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先生、好きです。
最終話
しおりを挟む不意打ちで少し強引なキスに、びっくりしてされるがままになっていた。
「……ン、ン……ぷはッ!」
息をするのを忘れていた私は離れた瞬間に止まっていた息を吐き出す。
「なんっ!? いま!? き、キス!?」
「したな、キス」
「うわぁぁぁ!!」
ふぁ、ファーストキスしちゃった!
突然の出来事に私は唇を触れながらブツブツ呟いていた。
自覚していく度に顔がどんどん熱くなるのを感じる。
「……ブッ、ハハッ! なんだよそれ」
「だって初めてなんだもん!」
「だろうな」
「しかも不意打ちだった!」
「そうだな」
すると今度はぎゅっと抱きしめてきた。
──えッ!?
「ま、待って先生。 すごく甘いよ!」
「卒業が近づく度に俺はずっとこうしたかったんだよ」
「そうなの……!?」
「そりゃ好きなヤツからあんだけアピールされて、口説かれてきたらなぁ。
莉乃と啓太に警戒されて、必死に理性かき集めてたわ」
な、なんかすごいこと言われてない!?
いつもと違くて怖いよ!
想像していた展開ともかけ離れてる!!
さっきから何を聞いても甘過ぎて、ドキドキしっぱなしだよぉ。
「これから恋人としてよろしくな」
「う、うん……」
あぁ、そっか……。
私、徹先生の恋人になれたんだ。
「こ、これから彼女としてよろしく、ね!」
先生とこれからも一緒にいられるんだ。
「私、絶対に離しませんからね」
ずっと好きで。
ずっと先生に恋をしてた。
それが、やっと──。
「俺も、どうやら離せそうにない」
そう言って徹先生が私の肩に頭を乗せて寄りかかってくる。
そんな弱ってる姿にギャップを感じて思わず固まった。
それからゆっくりと背中に手を回す。
きっと今まで見てきた顔以外にも。
今の見れた顔以外にも。
まだ知らない徹先生の素顔がたくさんあって。
今まで踏み出せなかった中に、隠されたものを知れる日がやって来る。
しばらくして身体が離れると、お互いに見つめ合った。
開いていた窓から強い風が入って来て、カーテンを揺らす。
笑いながら先生が私に言った。
「柚乃、好きになってくれてありがとう」
「うん」
お互いに囁き合うと、私たちはゆっくり顔を近づけながら目を瞑った。
そして長いキスをした……。
しばらくして顔が離れた時に囁く。
「──、────」
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