甘やかされた欲しがり妹は~私の婚約者を奪おうとした妹が思わぬ展開に!

柚屋志宇

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07話 アルマンディンと奇妙な生物

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「ルビー、アルマンディン様から離れなさい。はしたないわよ」

 サフィール嬢がルビー嬢を叱ってくれた。
 だがルビー嬢は僕にくっついたまま離れない。

 どうすれば良いんだ……。

「お姉様はルビーに嫉妬しているんですかぁ?」
「無作法をやめなさいと言っているの!」

 姉妹が言い合いを始めた。

「ルビーはアルマンディン様が気に入っちゃいましたぁ」
「ルビー、お願いだからアルマンディン様から離れて。部屋から出て行って。私はアルマンディン様に大切なお話があるの」

 もう何が何やら、訳がわからない。

「ルビー、貴女はそういう無礼なことをして何度も破談になっているでしょう。スフェーン様に言われたことを忘れたの?!」

 スフェーン様って公爵家のスフェーン様?
 サフィール嬢の妹が、公爵家の嫡子スフェーン様とお見合いしたって話は聞いたことがあるけど……。

 え?
 この子が、あのスフェーン様とお見合いしたの?
 スフェーン様にもこんなことしたの?!

 ……スフェーン様はどうやってこれを乗り切ったんだろう……。

「スフェーン様は意地悪だったんです! アルマンディン様は優しいからあんな酷いこと言いません!」

「アルマンディン様は私の婚約者よ!」

「ルビー嬢、頼むから離れてくれ!」

 僕はルビー嬢に何度目かのお願いをした。
 でもルビー嬢は僕の腕にがっちりしがみついて離れようとしない。

 何なんだこの生物は……。

 もう、どうしようもないから。
 僕はルビー嬢につかまれている腕を強引に引き抜いて、彼女の手を振り払おうとした。

「きゃあ!」

 僕が腕を引き抜いた勢いが強すぎたのか、ルビー嬢は転んでしまった。

 男性が腕を振り払って、女性が倒れたら。
 男性が悪者になるに決まってる!

「ご、ごめん! ルビー嬢、大丈夫?!」

 僕は慌てて、倒れてしまったルビー嬢に手を差し伸べた。

「怪我はない?!」
「アルマンディン様ぁ」

 僕が差し伸べた手を、ルビー嬢は再びがっちりと掴んだ。
 また、捕まってしまった……。

 誰か助けて……。

「足が痛いですぅ。歩けませぇん。ルビーのお部屋まで抱いて行ってくださぁい」
「え、ええっ?!」

 未婚の男女がいて。
 男性が女性を抱いて、女性の部屋まで連れて行く?

 不埒だ。
 不道徳だ。

 そして男性が悪者になる!

 醜聞だ。
 僕の名誉が。
 家族にも迷惑が……。

「そんな不埒なことは出来ない!」
「足が痛くて動けませぇん。アルマンディン様ぁ、ルビーを助けてくださいぃ」

 ルビー嬢はぐっと力をこめて僕の手を掴んだ。

 駄目だ。
 ルビー嬢と一緒にいたら、命がいくつあっても足りそうにない。

 どうやって逃げれば良い?

 僕が絶望と対峙していると、サフィール嬢が控えているメイドたちに指示した。

「貴女たち、ルビーを自分の部屋に連れて行ってあげて」

「は、はい」
「かしこまりました」

 メイドたちがルビー嬢に駆け寄る。

「触らないで! ルビーはアルマンディン様に連れて行ってもらうの!」

 ルビー嬢はヒステリックにそう叫ぶと、近付こうとしたメイドたちをギロリと睨んで威嚇した。

「あんたたちは手を出さないでよね! 私の邪魔したらお父様に頼んでクビにするからね!」

 え、怖い。

「ルビー、いい加減にして。邪魔しないで」
「お姉様こそ、ルビーとアルマンディン様の仲を邪魔しないでください!」

 は?
 僕とルビー嬢の仲?
 何を言っているんだ?

「僕はサフィール嬢の婚約者だよ」

 僕は念のために言った。
 サフィール嬢の妹なら当然知っているはずだとは思ったけれど。

「アルマンディン様ぁ、ルビーと婚約しましょう!」

「……ごめん、意味が解らない……」

「ルビーがアルマンディン様と結婚するって意味ですぅ!」

「僕が結婚するのはサフィール嬢だよ」

「ルビーと結婚しましょう!」

 駄目だ。
 人間の言葉が通じない。
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