魅了魔法による破滅と天使~浮気は魅了魔法のせいと言われても許せません!

柚屋志宇

文字の大きさ
6 / 6

最終話 事件の顛末

しおりを挟む
 王太子だったレオ殿下は、廃太子となりました。
 メロディスさんの奴隷だったことで『平民の奴隷』という汚名が広まってしまったからです。

 平民の奴隷は、貴族たちが敬える存在ではありませんし、平民の奴隷が王になったら他国にも侮られますものね。

 さらにメロディスさんに侍っていたレオ殿下たち四人は、メロディスさんの魅了魔法に落ちたため、魔力が少ないことが証明されてしまったことも一因です。
 メロディスさんの魅了魔法は公にはされていませんが、暗黙の了解となっていましたので、レオ殿下たちの魔力が低いことは知れてしまいました。

 この国において魔力は権威です。

 貴族は血統により魔力を継ぐことが役目でもあるため、魔力の低い者との婚姻は望みません。
 レオ殿下たち四人は高位貴族の令嬢との結婚は絶望的です。

 とはいえ、レオ殿下たちは一般的な平民よりは魔力を持っています。
 特権階級の末席に身を置くことになるでしょう。

 レオ殿下たちの政治生命は完全に終わっていますが、しかし彼らは全くの無能というわけではありません。
 メロディスさんの魅了魔法を発見することが出来たのは、レオ殿下たちが調査官を手配したからですもの。
 これはむしろお手柄です。
 残念ながら、同時にレオ殿下たちの魔力が低いことが露呈してしまったため、彼らにとっては不名誉のほうが大きくなりましたが。
 彼らの事件の処理能力を買っている者もいると聞いていますので、文官か武官かは解りませんが現場で働くような官職に就くかもしれませんね。

 私は、婚約者だったレオ殿下については感情的に許すことができません。
 ですが、すでに赤の他人であり魔力弱者であるレオ殿下については、遠くからご多幸をお祈りしております。

 メロディスさんですが。
 王立魔法学園でメロディスさんが捕縛されたあの日以来、彼女の姿を見た者はいないそうです。
 まあ、王宮の魔法塔にいるのではないかと思います。
 希少な魔法は研究対象ですから。

 もしかしたらメロディスさんは魔法塔で教育を受けて、いずれは王国の影の仕事を担う魔法士になるかもしれません。


 ◆


 私は、新たに婚約を結びました。
 私の新しい婚約者はグラストル公爵令息アーヴィン様。
 かつてメロディスさんのことでレオ殿下に忠告をして、レオ殿下たちに絡まれていたお方の一人です。

 メロディスさんの魅了魔法に落ちなかったお方ですから、魔力は保証されています。

「メロディス嬢は試金石だったね」

 私と新しい婚約者アーヴィン様は、しばしばメロディスさんとそれにまつわる事件について語り合います。
 私たちは共にあの事件の被害者でしたので。

「彼女の魅了魔法がレオ殿下や他の令息たちの魔力量を暴いたんだ。貴族は平民ほど厳密な検査は受けないから、実は魔力が低いなんて、調べられないことだったけれど。メロディス嬢が試金石になって暴かれた」

「たしかに……。メロディスさんの魅了魔法によって、爵位の高さは、魔力の高さとは必ずしも比例しないことが証明されましたね。王家の血筋のレオ殿下が平民のメロディスさんより劣っていたなんて驚きました」

「最近、メロディス嬢は実は天使だったのではないかと思うようになった」

 アーヴィン様は微笑みながら言いました。

「だって彼女のおかげで、私は君と婚約できたのだから。彼女は、私と君との婚約を成立させてくれた。尊い天使だよ」



 ――完――
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

出て行けと言ったものの、本当に出て行かれるとは思っていなかった旦那様

睡蓮
恋愛
ジーク伯爵は、溺愛する自身の妹レイアと共謀する形で、婚約者であるユフィーナの事を追放することを決めた。ただその理由は、ユフィーナが婚約破棄を素直に受け入れることはないであろうと油断していたためだった。しかしユフィーナは二人の予想を裏切り、婚約破棄を受け入れるそぶりを見せる。予想外の行動をとられたことで焦りの色を隠せない二人は、ユフィーナを呼び戻すべく様々な手段を講じるのであったが…。

無実ですが、喜んで国を去ります!

