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第一章 憧れへの挑戦
第9話 そびえる壁
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地恵期20年2月10日
ユーサリア トレイルブレイザーベース 実技試験専用会場 14時20分
「なんだ、あのデカブツ!?」
レハトは林の向こうに突然現れた巨大な生物に、驚きを隠せずにいた。彼に転ばされて地に伏せていた少女は、その規格外すぎる大きさの化け物を目にして呆然と口を開いた。
「あれは、ジャイアント…エレファント?」
{ジャイアントエレファント}は、高さ30mを越える中級最強クラスのクリーチャーである。文字通り巨大な象ではあるのだが、頭部の形状だけは象のそれとは明らかに異なっているのが特徴である。触手にも見える巨大な5つの鼻が各々意思を持つかのように自在に動き、その先端部には獲物を直接捕食する為の細かい牙が生え揃っている。艶やかな象牙は双方二又に分かれており、天を突きさすように上へ上へと伸びているのが遠目からでもよく見える。鼠色の分厚い皮膚は山に埋もれていたせいか酷く土で汚れており、エルフの様にとんがった両耳をパタパタと動かして、その汚れを叩き落としていた。本来他者からの攻撃を受けなければ積極的に活動しない生態ではあるが、今回は山に生き埋めにされていたのに加え、意図的な爆発による強い刺激を受けている為、見境なく目の前の敵を踏み潰す激昂状態となっているのである。
「よし、行くか」
今から買い物に行くかのような軽い口調と共に歩き出すレハトに、少女は我を取り戻して質問した。
「ちょっ…あんたどこ行くつもり!?」
「どこも何も、あのデカブツの所に決まってんだろ」
「デカブツって…あんな化け物に勝てると思ってんの!?」
彼女の心配には目もくれず、レハトは少々林を歩き回って何かを見つけると、それを軽々と持ち上げて少女に振り向いた。
「負けると思いながら戦いに挑む馬鹿がどこにいるんだよ」
ついさっきまで持てない程に熱されていたグランディウスを、今やレハトは顔色一つ変えずに平然と担いでいる。到底人間が触れる熱さではなく、それを持っている右手からは肉が焼けるような音がしているのにもかかわらずだ。
「あ、あんた…それを持つなんて正気!?」
「目の前で殺されそうになってる人たちがいるんだ。その人達を守る為なら、この程度は熱いのうちにも入らねぇな」
強がりではなく、彼の眼は本気だった。そのあまりに人間離れした肉体と精神力に、彼女は唖然とすること以外できなかった。燃え盛る炎の中で巨大な鉄塊を持ってこちらに近づいて来るレハトの姿は、神か、或いは化け物か。いずれにせよ、少女にとってその姿は恐怖の対象以外の何物でもなかった。そうして腰を抜かして動けなくなっている少女に、その男は手を差し伸べた。
「今ここで決めろ。ここで大人しく見てるか、俺と一緒に来るか。選べ」
*****
揺れる大地の上を、ロビンは息を切らしながら、しかし全力で疾走していた。
「はあ…はあ…っ!もっと、逃げな…きゃ…っ!!」
見上げんばかりの巨大な鼠色の壁は辺り一帯の大地を震わせながら、行く当てもなく本能のままに暴れ狂っている。被害がない場所まで逃げようと試みるロビンだったが、彼が現在走っている場所は湿地エリア。ただでさえ疲れ切って体力が残っていないにもかかわらず、泥に足を取られて思う様に走れない。みるみるうちに壁とロビンとの距離が縮まっていく中で、いつの間にかロビンの視界の左端に十数人の人の集まりが現れた。
「お前らぁ!どてっぱらに集中砲火するぜ!!!」
「「「「「おぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」
集団の1人が叫んだかと思うと、周りが一斉にそれに応答し、各々のオブジェクトで一斉射撃を始めた。受験生の一部が協力しているのだろうという事は想像に難くなかったが、即興のチームであるが故に、射撃している場所はそれぞれ微妙にずれており、ジャイアントエレファントの皮膚はほとんど傷ついていない。それでも多少の痒みは感じたのか、暴れていた巨象は一瞬動きを止める。小さな黒目をぎょろりと動かして射撃部隊の存在を捉えると、痒みを引き起こす虫けらを踏み潰さんとばかりに、その方角に進路を変えて歩き始めた。
「今だぜ!返り討ちにしてやれぇ!!!」
続いてまた別の誰かが叫び、それを合図として物陰から受験生らが飛び出して来た。剣や槍、メイスといった近接オブジェクトを手に持った彼らは、近寄って来たジャイアントエレファントに迎撃を食らわせようと立ち向かう。
その先頭で一際好戦的な態度を見せていたのは、金色の髪を持つ小柄な少年であった。雄叫びを上げながら高くジャンプし、腕に装着した銀色のガントレットでジャイアントエレファントの象牙に打撃を加える。すると象牙にはたちまち大きなヒビが入り、強烈な一撃を加えられたジャイアントエレファントは不覚にもその巨体をのけぞらしたのである。その間隙を突くように、あとに続く受験生らもジャイアントエレファントの足元に攻撃を浴びせ、一気に畳みかける。
その様子を眺めていたロビンは金髪の少年の剛腕に感嘆しながらも、一先ず自分への危機が去った事に安堵し、膝に手をついていた。
(この数分で結成されたチームにしては合理的で息の合った作戦。でもこのままじゃ、あの人達も危ない…っ!)
