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1.異世界へ

第6話 契約

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無数の殺気に包まれた栄神の眼前に広がるのは、先ほどのそれではない。
一面真っ白な草原。
どこまでも赤く色濃く広がる空は、
大地と対照的な圧を感じる。
「一体ここは...」
「久しぶりの来訪者」
「君は...誰だ?」
「およそ60年ぶりの来訪者であります、お客様」
そういって律儀に頭を下げる  。
ここでの曖昧な表現は、ただ煩わしいとかそんな故の事ではなく、言葉で言い表す事が大変困難であるが故の事だ。
 の周りは他の背景を捻じ曲げるように 
何か自身が影響を及ぼしている。
「....」
「この空間への出力を介入、本来の姿を形成。主人を呼び起こします。
では、ごゆっくり」
が言い終えるとすぐに
姿を消した。
その瞬間、大地いやこの空間全体が激しく揺れた。
「なん...なんだ!」
少し経つと揺れはおさまり、時空の切れ目が出来た。
「おや、まぁ久しい客が人の子だとは」
紫色の長い髪に瞳は青。
空気と一体化してるような蒸気を放つ服
に特に特徴的な尾。
「あなたは?」
「マナ、神域名はマナス。客人名前を」
「栄神」
「前世は修羅か、厄介な契約者だねぇ」
「?」
「もう時間か。
君が必要な時に呼び出すといい。
呼び出したら君の世界で解決できないことは保障しよう。
なんせ、60年ぶりの契約だ。
エネルギーは有り余ってるからねぇ。
それと最後に忠告だが、意識が戻った後に目の前で泣きじゃくってる小娘に対処すること。
男が小娘をあやすのは紳士の務め。
さぁ、行ってくるがいい。」

そして、時は動き出す。
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