what little strength ~少年は立ち上がり異世界に行ったそうです~

世紀末のラフ

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1.異世界へ

第1話 壊れる日常

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俺こと、栄神航生さかがみこうきは、早朝課外のために遅刻寸前の緊迫感で泣きそうな自分を必死に抑えつつ学校に行き授業を受け、放課後呼び出され教師からは、
「今月コンプリートしたなおまえ」
と嫌味を言われ、さっさと抜け出し下校、食事風呂を済ませて就寝前にネットで怖い話をググるのが日課であった。
そんな日常をいつもどおり過ごし、ググっていた時のことだ。
妙に暗い。
確かに部屋の電気は消している。しかし、それでもこの暗さはなんだろうか闇の中に1人佇んでいるような。
「?」
首を傾げ、起き上がってあたりを見渡す。
「やけに暗いな」
外し忘れた腕時計は、水色の光を発し、奇妙なことにぐるぐると回り出している。顔をしかめながら新しい腕時計の出費を考えながら、
スマホで時刻を確認するといつの間にか画面が真っ白になっていた。
「スマホの出費なんて考えたく無いぞ」
ため息をつきながら手探りで明かりをつけるためスイッチを探す。
「おかしいな」
起き上がってすぐ右にあるはずのスイッチがなく、はたまた壁すらない。
「勘弁してくれよ」
その時、突然後ろから冷気が漂い栄神を包み込む。
「!?」
栄神は本能的に後ろを振り返ったらまずいと思い距離を取ろうとしたが遅かった。
「無駄」
空間に鳴り響くその透き通る声とは裏腹な真実を栄神は身をもって知る。
栄神は自分の暗闇が顔を出す腹をみて血を吐き出す。
意識が朦朧とする中、犯人であろう少女は何かを口にしている。
シルエットはぼやけて見えるが顔まではみえない。
「あんたいったい...」
言いかけたところで横薙ぎの斬撃をくらい暗闇に飲み込まれた。
何時間暗闇に囚われていたのだろうか、
栄神は、体が五体満足であることに気づく。
腹に開けられた穴もなく、斬撃を受けた後もない。
ひたすら、歩いていると光が見え出す。
栄神は光へ手を伸ばす、すると一変暗闇は消えおしゃれな白黒のテーブルと椅子があり、向かいに誰か座っている。
よく見ると、翼が生えて顔はどこかの漫画の中のキャラのような美しさ。ロングで紫色の髪に周りから溢れる何かが止まることなく天を仰ぐ。
「お座りください」
言われるがまま、席に向かう。
「正直心の整理が出来ていないんですが、あなたは天使か何かですか?」
少し困ったようなどこか寂しげな様子で天使のような女性は、口を開く。
「申し訳ありません。諸事情により答えられません。時間がないので簡潔に話します。あなたはもう死んでいます。」
「え?」
突拍子も無い言葉に困惑していると天使のような女性が言う。
「困惑するのも無理はありません。しかし、事実です。ですが、これで人生が終わりではありません。あなたは普通の死に方をしていませんから」
「普通の死に方じゃない?」
「その通りです。」
あの暗闇の一件でのことだろう。
今でも思い出すと身がすくむ。
「ですので、通常記憶消去から新たな人生を送るのですがあなたには、これは出来ないのです。理由は言えませんが」
「それじゃ、俺はどうなるんですか?」
なぜか、俺が発言するたびに泣きそうになる向かいに座わる天使のような女性。
「異世界への転生。もちろん記憶を引き継いだまま、それと..」
言い終わる前にいつの間にか現れた栄神の後ろの扉が開く。
「もう時間のようですね、基本能力上限は解放かつ限界突破エフェクトもついていますので何も心配はありません。」
一層泣きそうになる顔をした一人の女の子に栄神は扉の前で立ち止まり、振り返りながら言う。
「名前教えてもらえませんか?」
一瞬キョトンとした少女はこう告げる。
「ライシー。世界で最も愛しい人からもらった言葉です。」
涙をこらえつつ笑顔を見せたライシーは、光に包まれ視界から消えた。
「んじゃ、異世界転生いってみるか!」
扉の中に入る。
目に映ったのは、火山で火花を散らしながら剣士と戦うドラゴンでも魔界からの魔の手に震え上がってる民衆達でもない。
「学校?」
何故か魔術学校のようなシルエットの建造物の前に、これまた何故かこの学校の制服?を着ている自分がいる。
すると後ろから叫び声にも似た音響が耳に届く。
「どいて!どいてぇーー。
そこの人どけぇー!!!!」
すぐさま横薙ぎの一閃が顔に当たりそうになる。
以外にも遅く見え、上半身でかわしながら顔を上げると運が悪かった。
顔を上げた位置にちょうど少女の胸が突っ込む。
赤髪に少し銀髪がかった日本人離れした少女は顔を赤らめ、魔術を詠唱し出す。
「理不尽だ。」
校庭にリズミカルな音が鳴り響く。



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