ジャイアントエレファントの危険性をよく理解していたロビンは一息ついた後、疲弊しきった体を引きずってその集団に加勢しようと走り出す。ところが、数歩進んだ所でジャイアントエレファントが大きくゆっくりと自分の前足を上げ始めた。次に起こる惨劇を予測し、ロビンは声を荒げた。
「…危ない!みんな逃げ──」
言い終わらぬうちに、上げられた前足が勢い良く大地へと振り下ろされる。ロビンの叫びなど聞こえるはずもなかった受験生たちは構わずジャイアントエレファントに向かっていたが、突如として襲い掛かった激しい土煙に全員が顔を背けた。
ドンンンッッッ!!!………ガガガガガガガガガッッッ!!!!!
一層激しい地震が会場を襲う。体勢を崩して倒れこんだ受験生たちの足元に、ふと謎の違和感が駆け巡った。ガガガガガと、地面に着く手足から異様な感覚が走り、その刹那、彼らの足元が轟音を伴いながら割れた。
「ゔっ、あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ジャイアントエレファントの一撃による衝撃で崩壊した大地は、その割れ目を着実に広げていき、近づいていた受験生達を一様に飲み込んだ。闇の中へ消えていく同胞を見下ろしながら数人の受験生たちは何とか崖っぷちに捕まり一命を取り留めたものの、その腕を引っ張り上げてくれる者は誰もいない。
「た…助けてくれよ!…おい、誰もいないのか!?おいっ!おいっ!!誰か……っ!!!」
1人が助けを求めた。しかしその嘆きは割れ目の闇へと飲み込まれる。名も知れぬ誰かの手など誰も掴まず、孤独の中に取り残された彼からはやがて力が抜け、同じように闇に吸い込まれるかに見えたその時、
「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
野太く逞しい少年の声が一つ、天から降り注いだ。流星のように降ってきたその少年は真っすぐ割れ目の中に落ちていき、消える。そして間もなく大地の底が唸り声を上げたかと思うと、恐ろしい勢いで大地の底が隆起した。落ちていったはずの受験生は盛り上がった大地に押し上げられ、何が起こったのか理解出来ずに宙を舞う。
その中にたった1人、口元に笑みを浮かべながら両手で巨大なハンマーを掴む少年の姿がある。割れ目の底が膨れ上がって出来た丘の上に彼は着地し、ただ真っ直ぐ目の前の巨大な壁を睨む。
「俺の目の前じゃ、誰1人殺させやしねえぞデカブツ!!」
自身が起こした巨大な地割れを瞬く間に修復した矮小な動物に、ジャイアントエレファントはほんの一瞬怯んだものの、すぐさま雄叫びを上げて5本の鼻をうねらす。すると、レハトの背後から赤いドレスの少女がちらりと顔を覗かせた。
「あんな大規模の地割れを一撃で直すなんて…。あんた何者?」
「見て分かんねぇのか?ただの人間だろうが」
そう言い捨て、レハトはジャイアントエレファントを見つめて戦闘態勢をとる。その時、ジャイアントエレファントの左後方から、緑の服を着た少年が現れた。彼は2人の姿を確認すると、手を振りながら注意深くこちらに向かって来る。少年の姿を捉えたレハトは戦闘態勢を崩さぬままゆっくりと左側に移動し、少女もレハトの背後に隠れるようにしてじりじりと動いた。一触即発の状況を保ちながら互いに様子を見るレハトとジャイアントエレファント。やがて十数メートル動いたところで、緑の服の少年と合流する事に成功した。
「無事だったんだね、レハト!」
「意外と早い合流だったな、ロビン。お前こそ逃げきれたみたいで何よりだぜ」
安堵の笑みを浮かべて再会の喜びを共有する2人。しかしそんな喜びも束の間、レハトはすぐに目の前の敵に警戒心を強める。
「ところで、アイツをぶっ飛ばす作戦はもう考えてんだろ?」」
「考えはしたけど…って、そこの女の子はどちら様?」
レハトの背後に隠れている少女についての回答を求めるロビンだったが、レハトの「放火犯だ」という適当な返答に心底不愉快そうな表情を浮かべる少女を見て、彼はいくつかの疑問を頭に浮かべつつも、今はその全てを無視する事に決めた。そうして一旦彼女の存在をスルーすると、ロビンはジャイアントエレファントについての情報を伝えた。
