カードで戦うダンジョン配信者、社長令嬢と出会う。〜どんなダンジョンでもクリアする天才配信者の無双ストーリー〜

ニゲル

文字の大きさ
119 / 130
九章 新たなる脅威

113話 感染

しおりを挟む
「椎葉さんまずいよ!! 日向先輩が昨日の夜から行方不明だって!!」

 ボクはDO待機室で椎葉さんを見つけるなり脱兎の如く駆け寄る。

「アタシ達と別れた後から行方知れずってこと?」
「う、うん。誰も行方を知らなくて……」
「まぁでもそんな心配するようなことじゃないんじゃないかな?」

 焦るボクとは正反対に彼女は冷静に、冷たいとも取れる対応をする。

「昨日はしゃぎすぎて疲れてまだ寝てるとかそういう可能性もあるでしょ?」
「そ、それはそうだけど……とにかく日向先輩の家に……」

 荷物を部屋に投げ入れて先輩の家に走って向かおうとするが、ランストがアラームを鳴らし振動する。
 
「生人大変だ! またサタンが現れた! この前の山付近の街に確かな目撃情報があった!」

 父さんのその連絡を聞き、ボクはある一つの不安が浮かんでくる。
 あの山の近くは日向先輩が住んでいる所だ。もしかしたら彼女は昨日そのサタンに何かされてしまったのかもしれない。

「行こう椎葉さん!!」
「う、うん……そうだね」

 体調が悪いのか元気がない彼女と共に変身して目撃情報があった場所まで向かう。
 そこにはもう既に峰山さんと風斗さんが到着していた。

「そっちの状況は!?」
「わたくしが空から確認した限りでは見当たりませんでした。情報では頭と胴体、足で色が違う不気味な身体の構造をしていたようです」

 色が違う……模様とかが体に入ってるのかな?

「今から俺達がやるべきことは一つ。いち早くサタンを見つけ出すことだ。
 指揮官が出してくれた緊急令で市民はある程度避難している。全員別れて見つけたら連絡して取り囲んで確実に仕留めよう」

 風斗さんの指示のもとボク達はそれぞれ別方向へと散る。
 ボクはホッパーの脚力を用いて高く跳びながら辺りを探索する。そうしているうちにいつのまにか無意識に日向先輩の前に来てしまっていた。

「大丈夫かな……いやきっと大丈夫だ。早くサタンを倒して日向先輩を探さないと」

 また再び跳んで探索を再開する。ただ見えてくるのは人気の少ない道と空を飛ぶ鳥達。
 その鳥の中の一匹がこちらに高速で突っ込んでくる。
 衝突しては鳥が怪我してしまうので身を捩り躱そうとするが、ボクはそいつが近づくにつれただの鳥ではないことに気づき戦慄する。
 
 奴は頭部に羽が生えている奇妙な形状をしており、手にはネコ科類特有の鋭い鉤爪が生えており足はボクと同じバッタと類似しているものだ。

「な、なんだあいつは!?」

 今まで見てきたサタンの中でも群を抜いて不気味な容姿。それに畏怖してしまい反応が遅れてしまう。
 奴は空中でボクのことを啄みどこかへ持ち去ろうと方向転換する。

「クソッ! 離せ!!」

 ボクは隙だらけの奴を何発か殴り離させる。数回転してから地面に着地し奴と対峙する。
 奴は空中をクルクル回りながら再びこちらに向かって急降下してくる。
 ボクはギリギリのところで避け奴を地面に激突させようとする。しかし奴は地面にその屈強な足で着地してそれをバネして回避した方向へと跳んでくる。

[ブレイドモード]

 アムバイスをタッチして剣を出現させ、奴の迫りくる爪を剣で受け止める。

「はぁっ!!」

 剣を強く振り上げ、一切の隙を与えず鳩尾に膝蹴りを決める。その威力、タイミングは完璧で奴は吹き飛んでいく。
 日向先輩の家の二階窓へと。

「しまっ……!!」

 窓は大きな音を立てて割れ、奴は室内へと入り込んでしまう。
 ボクはもしかしたらいるかもしれない日向先輩や、その部屋にいる動物達に危険が及んでしまうことを恐れてすぐに二階のベランダに跳び込む。

「あぁ……うずぅ……らぁ……」

 部屋の中のゲージの一つが突き破られている。そこに居たはずのうずらは奴の手に握られている。

「やめっ……」

 うずらは抵抗するも虚しく握り潰される。血が辺りに飛び散り奴は胴体にその血を塗りたくる。
 完全に狂っている。それに日向先輩が大事にしていたうずらを殺されたことでボクは怒りでどうにかなりそうになる。

「お前よくも……!!」

 奴をここから外へ投げ飛ばして必殺技で消し炭にしてやろうとするが、奴が宙にふんわりと浮かんだかと思えばものすごい推進力を生み出しボクを跳ね飛ばし窓から外へ逃げる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

処理中です...