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異世界編6・浩之目覚める。の続き<12/29の更新>
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「お、おじいさん、どうすればいいの……!?」
「……もっと強く念じるんじゃ、藍ちゃん。傷があっちゃダメだ。あっちゃダメだあっちゃダメだあっちゃダメだあっちゃダメだ……」
――って、おかしいだろそれ!? 何処のシンジ君だよ!?
この家に居る奴らおかしいよっ!?
「あっちゃ、ダメだ。あっちゃダメだあっちゃダメだ……」
ぽわぽわとまるで効果音が聞こえるかのような心地よさが腹部を包む。
何をやっているのか分からんが、傷口が心地よいのは助かる。方法は分からんが、何らかの方法で俺の手当をしてくれているようだ。
……医者を呼ぶまでの緊急措置なのだろうか?
「……あっちゃダメだあっちゃダメだあっぢゃ!」
あ、噛んだ。
そう思った瞬間腹部に再度激痛が走る。
「……うっっぐうぅぅ!!?」
「お、おじいさん、出来ないよぅ……」
鯛焼きを盗んで走り出しそうな声で叫んでしまった。
……今時うぐぅ、もないよなぁ、痛みに悶えながらも頭の片隅で下らないことを考えてしまう。
血液が流れ出る感覚が側腹部を伝う。
「大丈夫じゃよ、藍ちゃん。君ならできる。想いを止めずに念じ続けるんじゃ。……ちなみに、次失敗したら多分浩之君は出血多量で死ぬぞ?」
「……そ、そんな」
爺さんの突然の死亡宣告。
え、俺死ぬの?
確かに横たわったままなのにちょっとくらくらしてきたしね。
い、医者はまだだろうか……。
「お、お願い……死なないで、浩之君……」
朦朧と仕掛けた意識の先で、ギュッと強く目を閉じている柚繰の姿が映った。
俺だって、死にたくはない。
再び柚繰が集中したのか、再度淡い光に包まれていく傷口。この瞬間は心地良いというか、気持ちがいい……。
「そうそう、その調子じゃ。幸いその傷は臓器を避けておるようじゃから、健全な肉体に侵入した傷口を修復するイメージじゃ。わしが誘導するからイメージを重ねておくれ。貫かれた腹部が閉じるように、再生した血管に血液が通るように、傷口に皮膚を被せるように……全てが元に戻るように、修復するイメージを持つんじゃ」
「貫かれた腹部が閉じるように……」
爺さんの言葉を復唱した柚繰が目を開く。その瞳には、先程よりも強い意志が籠っているような気がした。
淡い光も少しずつ輝きを増し、心地よさが腹部から全体に広がっていく。
「再生した血管に血液が通るように……」
「そう、全てはイメージじゃ。綻びを紡ぐように、欠損部を補うように、元合った状態に戻すように……」
復唱しながら柚繰は俺の目を見た。
俺も朦朧とした意識の中、焦点が合わない目を必死で柚繰の目に合わせる。
大量の出血により、鈍くなった感覚ではあるが、腹部の傷口が盛り上がったかのように感じた。
「傷口に皮膚を被せるように……」
「まぁ、多少傷が残っても問題ないじゃろう。男の子じゃし。腹の傷なんぞ勲章じゃよ」
おい、ジジイ。柚繰が必死で何かやってるんだから余計な水を差すんじゃねぇ。
「全てが元に戻るように……お願い、治って!!」
一際強い光が俺の全身を覆ったかと思うと、今まで俺を苛んでいた痛みはどこかへと消え去った。
大量の出血により倦怠感のある重たい腕を腹部に持っていくと、先程まで痛みがあった場所には何もなかった。
傷口はおろか、治ったような痕もない。
……一体、これは?
そこまで考えた時、一際強い眩暈が俺を襲う。
あ、これは、意識が……。
「な、治った!? おじいさん、成功……って、ひ、浩之君!?」
「ほっほ、流石藍ちゃんじゃのぅ。荒療治とはいえ、本当に傷を治してしまったわい。大丈夫じゃ、失われた血液を補填するために眠りについただけじゃよ」
その会話が聞こえたのを最後に、俺の意識は再度ブラックアウトしたのだった。
「……もっと強く念じるんじゃ、藍ちゃん。傷があっちゃダメだ。あっちゃダメだあっちゃダメだあっちゃダメだあっちゃダメだ……」
――って、おかしいだろそれ!? 何処のシンジ君だよ!?
