ガチャ召喚士〜ガチャを使って目指すは最強の王国〜

餅の米

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第19話 出会い

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フェンディル・ワーグスト、サイクロプスとして生まれたが人間の様な見た目をし一族から嫌われた男……彼は忌み嫌われ続けた故に愛と言うものを知らなかった。


だがとある国で出会った少女がフェンディルに愛を教えてくれた。


不死鳥が王冠を被るシンプルな紋章が刻まれた旗が街中に並ぶ、周りの人々は国王生誕50周年を祝うために活気で満ちて居た。


その中を一人ボロボロのコートを羽織り歩く青年、彼が若かりし頃のフェンディルだった。


腰に携えた剣は2メートルは超えるフェンディルが持つと短剣の様に小さく見えて居た。


「楽しそうな街だ」


笑顔の人々を見てボソッと呟く、フェンディルは風の噂でこの国の事を聞いた。


セルナルド王国、人口50万人と少なく、兵士の数も他国に劣るものの豊富な資源とライノルドと言う絶対的な強さを持つ騎士のおかげで何の不安も無く暮らせる比較的平和な国だった。


そして何よりこの国の国民は全員では無いが他種族に理解があるとの事だった。


サイクロプス達の村で居場所の無いフェンディル、この国なら居場所を見つけられる……そんな気がして居た。


辺りをキョロキョロと見回し歩く、周りよりも一際大きいフェンディルは周りの注目を自然と集めて居た。


だが人間の様な見た目が幸いし、サイクロプスと言うのはバレて居なかった。


「これからどうするか……」


ポケットから取り出した麻の小さな袋を逆さまにしてお金を勘定する、宿代も合わせて1週間も保たない程しか残金は無かった。


「困ったな……」


この国で住むにしても職が無ければ何も出来ない……だがフェンディルには戦うと言う事以外取り柄が無かった。


サイクロプスとして生まれたフェンディル、だが生まれてすぐに捨てられた。


そこからどうやって物心付くまで生きたかは知らない、だが気が付けばフェンディルは森の中でひっそりと生きて居た。


それ故に今の今まで戦うと言う行為以外の事をしたことが無かった。


今後の不安に頭を悩ましていると路地の方から微かだが悲鳴が聞こえた。


その声にフェンディルは悲鳴の聞こえた方を向く、周りの人々は何も気がついて居ない様子だった。


助ける為に……と言うよりは好奇心だった。


何が起こっているのか、その思いで踏み入れた路地裏、それがフェンディルの運命を変える事となる。


「誰か居るのか?」


少し大きめな声で呼び掛ける、だが声は返って来なかった。


随分と奥まで入って来たが声の主は居ない、フェンディルは進んで居た方向に背を向けようとした、だがその時再び声が聞こえた。


「誰か……助けて!」


その声はすぐ近くだった。


だが曲がり角のない一本道に人は居ない、フェンディルは上を見上げると建物の屋上に一瞬だけ人影を見た。


「まさか……上か?」


恐る恐るジャンプして一気に屋上へと飛び乗る、するとそこには3人の盗賊に連れ去られようとしている赤く綺麗な髪をした青と金の瞳をした少女が恐怖に耐える表情をして居た。


その表情を見たフェンディルの身体は盗賊が喋るよりも先に動いて居た。


「おま……」


盗賊がフェンディルの存在に気がついた数秒後に少女の手を掴んで居た盗賊の一人が後頭部に衝撃を与えられ意識を失う、そして残りの二人の頭を掴み互いに頭突きさせ合うとそのまま地面に寝転がせた。


「こんなものか」


盗賊を片付けフェンディルはグッと伸びをする、そして少女に視線を移すと恐怖に耐える表情では無く、驚いた表情をして居た。


「貴方……強いのね!」


「あ、あぁ」


さっきまでの恐怖を感じさせない程に元気な声で詰め寄り言う少女、その行動にフェンディルは少し驚いて居た。


生まれてから人間と話したのは数えられる程度、話した人はこの身長と筋骨隆々な体格を恐れて居た……だが彼女はそんな事気にもして居なかった。


そんな少女にフェンディルは驚き、興味を抱いた。


自身を恐る人間や自分を捨てたサイクロプス一族にはろくな奴が居ない……そう思って居たフェンディルにとっては人に興味を抱くと言うのは珍しい事だった。


「でも……貴方人間じゃ無いわよね?」


難しそうな表情をしてそう言い放った少女の言葉にフェンディルは固まった。


何故一目でバレたのか、見た目に関しては人間と遜色がない筈だった。


「何故分かった?俺はサイクロプスだがこの通り見た目は人間に近い」


「私の右目、常に『サーチ』の魔法が発動されてるの」


そう言って金色の目を指差す少女、よく見ると黒目の部分が魔法陣になって居た。


「常に魔法を……魔力はどうなっているんだ?辛くないのか?」


「分からない……でも生まれた時からそうだったから」


そう言って笑う少女、魔法を使えるからこそ分かる、魔力が無くなれば酷い疲れに襲われる、最悪な時は吐き気や頭痛もする……辛く無いなんて言葉は嘘の筈だった。


「そんな事より貴方お仕事してるの?」


「うっ……仕事はしてない、昔は傭兵をしてたが旅をするのに辞めてしまった」


「ふーん、それじゃあ私を守ってよ!」


そう唐突に提案をする少女、その言葉にフェンディルは首を傾げた。


「何故見ず知らずの俺を雇う?しかもサイクロプスだぞ?」


少女の言葉の真意が分からなかった。


助けたのは確か、だが助けた理由は金銭を要求する目的かも知れない、それに自分はサイクロプス、滅多にバレはしないが分かっているのなら側に置いておきたい訳がない……少女の言動は理解出来なかった。


「そんな事簡単よ、私が面白そうと思ったからよ!」


そう言って眩しい笑顔を見せる少女、その言葉にフェンディルは不思議と笑って居た。


「ハハッ……おかしな奴だ」


「よく言われるわ、私はジーニャ、貴方は?」


「俺は……フェンディル・ワーグストだ」


ジーニャが差し出した小さな手を握ってそう伝えるフェンディル、するとジーニャは『良い名前ね』と微笑んで言った。


この会話がフェンディルにとって人生で初めてのまともな会話だった。
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