「──アイツの弱点が頭部だって事は分かった。でも、どうやってあいつの脳天をかち割りゃいいんだ?」
「見ての通り、ヤツの主な武器は鼻と象牙だ。真正面の敵には強いけど、後ろから攻められた場合の対策が無い。つまりヤツの後方に回ってから体の上に乗り、背中を駆け上がって頭部まで到達すればいいんだ」
「よっしゃ!じゃあさっさと回り込もうぜ!」
ロビンの作戦を聞いてすぐさま行動に移ろうとするレハトだったが、その腕をロビンが捕まえ、彼を制止する。
「話は最後まで聞いて!…で、この作戦を決行するにはいくつか問題点があるんだ」
「問題点?」
「うん。1つは後ろに回り込む間、誰がヤツの気を引くかって事。体の上に乗るなんて、この中じゃレハトくらいにしかできないし、僕とその女の子だけじゃ到底ヤツの相手は出来ない。
そして2つ目は、この湿地エリアの地中には大量のクリーチャーが潜んでるって事」
「は!?こん中にクリーチャーいんの!?」
その発言を聞いた途端、レハトは仰天した目で地中を凝視する。
「湿地エリアのクリーチャーの多くは、普段地中に潜んでいる種ばかりだ。さっきは短い距離だったし、地中を刺激しないようにゆっくり移動したからいいけど、ヤツの後ろに回り込むには200m以上の距離がある。気を付けて移動するにはあまりに長すぎる距離だ。かと言って、走れば地中からクリーチャーが襲って来る」
「デカブツの相手とクリーチャーの迎撃。3人でやるにはあまりに仕事が多いってわけか…」
レハトの分析にロビンが頷いた。
残された試験時間は8分。目の前で他の受験生らが死にかけた様子を見た以上、尻尾を巻いて逃げるという選択肢は2人の中には存在しなかった。しかし目の前の巨大怪物を倒すには障壁があまりに高く、彼らは頭を抱えた。
また、この作戦を実行する上でレハトに伝えた事以外にも複数の問題点があることを、ロビンはよく理解していた。故に改めて作戦を考え直すべきだという考えも浮かんだものの、この緊迫した状況で妙案が出るはずもなく、ロビンは額から冷や汗を垂らした。
「その作戦、俺達も乗ったぜ」
その時、背後からの聞き慣れない声に驚いて、ロビンは後ろを振り返った。そこには長い金髪を三つ編みにした見知らぬ少年が、自信に満ち溢れた笑みを浮かべて立っていたのだ。黒いジャケットと革ズボンに身を包み、低身長でありながら筋肉質。両腕に装着した鋼鉄のガントレットが光を乱反射し、彼の全身が光沢を帯びている。先程ジャイアントエレファントの象牙にヒビを入れたのが彼であるという事に、ロビンはすぐに気づいた。
そんな彼の周囲には、剣や銃型の様々なオブジェクトを持った10~20代前半の若者達が集まっていた。性別も年齢も服装もばらばらだが、2人に対してある程度の信頼を持っていそうな様子である事だけは共通している。
「俺達はさっきそこのデカい兄ちゃんに助けられたクチだぜ。人手が足りてないって言うなら、俺達もあんたらの作戦に協力してやるぜ」
苦悩していた2人の前に現れた突然の光。彼らの力を借りれば或いは、とロビンの顔に一筋の希望の色が浮かぶ。だが、自分の考案した不安定な作戦に他人を巻き込むのは危険だと判断し、ロビンは苦し紛れにその助けを拒む。
「危険すぎる!あんな化け物と相手して、おまけに僕らの護衛をしろだなんて、赤の他人にお願いできるわけ…」
「そう言ってくれんなら、有り難く協力をお願いするぜ」
見知らぬ受験生を心配するロビンに対して、レハトの考えは真逆だった。
「ロビン、この人達も俺らと同じ受験生だ。しかも見た感じ、この人達は命を捨てる為にここに来たわけでもなさそうだ。少なくとも俺らに心配されるような半端な力と覚悟で協力しようとしてるわけじゃないだろ」
依然としてレハトはジャイアントエレファントと視線を合わせつつも、一瞬ちらりと彼らの方へ目をやる。
「あんたらの事は何も知らねえが、これだけの数が手伝ってくれりゃ、それ以上に嬉しい事はねえ。今度はあんたらの事を守れないかも知れねぇが、それでもいいんだな?」