この家に居る奴らおかしいよっ!?
「あっちゃ、ダメだ。あっちゃダメだあっちゃダメだ……」
ぽわぽわとまるで効果音が聞こえるかのような心地よさが腹部を包む。
何をやっているのか分からんが、傷口が心地よいのは助かる。方法は分からんが、何らかの方法で俺の手当をしてくれているようだ。
……医者を呼ぶまでの緊急措置なのだろうか?
「……あっちゃダメだあっちゃダメだあっぢゃ!」
あ、噛んだ。
そう思った瞬間腹部に再度激痛が走る。
「……うっっぐうぅぅ!!?」
「お、おじいさん、出来ないよぅ……」
鯛焼きを盗んで走り出しそうな声で叫んでしまった。
……今時うぐぅ、もないよなぁ、痛みに悶えながらも頭の片隅で下らないことを考えてしまう。
血液が流れ出る感覚が側腹部を伝う。
「大丈夫じゃよ、藍ちゃん。君ならできる。想いを止めずに念じ続けるんじゃ。……ちなみに、次失敗したら多分浩之君は出血多量で死ぬぞ?」
「……そ、そんな」
爺さんの突然の死亡宣告。
え、俺死ぬの?
確かに横たわったままなのにちょっとくらくらしてきたしね。
い、医者はまだだろうか……。
「お、お願い……死なないで、浩之君……」
朦朧と仕掛けた意識の先で、ギュッと強く目を閉じている柚繰の姿が映った。
俺だって、死にたくはない。
再び柚繰が集中したのか、再度淡い光に包まれていく傷口。この瞬間は心地良いというか、気持ちがいい……。
「そうそう、その調子じゃ。幸いその傷は臓器を避けておるようじゃから、健全な肉体に侵入した傷口を修復するイメージじゃ。わしが誘導するからイメージを重ねておくれ。貫かれた腹部が閉じるように、再生した血管に血液が通るように、傷口に皮膚を被せるように……全てが元に戻るように、修復するイメージを持つんじゃ」
「貫かれた腹部が閉じるように……」
爺さんの言葉を復唱した柚繰が目を開く。その瞳には、先程よりも強い意志が籠っているような気がした。
淡い光も少しずつ輝きを増し、心地よさが腹部から全体に広がっていく。
「再生した血管に血液が通るように……」
「そう、全てはイメージじゃ。綻びを紡ぐように、欠損部を補うように、元合った状態に戻すように……」
復唱しながら柚繰は俺の目を見た。
俺も朦朧とした意識の中、焦点が合わない目を必死で柚繰の目に合わせる。
大量の出血により、鈍くなった感覚ではあるが、腹部の傷口が盛り上がったかのように感じた。
「傷口に皮膚を被せるように……」
「まぁ、多少傷が残っても問題ないじゃろう。男の子じゃし。腹の傷なんぞ勲章じゃよ」
おい、ジジイ。柚繰が必死で何かやってるんだから余計な水を差すんじゃねぇ。
「全てが元に戻るように……お願い、治って!!」
一際強い光が俺の全身を覆ったかと思うと、今まで俺を苛んでいた痛みはどこかへと消え去った。
大量の出血により倦怠感のある重たい腕を腹部に持っていくと、先程まで痛みがあった場所には何もなかった。
傷口はおろか、治ったような痕もない。
……一体、これは?
そこまで考えた時、一際強い眩暈が俺を襲う。
あ、これは、意識が……。
「な、治った!? おじいさん、成功……って、ひ、浩之君!?」
「ほっほ、流石藍ちゃんじゃのぅ。荒療治とはいえ、本当に傷を治してしまったわい。大丈夫じゃ、失われた血液を補填するために眠りについただけじゃよ」
その会話が聞こえたのを最後に、俺の意識は再度ブラックアウトしたのだった。
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