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Show must go on
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「玲くん、アイドルに興味ある?」
「うん」
「じゃあ、陽と一緒に見においで」
「え、そんな急にはさすがに……。それに、二歳児にはうるさすぎるんじゃ……」
「控え室のモニターがあるから、そこで見守っていてよ」
瞳をキラキラと輝かせた玲は、行く気満々。翠のファンが集まるところに玲を連れて行くなんて、こんなにそっくりなのだからすぐに誰が親かバレるだろう。隠し子報道をされるかもしれないのに、アイドル張本人様は何にも気にかけていなさそう。
「ちゃんと自分の口で公表するところを見届けてほしいんだ」
「でも……、」
「大丈夫、俺が守るから」
「玲のこともあるけど、翠の人気が……」
スキャンダルなんて、芸能人にとっては致命的。清廉潔白なイメージだった俳優や女優が週刊誌にすっぱ抜かれて、そのまま干されたケースはいくらでもある。
アイドルなんて特に人気が評価に直結する仕事だ。人の心は移ろいやすい。真実も嘘も関係なく、熱愛報道ひとつで、すぐに熱心なファンは離れていく。
翠をそんな目に遭わせたくない。僕のせいで、トップアイドルの座を誰かに譲るなんて絶対に嫌だ。だから大丈夫、日陰でひっそりと生きていく覚悟はできているから……。そう、思っていたのに。
「陽、聞いて。大丈夫だから」
「…………」
「俺はずっと『運命を探している』って公言してきた。ファンのみんなもそれをよく分かってるよ。だから、運命が見つかったって報告したら、きっと喜んでもらえる」
「ほんとう……?」
「まぁ確かにほんのちょっと嫉妬はされるかもしれないけど、そんなの気にならないぐらい俺に夢中になっててよ」
僕は知らない。翠とファンの間にある絆を。翠はこう言っているけれど、きっと本気で翠を好きな子もいるはずだ。その子たちを傷付けてまで、僕らの存在を明らかにする必要はあるのだろうか。すると、翠が表情を曇らせたままの僕の手を取る。
「陽の気持ちもすごく分かるよ」
「……それなら、」
「でも、俺は陽とたくさんデートがしたい。玲くんを連れて遊園地だって行きたいし、記念日にはお洒落なレストランでディナーをしたい」
「…………」
「世界中に俺の愛を見せつけてやりたい。でも、陽を日陰に追いやったままだと、それは叶えられない。俺は陽にも玲くんにも堂々と生きていてほしいんだ」
そっか、僕らの存在を隠したままだったら、これからもずっとバレないように息を潜めて生きていくしかないんだ。僕はそれでもいいけれど、玲は? どんどん活発になっているこの子の未来を僕の我儘で閉ざしたくはない。
「本当に陽が嫌なら、納得してもらえる日が来るまで待つよ」
「翠……」
「俺、待つのは得意だから」
そう言って笑う翠の顔は、ほんの少しだけ寂しそうだった。僕にはもったいないぐらい素敵な人。そんな彼に僕はどれだけ我慢させてきたのだろう。
「……分かった」
「いいの?」
「翠と生きていくって決めたから。遅かれ早かれ必要な覚悟なら、今ここで腹を括るよ」
どんな批判だって受け止める。僕はこの世界からアルファの王様を奪った男なんだから。そんな僕の決心を聞いた翠が優しく僕を抱き寄せる。
「二人の顔はバレないようにするから」
「うん」
「……ずっと傍にいてくれる?」
「うん、いるよ。僕は翠の番だから」
不安そうに聞いてくる翠に答えると、回された腕に力がこめられる。首元に顔を埋めた翠が鼻を啜ったのには聞こえないふりをして、僕はさらさらの髪を撫でた。
「うん」
「じゃあ、陽と一緒に見においで」
「え、そんな急にはさすがに……。それに、二歳児にはうるさすぎるんじゃ……」
「控え室のモニターがあるから、そこで見守っていてよ」
瞳をキラキラと輝かせた玲は、行く気満々。翠のファンが集まるところに玲を連れて行くなんて、こんなにそっくりなのだからすぐに誰が親かバレるだろう。隠し子報道をされるかもしれないのに、アイドル張本人様は何にも気にかけていなさそう。
「ちゃんと自分の口で公表するところを見届けてほしいんだ」
「でも……、」
「大丈夫、俺が守るから」
「玲のこともあるけど、翠の人気が……」
スキャンダルなんて、芸能人にとっては致命的。清廉潔白なイメージだった俳優や女優が週刊誌にすっぱ抜かれて、そのまま干されたケースはいくらでもある。
アイドルなんて特に人気が評価に直結する仕事だ。人の心は移ろいやすい。真実も嘘も関係なく、熱愛報道ひとつで、すぐに熱心なファンは離れていく。
翠をそんな目に遭わせたくない。僕のせいで、トップアイドルの座を誰かに譲るなんて絶対に嫌だ。だから大丈夫、日陰でひっそりと生きていく覚悟はできているから……。そう、思っていたのに。
「陽、聞いて。大丈夫だから」
「…………」
「俺はずっと『運命を探している』って公言してきた。ファンのみんなもそれをよく分かってるよ。だから、運命が見つかったって報告したら、きっと喜んでもらえる」
「ほんとう……?」
「まぁ確かにほんのちょっと嫉妬はされるかもしれないけど、そんなの気にならないぐらい俺に夢中になっててよ」
僕は知らない。翠とファンの間にある絆を。翠はこう言っているけれど、きっと本気で翠を好きな子もいるはずだ。その子たちを傷付けてまで、僕らの存在を明らかにする必要はあるのだろうか。すると、翠が表情を曇らせたままの僕の手を取る。
「陽の気持ちもすごく分かるよ」
「……それなら、」
「でも、俺は陽とたくさんデートがしたい。玲くんを連れて遊園地だって行きたいし、記念日にはお洒落なレストランでディナーをしたい」
「…………」
「世界中に俺の愛を見せつけてやりたい。でも、陽を日陰に追いやったままだと、それは叶えられない。俺は陽にも玲くんにも堂々と生きていてほしいんだ」
そっか、僕らの存在を隠したままだったら、これからもずっとバレないように息を潜めて生きていくしかないんだ。僕はそれでもいいけれど、玲は? どんどん活発になっているこの子の未来を僕の我儘で閉ざしたくはない。
「本当に陽が嫌なら、納得してもらえる日が来るまで待つよ」
「翠……」
「俺、待つのは得意だから」
そう言って笑う翠の顔は、ほんの少しだけ寂しそうだった。僕にはもったいないぐらい素敵な人。そんな彼に僕はどれだけ我慢させてきたのだろう。
「……分かった」
「いいの?」
「翠と生きていくって決めたから。遅かれ早かれ必要な覚悟なら、今ここで腹を括るよ」
どんな批判だって受け止める。僕はこの世界からアルファの王様を奪った男なんだから。そんな僕の決心を聞いた翠が優しく僕を抱き寄せる。
「二人の顔はバレないようにするから」
「うん」
「……ずっと傍にいてくれる?」
「うん、いるよ。僕は翠の番だから」
不安そうに聞いてくる翠に答えると、回された腕に力がこめられる。首元に顔を埋めた翠が鼻を啜ったのには聞こえないふりをして、僕はさらさらの髪を撫でた。
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