「あったりめーだぜ。テメェの命はテメェで守る。それが出来なきゃ、トレイルブレイザーなんて夢のまた夢だからな」
似ていた。金髪の少年が醸し出す雰囲気は、ロビンが常に信頼しているレハトのそれに驚くほど酷似していた。年下ではありながらも、ロビンがよく知るその雰囲気はロビンにとってこれ以上ない安心感となり、確固たる自信を芽生えさせた。
衝撃を受けて目を見開いたロビンの姿を横目にしつつ、レハトは金髪の少年の発言に対してニッと笑う。するとレハトは左手を握り、少年の前に突き出した。
「気に入った!俺の名前はレハト・ダイア。あんたは?」
「イーロン。イーロン・エルフォンドだぜ!」
イーロンと名乗った少年は、レハトの拳に己の右拳を突き合わせ、視線を交わす。
その一方で、ロビンは緊張する身体を深呼吸で落ち着かせる。今なら倒せるかもしれない。根拠など無くとも、そう思わせるに足りうる確信。そんな希望を抱いたロビンは、自分の胸に手を当てて、覚悟を決めた。
「行こう!」
ロビンの発言を合図として、レハトとロビンの2人は示し合わせたかのように同時に走り出した。
「ロビン、お前はデカブツの正面から気を引いてくれ!その場の指示はお前に任せる!」
「分かった!」
レハトの発言の意図を瞬時に理解したロビンは、彼の言葉に返答してジャイアントエレファントの正面へと向かう。
「みなさん!射撃が出来る方達は僕について来て、ジャイアントエレファントの注意を引いてください!近接武器の方達は、走った2人に続いて、地中のクリーチャーの迎撃をお願いします!」
ロビンの発言に、集まっていた受験生も即座に反応する。ある者はロビンに、またある者はレハトに続き、一斉に走り出す。即興で組まれたチームはまさしく部隊のようにして連携を始めた。
その最中、赤いドレスの少女はその迅速な行動に一歩遅れをとり、状況を理解しきれないまま左右を彷徨った。
「なんなのよあいつら…。あんな化け物、相手にせずに逃げ回ってればいいのに…っ!これじゃあ、私が人でなしみたいじゃない!」
彼女は勇敢な受験生らの行動に理解が出来ず、瞳に戸惑いの色を見せた。下唇を噛み、後ろに振り返って、震える足で一歩一歩と逃げ出す準備を始めるかに見えたその時。数秒の躊躇いの末、彼女も覚悟を決めたように深呼吸を挟み、方向転換してどこかへ走り出していった。踝まで届くドレスのスカートを泥で汚しながら、彼女は髪を振り乱し、一心不乱に駆けてゆくのだった。
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試験開始22分時点 獲得ポイント数
レハト・・・・・56pt
ロビン・・・・・55pt
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ユーサリア トレイルブレイザーベース 実技試験専用会場 14時20分
「なんだ、あのデカブツ!?」
レハトは林の向こうに突然現れた巨大な生物に、驚きを隠せずにいた。彼に転ばされて地に伏せていた少女は、その規格外すぎる大きさの化け物を目にして呆然と口を開いた。
「あれは、ジャイアント…エレファント?」
{ジャイアントエレファント}は、高さ30mを越える中級最強クラスのクリーチャーである。文字通り巨大な象ではあるのだが、頭部の形状だけは象のそれとは明らかに異なっているのが特徴である。触手にも見える巨大な5つの鼻が各々意思を持つかのように自在に動き、その先端部には獲物を直接捕食する為の細かい牙が生え揃っている。艶やかな象牙は双方二又に分かれており、天を突きさすように上へ上へと伸びているのが遠目からでもよく見える。鼠色の分厚い皮膚は山に埋もれていたせいか酷く土で汚れており、エルフの様にとんがった両耳をパタパタと動かして、その汚れを叩き落としていた。本来他者からの攻撃を受けなければ積極的に活動しない生態ではあるが、今回は山に生き埋めにされていたのに加え、意図的な爆発による強い刺激を受けている為、見境なく目の前の敵を踏み潰す激昂状態となっているのである。