霜月満月
恋愛
お姉様曰く、ここは乙女ゲームの世界だそうだ。 そして私は悪役令嬢。 よし。ちょうど私の婚約者の第二王子殿下は私もお姉様も好きじゃない。濡れ衣を着せられるのが分かっているならやりようはある。 ━━これは前世から家族である、転生一家の国外逃亡までの一部始終です。

聖水を作り続ける聖女 〜 婚約破棄しておきながら、今さら欲しいと言われても困ります!〜

手嶋ゆき
恋愛
 「ユリエ!! お前との婚約は破棄だ! 今すぐこの国から出て行け!」  バッド王太子殿下に突然婚約破棄されたユリエ。  さらにユリエの妹が、追い打ちをかける。  窮地に立たされるユリエだったが、彼女を救おうと抱きかかえる者がいた——。 ※一万文字以内の短編です。 ※小説家になろう様など他サイトにも投稿しています。

《完結》氷の侯爵令息 あなたが子供はいらないと言ったから

ヴァンドール
恋愛
氷の侯爵令息と言われたアラン。彼は結婚相手の伯爵令嬢にとにかく冷たい態度で接する。 彼女は義姉イライザから夫が子供はいらないと言ったと聞き、衝撃を受けるが気持ちを切り替え生きていく。

婚約破棄ですか、では死にますね【完結】

砂礫レキ
恋愛
自分を物語の主役だと思い込んでいる夢見がちな妹、アンジェラの社交界デビューの日。 私伯爵令嬢エレオノーラはなぜか婚約者のギースに絶縁宣言をされていた。 場所は舞踏会場、周囲が困惑する中芝居がかった喋りでギースはどんどん墓穴を掘っていく。 氷の女である私より花の妖精のようなアンジェラと永遠の愛を誓いたいと。 そして肝心のアンジェラはうっとりと得意げな顔をしていた。まるで王子に愛を誓われる姫君のように。 私が冷たいのではなく二人の脳みそが茹っているだけでは? 婚約破棄は承ります。但し、今夜の主役は奪わせて貰うわよアンジェラ。

白い結婚なので無効にします。持参金は全額回収いたします

鷹 綾
恋愛
「白い結婚」であることを理由に、夫から離縁を突きつけられた公爵夫人エリシア。 だが彼女は泣かなかった。 なぜなら――その結婚は、最初から“成立していなかった”から。 教会法に基づき婚姻無効を申請。持参金を全額回収し、彼女が選んだ新たな居場所は修道院だった。 それは逃避ではない。 男の支配から離れ、国家の外側に立つという戦略的選択。 やがて彼女は修道院長として、教育制度の整備、女性領主の育成、商業と医療の再編に関わり、王と王妃を外から支える存在となる。 王冠を欲さず、しかし王冠に影響を与える――白の領域。 一方、かつての夫は地位を失い、制度の中で静かに贖罪の道を歩む。 これは、愛を巡る物語ではない。 「選ばなかった未来」を守り続けた一人の女性の物語。 白は弱さではない。 白は、均衡を保つ力。 白い結婚から始まる、静かなリーガル・リベンジと国家再編の物語。

幸運を織る令嬢は、もうあなたを愛さない

法華
恋愛
 婚約者の侯爵子息に「灰色の人形」と蔑まれ、趣味の刺繍まで笑いものにされる伯爵令嬢エリアーナ。しかし、彼女が織りなす古代の紋様には、やがて社交界、ひいては王家さえも魅了するほどの価値が秘められていた。  ある日、自らの才能を見出してくれた支援者たちと共に、エリアーナは虐げられた過去に決別を告げる。 これは、一人の気弱な令嬢が自らの手で運命を切り開き、真実の愛と幸せを掴むまでの逆転の物語。彼女が「幸運を織る令嬢」として輝く時、彼女を見下した者たちは、自らの愚かさに打ちひしがれることになる。

【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました

あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。 そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。 平民出身のヒロインの「善意」、 王太子の「優しさ」、 そしてそれらが生み出す無数の歪み。 感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。 やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。 それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。 なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。 これは、 「断罪される側」が最後まで正しかった物語。 そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。

処理中です...