ガチャ召喚士〜ガチャを使って目指すは最強の王国〜

餅の米

文字の大きさ
60 / 73
第四章 暗黒神編

第60話 一週間の休暇 オーフェン編

しおりを挟む
桃色の短い髪をなびかせ丘から見下ろすオーフェンの眼前には木造の家が数軒と田畑があるだけの小さな集落があった。


帝都フェリスから南に40キロ、蜘蛛の森と言う広い森林を抜けた先にある小さな集落、オーフェンの生まれ故郷だった。


数十メートルはあるであろう丘から飛び降りると僅かな音を立てて着地する、そして顔を上げると遠目だが古びた男の像が村の離れに建てられて居た。


「懐かしいな」


オーフェンはゆっくりと銅像に近づいて行く、何百年前だろうか……まだ自分が女になる前、死ぬ前の英雄だった頃の姿だった。


馬に跨り剣を天に掲げて居るポーズ、だが顔は劣化により見えなくなって居た。


「まぁ……村も世代が代わり若者も帝都に出向いたか」


像が管理されて居ない事に少し複雑な気持ちになるが残って居ただけでもマシだった。


英雄と言えどそれはかつての話し、今の自分はちんちくりんな姿でアルセリスの部下として働いている……あの頃のオーフェンとはまた違うのだから。


「ねぇ君、こんな辺鄙な村で何してるの?」


不意に背後から声が聞こえオーフェンは振り向く、すると其処にはオーフェンと同じ桃色の長い髪をした少女が立って居た。


「ふらっと立ち寄っただけだよ」


突然の出現に声の調子が整わず少し裏返る、その様子に少女は不思議そうな表情をして居た。


「立ち寄ったって、この村は蜘蛛の森に囲まれて居るからそう簡単に立ち寄れないよ?」


そう言い辺りをぐるりと見回す、その言葉にオーフェンは辺りを見回すと確かに村は森に囲まれて居た。


最後に村を訪れた数十年前は此処まで森に侵食されて居なかったのだが……良く状況を把握せず答えてしまった事に軽く後悔して居た。


「本当の所はこの銅像、これが見たかっただけだよ」


そう言ってオーフェンは銅像を指差す、少女は指につられて銅像を見ると可笑しそうに笑った。


その様子にオーフェンは不思議そうに首を傾げた。


「ごめんなさい、わざわざこの銅像を見るために森を抜けて来たと思うと可笑しくって」


そう言い笑う少女、彼女の反応からしてやはりオーフェンはもう然程有名でも無く村としても崇める存在でも無さそうだった。


「別にいいよ、それよりも随分と村の過疎化が進んでるんだね」


そう言い辺りを見回す、人は見た所彼女と農作業中の老人のみ、傭兵らしき人物も見当たらなければ若者すら居なかった。


ふと少女を見ると悲しげな表情をして居た。


「色々とあってね……」


その言葉に首を傾げる、色々と……その言葉を聞く限り何か深刻な訳がありそうだった。


仮にも故郷……ほっとける訳が無かった。


「何があったの?」


オーフェンの言ったその言葉に少し戸惑う少女、自身よりも背丈が小さい少女に悩みを打ち明けるか……と言った間だった。


「大丈夫、こう見えて強いから」


そう言ってシャドーをして蹴りを顔面寸前で止める、その一連の動作を見て少女は酷く驚いて居た。


「す、凄い……何処にそんな力が?」


「何処にって言われても……自分にも分からないな、それよりこの村に何があったの?」


少女の言葉に再度尋ね返すオーフェン、すると少女は少し間を空けて答えた。


「蜘蛛の森って何故呼ばれてるか分かる?」


「そう言えば……なんで?」


かつて生きて居た時は村の周りは草原で大きな大木があった程度、だがその大木が見えない程に今は木が生え森となって居る……数十年で此処までなるものなのだろうか、少し不自然だった。


「アルクスネ、彼女がこの森に住み着き始めたのは今から5年ほど前だったの……大樹の下に拠点を構えて最初はひっそりと暮らして居た、けどやがて大樹が枯れると彼女は村の人々を攫い始めた……そしてその日から木々が生え始め今じゃこんな状態、攫われた人も軽く数千人は超えてるの」


「アルクスネ……」


概ね暗黒神を封印する時に倒し損ねた眷属の一種の筈……まさか此処までの被害を出しているとは思わなかった。


人を攫い木に変えているのか……それとも食料にしているのかは分からない、どちらにせよ対面しないと方法も分からない……せっかくの休暇だが仕事をしないと行けなさそうだった。


「それを退治すれば良いんだね」


そう言って腰に携えて居た剣を抜き刃こぼれを確認すると再度しまう、少女はその言葉に驚いて居た。


「で、でも!アルクスネは今まで討伐依頼を受けた冒険者も数百人と殺してきてるのよ?!貴女じゃ悪いけど無理……」


オーフェンの容姿を見て無謀だと言う少女の唇に指を当て黙らせるオーフェン、そして『しーっ』と小さく呟いた。


その表情は先程までの少女とは思えない程カッコいいものだった。


「此処だけの話し、オーフェン・アナザーの生まれ変わりだから」


そう言って笑うオーフェン、その言葉に案の定少女は固まって居た。


そして少女はふと我に帰るとオーフェンは既に森の方へと歩き出して居た。


「ちょっと待って!」


少女の制止の声に振り向くオーフェン、すると少女は小走りでオーフェンの元に駆け寄った。


「私はカレス、カレス・フィリア……私の村の問題だから私も連れて行って」


「足で……いや、分かった」


足手まといになる……そう言おうとしたオーフェンの口が止まる、彼女の、カレスの表情は真剣そのものだった。


余程村を愛している……そんなカレスの気持ちを踏みにじる訳にも行かなかった。


「それじゃ……手柄を上げてアルセリス様に褒めてもらうか」


そう伸びをしながらオーフェンは呟くと蜘蛛の森へと歩いて行った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...