「よし、行くか」
今から買い物に行くかのような軽い口調と共に歩き出すレハトに、少女は我を取り戻して質問した。
「ちょっ…あんたどこ行くつもり!?」
「どこも何も、あのデカブツの所に決まってんだろ」
「デカブツって…あんな化け物に勝てると思ってんの!?」
彼女の心配には目もくれず、レハトは少々林を歩き回って何かを見つけると、それを軽々と持ち上げて少女に振り向いた。
「負けると思いながら戦いに挑む馬鹿がどこにいるんだよ」
ついさっきまで持てない程に熱されていたグランディウスを、今やレハトは顔色一つ変えずに平然と担いでいる。到底人間が触れる熱さではなく、それを持っている右手からは肉が焼けるような音がしているのにもかかわらずだ。
「あ、あんた…それを持つなんて正気!?」
「目の前で殺されそうになってる人たちがいるんだ。その人達を守る為なら、この程度は熱いのうちにも入らねぇな」
強がりではなく、彼の眼は本気だった。そのあまりに人間離れした肉体と精神力に、彼女は唖然とすること以外できなかった。燃え盛る炎の中で巨大な鉄塊を持ってこちらに近づいて来るレハトの姿は、神か、或いは化け物か。いずれにせよ、少女にとってその姿は恐怖の対象以外の何物でもなかった。そうして腰を抜かして動けなくなっている少女に、その男は手を差し伸べた。
「今ここで決めろ。ここで大人しく見てるか、俺と一緒に来るか。選べ」
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揺れる大地の上を、ロビンは息を切らしながら、しかし全力で疾走していた。
「はあ…はあ…っ!もっと、逃げな…きゃ…っ!!」
見上げんばかりの巨大な鼠色の壁は辺り一帯の大地を震わせながら、行く当てもなく本能のままに暴れ狂っている。被害がない場所まで逃げようと試みるロビンだったが、彼が現在走っている場所は湿地エリア。ただでさえ疲れ切って体力が残っていないにもかかわらず、泥に足を取られて思う様に走れない。みるみるうちに壁とロビンとの距離が縮まっていく中で、いつの間にかロビンの視界の左端に十数人の人の集まりが現れた。
「お前らぁ!どてっぱらに集中砲火するぜ!!!」
「「「「「おぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」」
集団の1人が叫んだかと思うと、周りが一斉にそれに応答し、各々のオブジェクトで一斉射撃を始めた。受験生の一部が協力しているのだろうという事は想像に難くなかったが、即興のチームであるが故に、射撃している場所はそれぞれ微妙にずれており、ジャイアントエレファントの皮膚はほとんど傷ついていない。それでも多少の痒みは感じたのか、暴れていた巨象は一瞬動きを止める。小さな黒目をぎょろりと動かして射撃部隊の存在を捉えると、痒みを引き起こす虫けらを踏み潰さんとばかりに、その方角に進路を変えて歩き始めた。
「今だぜ!返り討ちにしてやれぇ!!!」
続いてまた別の誰かが叫び、それを合図として物陰から受験生らが飛び出して来た。剣や槍、メイスといった近接オブジェクトを手に持った彼らは、近寄って来たジャイアントエレファントに迎撃を食らわせようと立ち向かう。
その先頭で一際好戦的な態度を見せていたのは、金色の髪を持つ小柄な少年であった。雄叫びを上げながら高くジャンプし、腕に装着した銀色のガントレットでジャイアントエレファントの象牙に打撃を加える。すると象牙にはたちまち大きなヒビが入り、強烈な一撃を加えられたジャイアントエレファントは不覚にもその巨体をのけぞらしたのである。その間隙を突くように、あとに続く受験生らもジャイアントエレファントの足元に攻撃を浴びせ、一気に畳みかける。
その様子を眺めていたロビンは金髪の少年の剛腕に感嘆しながらも、一先ず自分への危機が去った事に安堵し、膝に手をついていた。
(この数分で結成されたチームにしては合理的で息の合った作戦。でもこのままじゃ、あの人達も危ない…っ!)
