異世界で泣いていた僕は、戻って来てヒーロー活動始めます。

まったりー

文字の大きさ
10 / 141
1章 遭遇

10話 世界の危機

しおりを挟む
「どうだ?これで分かっただろ」
「すごいねこれは」


校舎を出て、グラウンドにも誰もいなくて、魔法ってすごいと思ったね。
でも、本題はまだ聞いてないから早速質問だよ。


「それで、この空間に入ったって事はさ、教えてくれるんだよね?」
「そうだな、ムツ頼むぜ」
「ええ、まず何から話しましょうか」


こうして始まった睦美さんのお話は、こちらの世界では信じられない内容で、みんなの事を知ってて異世界から戻って来た僕だから信じた事でした。
悪魔と戦っている、それだけでも驚い事なのに、そいつらは強くなると人に寄生するとか言われたんだよ。


「そうなったらどうなるの?」
「自然災害と同じ現象を起こすんだよ」
「うぇっ!?」


ルナさんが代わって説明した内容は、1月前の季節外れの台風の事で、それは悪魔の仕業だったそうです。
僕も被害のあった場所に救援に向かったけど、ほんとに酷かったんだ。


「だからね、私たちは魔法少女になって戦うの」
「俺は、出来ればこんなヒラヒラの服は着たくないんだけどな」
「ははは、僕もクラストマンのスーツは恥ずかしいから、ルナさんの気持ちは分かるよ」


お互い大変だねっと、ルナさんと初めて意見が合ったけど、それ以上に一緒に笑顔になれたのは嬉しかった。
だけど、そんなルナさんだからこそ、僕は言いたくなったんだよ。


「でもいいなぁ、ルナさんは似合ってるよね」
「なっ!?何言いやがる!!」
「だってほんとの事でしょ」


綺麗でカッコいい、それがとても似合うと、初めて会った時から思っていたのを伝えたんだ。
ルナさんは凄く恥ずかしそうだけど、ユキやミキもそうだし、そのままの姿の睦美さんにもそう思ってた。


「そう言えば、悪魔と戦ってる時、睦美さんには気付かなかったね」


いつも遠くにいる黒いドレスの魔法少女が睦美さんで、ルナとユキとミキが守ってる感じだった。
姿が変わらないって大変なんだねっと、緊張感が無くなって来たけど、そこで空気を変えたのは睦美さんだったよ。


「ちょっと真面目な話をしたいのだけど、いいかしら?」


睦美さんは腕を組んで足の先をトントンさせて怒ってきて、衣装の話はそこで中断です。
そして、悪魔を倒す理由の中に、魔法少女としての強さを上げる方法が入っていたんだ。


「悪魔を倒すと出る【魔核】をブローチに吸収させるんだね」
「ええ、強い悪魔を倒せばそれだけ力が上がるわ」
「それで強い悪魔になる前に倒すんだね」
「まぁそうなんだが・・・もう一つあるんだよ」


ルナさんが怖がりながら言い淀んできて、僕たちは睦美さんに視線を集めました。
言いにくい事だから睦美さんが変わるみたいだけど、睦美さんも言いにくそうです。


「そんなにすごい奴がいるの?」
「ええ・・・そいつは【フィーネ】と言って、悪魔たちの神なの」


自然災害級の悪魔よりも強大な悪魔と聞き、僕は皆がとても心配になりました。
みんなは、僕から見てもそれほど強くなく、異世界の女神様に助けを求めたくなるほどの事態です。


「そんなの、既に個人がどうにか出来る問題じゃないよ睦美さん」
「ええそうね、でも仕方ないのよ啓斗君」


悪魔は普通の人には見えず、だからこそ自然災害だと勘違いされたそうです。
つまり、国に知らせても分かってもらえないと、みんなが暗い顔をしてきました。


「何とか出来ないかな睦美さん?」
「色々考えたのよ啓斗君、でも無理なのよ」


姿が見えない存在が襲ってくる、そんな事を言っても正気ではないと思われるだけ、睦美さんがそう言って諦めています。
僕のクラストマン活動も最初はそんな感じで、ヒーローなんている訳がなく、最初は頭のおかしい者の遊びと思われていたんだ。


