ってきてくれて」
段々と腕に込められる力が強くなっていき、骨がミシミシと悲鳴を上げ始める。
いくら寄生虫として目覚め強化された僕でも痛覚はある。この雰囲気で彼女を引き離すのは気が引け我慢していたが数十秒もすれば限界がくる。
「峰山さん……い、痛い」
「あっ! す、すみません……えっと、あはは……」
腕に込める力を緩めてくれるが、完全には離してくれない。僕の肩の上に顔を乗っけて深く深呼吸する。
そうして数分この体勢のままで、段々と峰山さんの顔が熱ってくる。
「すみません……少し距離を取ってもらってもよろしいでしょうか?」
彼女は顔を手で覆い隠しながら僕からゆっくり離れる。
「いいけど……どうかしたの?」
僕も立ち上がって後退り彼女から距離を取る。彼女は顔を隠しているが耳の端まで赤く染まっている。
「距離感を間違えてしまいました。すみません……」
「そうなの? 僕には分かんないや」
しばらくしてやっと彼女も落ち着きお互いに冷静に話すことができる。
何だかこうして二人でゆっくり落ち着いて話せるのは久しぶりな気がする。田所さんがいなくなってから僕はずっと不安定な精神状態だったから。
でも今は違う。峰山さんが僕を救ってくれた。彼女が僕をヒーローとして求めてくれたから今生きていける。前へ進む気力を分けてもらえた。
「これからあなたはどうするつもりですか?」
「僕は一旦DO本部に戻ってみるよ。そしてもう一度風斗さんと話してみる」
「風斗さんはあなたのことを強く憎んでいます。話す暇もなく攻撃されてしまうかもしれませんよ?」
彼女が言うこともごもっともだ。
風斗さんは僕に対してあまり良い感情を抱いていないだろう。それについては僕も納得してるし言い訳のしようもない。
「でもだからこそ風斗さんと会うべきなんだ。逃げてちゃ前に進めない。僕は決めたんだ。逃げずに罪と向き合うって」
「なら……わたくしにもその償いを手伝わせてください」
彼女は優しく微笑みながらスッと手をこちらに差し出してくる。
「わたくしはあなたに救われました。この人生はもう自分だけのものじゃありません。
あなたがわたくしの過去と真剣に向き合ってくれて助けてくれたように、わたくしもあなたの過去と向き合って助けたいんです。
だからこれからも一緒に歩んでいきましょう」
「……うん!」
僕はその手を取り、手を繋いだまま一緒にこの山を降りていく。
「生人さん。二度とあんなことしたり、考えたりしないでくださいよ?」
「あんなこと?」
下山している最中に彼女が真剣な声色で話し出す。
「命を大切にしてください。風斗さんに無抵抗に命を差し出したり、そういうことは本当にやめてください。
もしまた同じような気持ちに襲われたら、その時はわたくしを頼ってくださいね」
「うん気をつけるよ……命は大切だからね……」
僕は歯切れの悪い返答をしてしまう。
命を大切に……か。あはは……そうだよね。自殺なんて本当に馬鹿みたいだよね。もし峰山さんがあのことを知ったら……
彼女は僕の心の中で大きな存在だ。だからこそあのことは絶対に知られたくない。これ以上僕の秘密に踏み込まれてバレたくはない。
心に不安という霧がかかる。だがそれはランストから響く警報音によって掻き消される。
「はいこちら峰山です。生人さんも……一緒に居ます。何かあったのでしょうか?」
峰山さんが反射的にランストを取り出し通話をオンにする。
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それで……生人は大丈夫なのか?」
「父さん僕は大丈夫だよ!」
もう僕は自分の存在意義が分からず思考が停止したりはしていない。
また戦える。たとえ相手が美咲さんであろうとヒーローとして容赦なく倒すことができる。
「大丈夫……みたいだな。本当に良かった……」
「うん! それで富士の樹海まで行けばいいの?」
「あぁ。近くにあるワープ装置から向かっていってくれ。愛と風斗ももうそこに向かったからそこで合流してくれ」
ランストの通話が終わり、僕は気合いを入れ直し近くのワープ装置まで向かおうとする。
「行こう……決着をつけに」
「はい」
二人で駆け出す。美咲さんとの決着をつけるために。風斗さんともう一度話し合うために。
僕のこれからの人生という道を突き進んでいくために。
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