ジャイアントエレファントの危険性をよく理解していたロビンは一息ついた後、疲弊しきった体を引きずってその集団に加勢しようと走り出す。ところが、数歩進んだ所でジャイアントエレファントが大きくゆっくりと自分の前足を上げ始めた。次に起こる惨劇を予測し、ロビンは声を荒げた。
「…危ない!みんな逃げ──」
言い終わらぬうちに、上げられた前足が勢い良く大地へと振り下ろされる。ロビンの叫びなど聞こえるはずもなかった受験生たちは構わずジャイアントエレファントに向かっていたが、突如として襲い掛かった激しい土煙に全員が顔を背けた。
ドンンンッッッ!!!………ガガガガガガガガガッッッ!!!!!
一層激しい地震が会場を襲う。体勢を崩して倒れこんだ受験生たちの足元に、ふと謎の違和感が駆け巡った。ガガガガガと、地面に着く手足から異様な感覚が走り、その刹那、彼らの足元が轟音を伴いながら割れた。
「ゔっ、あ……あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ジャイアントエレファントの一撃による衝撃で崩壊した大地は、その割れ目を着実に広げていき、近づいていた受験生達を一様に飲み込んだ。闇の中へ消えていく同胞を見下ろしながら数人の受験生たちは何とか崖っぷちに捕まり一命を取り留めたものの、その腕を引っ張り上げてくれる者は誰もいない。
「た…助けてくれよ!…おい、誰もいないのか!?おいっ!おいっ!!誰か……っ!!!」
1人が助けを求めた。しかしその嘆きは割れ目の闇へと飲み込まれる。名も知れぬ誰かの手など誰も掴まず、孤独の中に取り残された彼からはやがて力が抜け、同じように闇に吸い込まれるかに見えたその時、
「おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
野太く逞しい少年の声が一つ、天から降り注いだ。流星のように降ってきたその少年は真っすぐ割れ目の中に落ちていき、消える。そして間もなく大地の底が唸り声を上げたかと思うと、恐ろしい勢いで大地の底が隆起した。落ちていったはずの受験生は盛り上がった大地に押し上げられ、何が起こったのか理解出来ずに宙を舞う。
その中にたった1人、口元に笑みを浮かべながら両手で巨大なハンマーを掴む少年の姿がある。割れ目の底が膨れ上がって出来た丘の上に彼は着地し、ただ真っ直ぐ目の前の巨大な壁を睨む。
「俺の目の前じゃ、誰1人殺させやしねえぞデカブツ!!」
自身が起こした巨大な地割れを瞬く間に修復した矮小な動物に、ジャイアントエレファントはほんの一瞬怯んだものの、すぐさま雄叫びを上げて5本の鼻をうねらす。すると、レハトの背後から赤いドレスの少女がちらりと顔を覗かせた。
「あんな大規模の地割れを一撃で直すなんて…。あんた何者?」
「見て分かんねぇのか?ただの人間だろうが」
そう言い捨て、レハトはジャイアントエレファントを見つめて戦闘態勢をとる。その時、ジャイアントエレファントの左後方から、緑の服を着た少年が現れた。彼は2人の姿を確認すると、手を振りながら注意深くこちらに向かって来る。少年の姿を捉えたレハトは戦闘態勢を崩さぬままゆっくりと左側に移動し、少女もレハトの背後に隠れるようにしてじりじりと動いた。一触即発の状況を保ちながら互いに様子を見るレハトとジャイアントエレファント。やがて十数メートル動いたところで、緑の服の少年と合流する事に成功した。
「無事だったんだね、レハト!」
「意外と早い合流だったな、ロビン。お前こそ逃げきれたみたいで何よりだぜ」
安堵の笑みを浮かべて再会の喜びを共有する2人。しかしそんな喜びも束の間、レハトはすぐに目の前の敵に警戒心を強める。