「精神病棟に行くのが関の山だね」
「分かってもらえたかしら?」
「うん、十分に分かったよ睦美さん」


戦っている理由は分かり、だからこそ気になった事を聞くことにしたよ。


「僕からも良いかな睦美さん」
「何かしら?」
「どうして睦美さんたちなのかな?」


悪魔と戦っている理由と、睦美さんたちが選ばれた理由は違います。
アニメとかだと、大抵どこかの小動物が助けを求めて来たからで、それが誠意なら僕もこれ以上は言いません。


「でもさ、僕の知ってるアニメではそうじゃない、みんなは使われてるだけじゃないのかな?」
「そうね、そう思われても仕方ないわ」


彼女たちは魔法少女になっても弱く、フィーネに勝てるとは思えません。
だから、いるか分からない小動物に騙されているんじゃないかと心配なんだ。


「確かに、私たちを魔法少女にした存在はいるわ【ピリン】って言うのよ」
「それなら、そいつが戦うか、国をそいつが説得すれば良いんだよ」
「そうかもしれないけど、私たちはもう知ってしまったの」


睦美さんの表情を見て、僕は背筋がヒヤってしました。
睦美さんの真剣な顔がそうさせたんじゃなく、それ以上の何かを感じたんだ。


「もしかして、フィーネを見たことあるの?」
「さすがね啓斗君」


ピリンという小動物は他の星から来た生物で、そいつの星はフィーネによって滅ぼされたそうです。
その映像を魔法少女になる時に見せてもらい、みんなは世界を救う為に決意したんだ。


「あれは絶対に倒さねぇとダメなんだ」
「ルナさん」


震えてるルナさんは、怖いはずなのに立ち向かっていて、僕は異世界で泣いていた頃の僕を思い出しました。
そんな強さは僕には無く、凄く輝いて見えたよ。


「だからね啓斗君、私たちに協力してくれないかしら?」
「クラストマンとしての力が欲しいんだね」
「ええ、世界を救う為にお願い」


睦美さんが頭を下げると、ユキとミキも僕の腕を離して頭を下げて来て、ツンツンしていたルナさんまで同じ様にしてきました。
それだけの覚悟を持っていて、僕は了承したんだ。


「良いの?」
「僕もクラストマンとして活動してるからね、正直世界を救うなら喜んで協力するよ」
「ありがとう」


正直な所、小動物の件はまだ不安だけど、睦美さんたちを守るなら協力関係を築いた方が良いと思ったんだ。
それにね、僕は皆よりも覚悟が足りないと思ったからこそ了承した、心構えを勉強しようと決めたんだ。


「これで、もっと遠くに倒しに行けるなムツ」
「そうねルナ」


みんなはラインバルの事を話していて、行動範囲が広がるメリットを喜んでいました。
でも、そこで僕はあれ?っと思ったんだよ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました

髙橋ルイ
ファンタジー
「クラス全員で転移したけど俺のステータスは使役スキルが異常で出会った人全員を使役してしまいました」 気がつけば、クラスごと異世界に転移していた――。 しかし俺のステータスは“雑魚”と判定され、クラスメイトからは置き去りにされる。 「どうせ役立たずだろ」と笑われ、迫害され、孤独になった俺。 だが……一人きりになったとき、俺は気づく。 唯一与えられた“使役スキル”が 異常すぎる力 を秘めていることに。 出会った人間も、魔物も、精霊すら――すべて俺の配下になってしまう。 雑魚と蔑まれたはずの俺は、気づけば誰よりも強大な軍勢を率いる存在へ。 これは、クラスで孤立していた少年が「異常な使役スキル」で異世界を歩む物語。 裏切ったクラスメイトを見返すのか、それとも新たな仲間とスローライフを選ぶのか―― 運命を決めるのは、すべて“使役”の先にある。 毎朝7時更新中です。⭐お気に入りで応援いただけると励みになります! 期間限定で10時と17時と21時も投稿予定 ※表紙のイラストはAIによるイメージです

処理中です...