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2章 コスで冒険

39話 初めまして?

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「初めましてエリナと申します」


ちょっと困った風に、僕は自己紹介をしました、相手は僕をジッと見てきます、アースロさんの連れて来たプラチナクラスの冒険者さんたちが対象です。
数名が僕を見て唸ってるんです、バレないはずなんだけど、雰囲気が心配です、コスは違うし種族も変わってました、女性は同じだけどそもそも体格が違います、だから平気なはずなんだけど、空気が痛いんですよ。


「どうっすかイーザスさん?」

「ふむ・・・違うな、スタイルがそもそも違う、彼女に比べれば貧相だ」


スタイルが貧相と言われトレーで叩こうとしたら、アースロさんや他の冒険者さんたちに叩かれたので止めたよ、確かにあのコスの時は、もう少~しだけ胸があるかもです、でも今だって貧相って程ではないんだよ、僕だってちょっと怒っちゃうよ。
叩けなかったけど、みんなに叩かれてるので良しとします、ビールをお詫びとして注文を受け謝罪も貰いました、プラチナクラスのリーダーなのにしょんぼりしてて、ちょっとだけ面白かったですよ。


「ごめんなエリナちゃん」

「それは良いですけどアースロさん、その方たちを紹介してどうするんですか?」


酒場のお客さんとしてなら分かります、でも僕を確認したのは別の理由だと分かります、だから次は先に言ってくださいって忠告したんです、正直嫌ですよ。
アースロさんも分かったようで謝ってくれました、食べ物も追加で注文してくれましたよ、僕が離れるとあのトカゲのお話をし始めたので、僕は耳を傾けます。


「イーザスさん、ほんとに解体は依頼しないんっすか?」

「だから言っただろアースロ、申請したら話が進んじまう、オレたちはどこの誰とも知らない冒険者に助けられるほどの腕だ、まだまだだったのさ、だからもっと強くなってからじゃないと納得できねぇ、これは気持ちの問題さ」


訓練して自分たちが満足するまでの辛抱、それはまでは絶対にあれは出さないと話しています、僕は心の強い偉い人なんだと思ったよ、胸が自分の好みだったとかまだ言ってる性格はあれな人だけど、いい加減な正確で出来る事じゃないんだ、料理を持って行った時ちょっと見直したと伝えたよ、ただ胸の好きな人じゃなかったです。


「ありがとエリナちゃん、土龍を解体したらさ、さっきのお詫びにお肉を分けてあげるよ」

「「「「「え!?」」」」」


僕たちの驚きの声が揃いました、アースロさんたちは素材を分けるなんてありえないと、イーザスさんにそれはダメだと誰もが言ってます、でも僕が驚いたのは別の理由です、あの時のトカゲが土龍だったの?の方なんですよ、翼は無いしゴツゴツしたでかいトカゲにしか見えませんでした、ダンジョンのドラゴンは20mくらいで小さく、それでいて翼も大きかった、鑑定を掛けなかったけどあの時のトカゲと姿が違い過ぎたんです。
イーザスさんは、そんなに驚く事か?っと気にしないでソーセージを噛み切ってます、ビールを飲みジョッキを置くと、どうしてダメなんだと逆に質問してますよ、アースロさんたちはその態度に戸惑ってしまってます。


「ほらな、ダメな理由なんてないだろ、だからオレの報酬分で彼女に渡すんだ、良いじゃないか」

「良いわけないでしょイーザス、いい加減にしなさい、エリナさんも困ってるじゃない」


唯一今まで黙ってた女性冒険者さんがジョッキを置いて反対しました、僕が困ってるのは本当なので他の人も頷いています。
ドラゴンはとても高級品です、捨てるところもなく薬などに使われるんだ、肉となると100グラムでも金貨1枚はすると女性は言いました。


「そんな高価な品を貰った相手の事を考えなさい、それだからあなたはモテないのよ」

「硬い事言うなよファンシャ・・・っと言いたいけど、困るのはたしかだよな、すまなかったエリナちゃん、今の話は無しで頼むよ」


イーザスさんが頭まで下げてくれました、話がどんどん勝手に進んで行くけど、僕は全然気にしてないんです、それを伝えると笑顔で新しい料理を注文してくれました。
お詫びのつもりだったんだと、マスターに特別な注文を通します、まだお店に出してない完成品のピザを頼んだんだ。
お店に出てない10枚のピザを食べて、イーザスさんたちは喜んでくれました、ビールもワインも沢山注文してくれたんだよ、21人だから貸し切りになっちゃったんだ、それを知らないで来てくれたお客さんには、ビールを樽でサービスです。


「ありがとなエリナちゃん、迷惑だったよな」

「常連のアースロさんの頼みですからね、それにチップも奮発してくれてみんな喜んでいました、さすがプラチナクラスですね」


前に見たダメなプラチナクラスとは全然違います、ここを訪れた冒険者さんたちも文句を言わなかったんだ、イーザスさんたちを見て素直に店を諦めて行ったんです、人望が違います。
お店を後でイーザスさんたちにみんな揃ってお見送りをしました、しばらくは王都に滞在するから次は少人数で来てくれるそうです。
また常連さんが増えたと、みんなでちょっと喜びました、ファンシャさんとは話が合いすごく仲良くなったんだよ。


「イーザスさん、背の高い人だったなぁ~・・・きっとカッコイイ服が似合う」


145センチの僕では似合わないコスを着せたい、そう思いつつお店の片付け始めたんです、完全なコスが出来れば僕も変われます、だけどそれには魔法糸やミスリルの加工が必須です、いつか手に入れる、そんな決心をして明日はリンシャたちとお買い物の話題に入ります。
でもその前にジュロスさんがみんなを集めました、大切な話があるそうです、みんなが集まるとお金の入った袋をみんなに渡したんだ、それには特別給与が入ってます、ここでは習慣が無いので、みんなは中身を見てすごく喜んでます。


「これで明日の買い物が楽しくなりそうねアマリス」

「う、うん・・・チップも沢山貰ったもん、沢山美味しい物が食べれそう」


アマリスは食べる事が好きなんだよ、だから試食の時は大抵一緒です、クレミルはその時太るって呆れてたけど、それはそれで楽しそうだったんだよ、そのクレミルはマスターとお祭りに行くそうです、今でもあまり喋らないけど仲は良いんだ、この酒場は良いお店です。


「食べ物はエリナさんが用意してくれるわよ、まずはアクセサリーを買いに行きましょ、お祭りで沢山新しいのがあるんだからね」


この分じゃ化粧品も買う勢いです、変な物を買わないように気を付けてあげないといけません、買い物が終わったら孤児院で集まりお祝いをしようと約束を交わします、明日の買い物が楽しみっとふたりは喜び始めたんだ、もちろんジュロスさんとクレミルも誘いました。
僕にとっての初めての仲間とのお買い物、ほんとに楽しみですよ。
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