「ところで、アイツをぶっ飛ばす作戦はもう考えてんだろ?」」
「考えはしたけど…って、そこの女の子はどちら様?」
レハトの背後に隠れている少女についての回答を求めるロビンだったが、レハトの「放火犯だ」という適当な返答に心底不愉快そうな表情を浮かべる少女を見て、彼はいくつかの疑問を頭に浮かべつつも、今はその全てを無視する事に決めた。そうして一旦彼女の存在をスルーすると、ロビンはジャイアントエレファントについての情報を伝えた。
「──アイツの弱点が頭部だって事は分かった。でも、どうやってあいつの脳天をかち割りゃいいんだ?」
「見ての通り、ヤツの主な武器は鼻と象牙だ。真正面の敵には強いけど、後ろから攻められた場合の対策が無い。つまりヤツの後方に回ってから体の上に乗り、背中を駆け上がって頭部まで到達すればいいんだ」
「よっしゃ!じゃあさっさと回り込もうぜ!」
ロビンの作戦を聞いてすぐさま行動に移ろうとするレハトだったが、その腕をロビンが捕まえ、彼を制止する。
「話は最後まで聞いて!…で、この作戦を決行するにはいくつか問題点があるんだ」
「問題点?」
「うん。1つは後ろに回り込む間、誰がヤツの気を引くかって事。体の上に乗るなんて、この中じゃレハトくらいにしかできないし、僕とその女の子だけじゃ到底ヤツの相手は出来ない。
そして2つ目は、この湿地エリアの地中には大量のクリーチャーが潜んでるって事」
「は!?こん中にクリーチャーいんの!?」
その発言を聞いた途端、レハトは仰天した目で地中を凝視する。
「湿地エリアのクリーチャーの多くは、普段地中に潜んでいる種ばかりだ。さっきは短い距離だったし、地中を刺激しないようにゆっくり移動したからいいけど、ヤツの後ろに回り込むには200m以上の距離がある。気を付けて移動するにはあまりに長すぎる距離だ。かと言って、走れば地中からクリーチャーが襲って来る」
「デカブツの相手とクリーチャーの迎撃。3人でやるにはあまりに仕事が多いってわけか…」
レハトの分析にロビンが頷いた。
残された試験時間は8分。目の前で他の受験生らが死にかけた様子を見た以上、尻尾を巻いて逃げるという選択肢は2人の中には存在しなかった。しかし目の前の巨大怪物を倒すには障壁があまりに高く、彼らは頭を抱えた。
また、この作戦を実行する上でレハトに伝えた事以外にも複数の問題点があることを、ロビンはよく理解していた。故に改めて作戦を考え直すべきだという考えも浮かんだものの、この緊迫した状況で妙案が出るはずもなく、ロビンは額から冷や汗を垂らした。
「その作戦、俺達も乗ったぜ」
その時、背後からの聞き慣れない声に驚いて、ロビンは後ろを振り返った。そこには長い金髪を三つ編みにした見知らぬ少年が、自信に満ち溢れた笑みを浮かべて立っていたのだ。黒いジャケットと革ズボンに身を包み、低身長でありながら筋肉質。両腕に装着した鋼鉄のガントレットが光を乱反射し、彼の全身が光沢を帯びている。先程ジャイアントエレファントの象牙にヒビを入れたのが彼であるという事に、ロビンはすぐに気づいた。
そんな彼の周囲には、剣や銃型の様々なオブジェクトを持った10~20代前半の若者達が集まっていた。性別も年齢も服装もばらばらだが、2人に対してある程度の信頼を持っていそうな様子である事だけは共通している。
「俺達はさっきそこのデカい兄ちゃんに助けられたクチだぜ。人手が足りてないって言うなら、俺達もあんたらの作戦に協力してやるぜ」
苦悩していた2人の前に現れた突然の光。彼らの力を借りれば或いは、とロビンの顔に一筋の希望の色が浮かぶ。だが、自分の考案した不安定な作戦に他人を巻き込むのは危険だと判断し、ロビンは苦し紛れにその助けを拒む。
