終焉の蒼空

胡蝶

文字の大きさ
4 / 5

襲撃ー弐ー

しおりを挟む

   逃げていた。
右も左もわからず、ただ木々を避けて全力で疾走していた。
 スピードは落ちない。疲れもしない。追ってきた人間たちはすぐ後ろを走っていた。狼の全力についていけるなんてありえない、強化魔法を何重にもかけているんだろう。
 でも精神は限界を超えていた。
あいつらはなんなんだ?
父さんが死んだ。凍矢なんて速くて見えなかった!
シーラは?やっぱり殺されたのか?
どうしよう、とりあえず逃げよう、あの魔法が切れたら逃げ切れるはず。
ここはいったいどこなんだ。
いくら「光なき森」とはいっても、相当走ったぞ?
もう森を抜けてもいい頃じゃないか...
徐々に、本当に徐々に、人間たちのスピードが落ちていった。
このままいこう。
とりあえず生き延びよう。

それからしばらく走り、やっと小さな村の様なところに辿り着いた。
どこまで来たんだろう。
ライラはスピードを落とし、やっと立ち止まる。
「つ、疲れた......」
ずっと走りっぱなしだったのだ、よくもあれだけ走れたな、と今更ながら思う。

小さな村はみんなテントみたいな住居で、姿を隠せる所はありそうになかった。
「ここは、人間の姿になるしかないか」
 ある程度の力量をもつ獣は、変化の術を使うことが出来る。狐などは生まれ落ちた瞬間から巧みにそれを操ることが出来るが、他の種族であるとそれは難しい。だからライラは他の狼よりも強くなることを目指した。変化の術が使えれば、何かあった時格段に生き延びやすくなる。
 生きていなければ意味が無いのだ、何事においても。

さあ、体力を消耗した状態での変化は少々の痛みを伴うが、仕方がない。
ええと、人間の、オス...じゃなくて男。
大人は警戒されるから、子供?少年?
いやでも、保護者がどうのと言い出したら叶わない。
青年だ。
よし、それでいこう。
ライラは、できるだけかっこいい感じの青年に化けた。
完璧だ!と思っても、傍から見ればそれは怪しい人にしか見えない。

全身、黒と紺と灰色のマントになっているのだ。
仕方ない、毛皮の色は服にマッチしているから。

ライラは生き延びるため、村の住人を適当に尋ねることにした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

夫と愛し合った翌朝、一方的に離縁されました【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
美しい公爵夫人マルグリートは、冷徹な夫ディートリヒと共に、王国の裏で密かに任務をこなす“悪女”。 だがある日、突然夫から離婚を言い渡される。しかもその裏には、平民の愛人の存在が──。 失意の中、王命で新たな婚約者・エルンストと結ばれることに。 どうやら今回の離婚再婚は、王家の陰謀があるよう。 「悪女に、遠慮はいらない」 そう決意した彼女は、華やかな舞踏会で王に真っ向から言い放つ。 「わたくし、人の家庭を壊しておきながら悪びれない方に、下げる頭は持っていませんの。  王族であられる前に、人におなりくださいませ。……失礼」 愛も、誇りも奪われたなら── 今度はこの手で、すべてを取り戻すだけ。 裏切りに燃える、痛快リベンジ・ロマンス! ⚠️本作は AI の生成した文章を一部に使っています。タイトル変えました。コメディーです。主人公は悪女です。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【3月中ーー完結!!】 私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 二十年の裏切りの果て、その事実だけを抱え、離縁状を置いて家を出た。 そこで待っていたのは、凍てつく絶望――。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と縋られても、 死の淵を彷徨った私には、裏切ったあなたを許す力など残っていない。 「でも、子供たちの心だけは、 必ず取り戻す」 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔い、歪な愛でもいいと手を伸ばした彼女が辿り着いた先。 それは、「歪で、完全な幸福」か、それとも――。 これは、"石"に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

王子様への置き手紙

あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯ 小説家になろうにも掲載しています。

あなたが決めたことよ

アーエル
恋愛
その日は私の誕生日パーティーの三日前のことでした。 前触れもなく「婚約の話は無かったことにしよう」と言われたのです。 ‪✰他社でも公開

処理中です...