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殺しの始まり
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「おとーさん!」
シーラは父・ガウルのあとを追って森を駆け抜ける。
「なんだーい、シーラちゃん」
はるか前方の茂みから、ガウルのゆったりとした声が風に乗ってシーラの耳に入った。
「おとーさん!待って!はーやーい!」
「ええ?ついてきてごらんよ、もう少しでつくから」
まだ幼いシーラには、大人の狼が移動するスピードでも速すぎてついていけない。
「おいシーラ!早くこいよ!」
ガウルと抜きつ抜かれつをやっている兄のレインが、振り向きざまにシーラに舌を見せた。
レインは優秀な狼だ。この歳で大人と対等に張り合うし、足の速さはガウル顔負けだ。こんな優秀な兄がいたら、シーラもと周りから期待されるのは当然のことだが、シーラは兄のように優秀ではなかった。
むしろ、狼の一族としては劣等なほうだった。
「待ってよー!速いよーっ!」
ふいに、前方の気配が消えた。
目的地に着いたのだろうか?それにしても気配がない。
シーラは立ち止まる。
その刹那、知っていたわけでも、何かに気がついたわけでもなく、ただ直感だけで、
シーラは大きく身を引いた。
それが正解だった。
目の前がなにか分厚いもので閉ざされ、その1歩向こうには雨のように矢が降り注ぎ、一瞬で針山になった。
これは......氷だ。
狼の一族が最も苦手とするもの、しかもこれは、魔力が込められた鋭い氷。
父と兄はきっと殺られただろう。シーラは動揺もしなかった。
狼は賢い。いかなる時も理性を失ったりなどしない。
するとこの状況から見て、今近くにいるのは間違いなく、敵だ。
シーラは父・ガウルのあとを追って森を駆け抜ける。
「なんだーい、シーラちゃん」
はるか前方の茂みから、ガウルのゆったりとした声が風に乗ってシーラの耳に入った。
「おとーさん!待って!はーやーい!」
「ええ?ついてきてごらんよ、もう少しでつくから」
まだ幼いシーラには、大人の狼が移動するスピードでも速すぎてついていけない。
「おいシーラ!早くこいよ!」
ガウルと抜きつ抜かれつをやっている兄のレインが、振り向きざまにシーラに舌を見せた。
レインは優秀な狼だ。この歳で大人と対等に張り合うし、足の速さはガウル顔負けだ。こんな優秀な兄がいたら、シーラもと周りから期待されるのは当然のことだが、シーラは兄のように優秀ではなかった。
むしろ、狼の一族としては劣等なほうだった。
「待ってよー!速いよーっ!」
ふいに、前方の気配が消えた。
目的地に着いたのだろうか?それにしても気配がない。
シーラは立ち止まる。
その刹那、知っていたわけでも、何かに気がついたわけでもなく、ただ直感だけで、
シーラは大きく身を引いた。
それが正解だった。
目の前がなにか分厚いもので閉ざされ、その1歩向こうには雨のように矢が降り注ぎ、一瞬で針山になった。
これは......氷だ。
狼の一族が最も苦手とするもの、しかもこれは、魔力が込められた鋭い氷。
父と兄はきっと殺られただろう。シーラは動揺もしなかった。
狼は賢い。いかなる時も理性を失ったりなどしない。
するとこの状況から見て、今近くにいるのは間違いなく、敵だ。
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