「危険すぎる!あんな化け物と相手して、おまけに僕らの護衛をしろだなんて、赤の他人にお願いできるわけ…」
「そう言ってくれんなら、有り難く協力をお願いするぜ」
見知らぬ受験生を心配するロビンに対して、レハトの考えは真逆だった。
「ロビン、この人達も俺らと同じ受験生だ。しかも見た感じ、この人達は命を捨てる為にここに来たわけでもなさそうだ。少なくとも俺らに心配されるような半端な力と覚悟で協力しようとしてるわけじゃないだろ」
依然としてレハトはジャイアントエレファントと視線を合わせつつも、一瞬ちらりと彼らの方へ目をやる。
「あんたらの事は何も知らねえが、これだけの数が手伝ってくれりゃ、それ以上に嬉しい事はねえ。今度はあんたらの事を守れないかも知れねぇが、それでもいいんだな?」
「あったりめーだぜ。テメェの命はテメェで守る。それが出来なきゃ、トレイルブレイザーなんて夢のまた夢だからな」
似ていた。金髪の少年が醸し出す雰囲気は、ロビンが常に信頼しているレハトのそれに驚くほど酷似していた。年下ではありながらも、ロビンがよく知るその雰囲気はロビンにとってこれ以上ない安心感となり、確固たる自信を芽生えさせた。
衝撃を受けて目を見開いたロビンの姿を横目にしつつ、レハトは金髪の少年の発言に対してニッと笑う。するとレハトは左手を握り、少年の前に突き出した。
「気に入った!俺の名前はレハト・ダイア。あんたは?」
「イーロン。イーロン・エルフォンドだぜ!」
イーロンと名乗った少年は、レハトの拳に己の右拳を突き合わせ、視線を交わす。
その一方で、ロビンは緊張する身体を深呼吸で落ち着かせる。今なら倒せるかもしれない。根拠など無くとも、そう思わせるに足りうる確信。そんな希望を抱いたロビンは、自分の胸に手を当てて、覚悟を決めた。
「行こう!」
ロビンの発言を合図として、レハトとロビンの2人は示し合わせたかのように同時に走り出した。
「ロビン、お前はデカブツの正面から気を引いてくれ!その場の指示はお前に任せる!」
「分かった!」
レハトの発言の意図を瞬時に理解したロビンは、彼の言葉に返答してジャイアントエレファントの正面へと向かう。
「みなさん!射撃が出来る方達は僕について来て、ジャイアントエレファントの注意を引いてください!近接武器の方達は、走った2人に続いて、地中のクリーチャーの迎撃をお願いします!」
ロビンの発言に、集まっていた受験生も即座に反応する。ある者はロビンに、またある者はレハトに続き、一斉に走り出す。即興で組まれたチームはまさしく部隊のようにして連携を始めた。
その最中、赤いドレスの少女はその迅速な行動に一歩遅れをとり、状況を理解しきれないまま左右を彷徨った。
「なんなのよあいつら…。あんな化け物、相手にせずに逃げ回ってればいいのに…っ!これじゃあ、私が人でなしみたいじゃない!」
彼女は勇敢な受験生らの行動に理解が出来ず、瞳に戸惑いの色を見せた。下唇を噛み、後ろに振り返って、震える足で一歩一歩と逃げ出す準備を始めるかに見えたその時。数秒の躊躇いの末、彼女も覚悟を決めたように深呼吸を挟み、方向転換してどこかへ走り出していった。踝まで届くドレスのスカートを泥で汚しながら、彼女は髪を振り乱し、一心不乱に駆けてゆくのだった。
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試験開始22分時点 獲得ポイント数
レハト・・・・・56pt
ロビン・・・・・55pt
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