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先生、好きです。
第5話
しおりを挟むもう!
ぐっすり寝てるしッ!
「先生、起きて! 徹先生!!」
「んー?」
身体を揺らすと徹先生は目を開いて私の顔を見上げた。
そして大きな欠伸をこぼしながら「やっと来たか」と呟く。
「もう、急いで来たのに!
寝ぼけてないでほら起きてよ!」
「分かった分かった」
ゆっくり起き上がる徹先生に、私は仁王立ちをして腕を組む。
「暇だからってベットで寝るなんて他の生徒に見られたらどうするの!」
「いいんだよ、私用で来てるようなもんだし」
「私用って……」
「土日に保健室が空いてると思ってんのか?」
「え……、知らない……」
忘れ物を取りに教室に来たことがあるから、職員室に先生がいるのは知ってるけど、そう言えば保健室に寄ったことはない気がする……。
徹先生にバカにされたくなくて、バレないように来ていてたし。
「ま、だろうな。
本日は貸し切りです。 わざわざ報告を聞きに来てんの」
「それは、どうもありがとうございます……」
そ、そうだったんだ。
結果を聞きにわざわざ学校に来てくれてたんだ!?
うわぁ。
先生よく来てくれたね……!?
「別に良い。 お前だからな」
先生がフッと笑った。
それにドキッとして心臓の音が大きくなる。
それ聞いたら期待しちゃうよ……。
「──で、大学の方はどうだったんだ?」
「あ、合格したよ」
「そいつはおめっとさん」
立ち上がった先生が、私の頭にくしゃりと手を置いて乱暴に撫でくる。
急なことに固まり呼吸が乱れた。
う、そ──。
普通に頭を撫でてくれたことが嬉しくて、顔が熱くなっていくのを感じていた。
徹先生は私の横を通り過ぎて、いつもの椅子に座ると優雅にコーヒーを飲み始めた。
あ、何か喋らなきゃ……。
えっと、そうだ告白。
────うあぁぁぁ!
告白のこと考えるとドキドキしてきた!
一旦落ち着け、私。
「──百面相」
「え!?」
今、何て!?
慌てて振り向くと徹先生はブッと吹き出して声を上げて笑っていた。
「何でもねぇよ」
「また黙った!」
「それで用事はこれで終わりか?」
「お、終わってない!
えっと、その……。 わ、わたし……」
「あぁ、ちょっと待て。
先に合格祝いとホワイトディのお返しさせろ」
えぇ!?
今!?
私の言葉を遮ると先生は近くにあった鞄から長細い箱を取り出した。
そして「やる」と、ぶっきらぼうに渡して来る。
「あ、ありがとう。 開けていい?」
「あぁ」
私はリボンを解いて箱を開けると、中にはネックレスが入っていた。
──なんでネックレス?
普通、じゃないよね……。
卒業したとは云え“生徒”と“先生”の間柄で。
しかも高校生のほとんどが受ける受験の合格祝いだし。
ネックレスなんて普通プレゼントしない。
じ、じゃぁ何でこんな物をプレゼントしてくれたんだろう?
えぇ、待って情報が何もないぞ……。
「──どうだ?」
「どうだって。 可愛いし、嬉しいけど……」
「そうか」
言葉を濁して言った私に、徹先生は目を細めた。
微笑んだ顔を間近で見た私は一気に心臓が跳ね上がって、全力疾走をしたあとのように鼓動が高鳴っていく。
どうしよう。
心臓の音がうるさい。
こんなの貰ったら期待しちゃうよ……。
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