神よ願いを叶えてくれ

まったりー

文字の大きさ
上 下
29 / 112
2章2つ目の世界

28話 2回目の戦争

しおりを挟む
「では期待しているぞジュント君」


「はい、ありがとうございますジャンエイ様」


俺は今移動中だ、そこでこの部隊の副隊長であるジャンエイって槍使いと話した、なかなか強そうだったな、まぁあれでもイルティには及ばないがアライトには勝てるだろうな。


「ねぇジュント、今回はいきなりこの装備なんだね、いいの?」


アニが布の服をめくってそう言ってきた、俺の気のせいなのか?良かった。


「いいんだ、今回は少し戦い方が違う」


「それは聞いたよ、僕たちが盾になってる間に新しく入ってきた新兵たちが、あのボウガンを撃つんでしょ」


今回は森が近くにないんだ、だから俺はそのまま本隊と合流する作戦に出た、まぁ少し休憩は必要だがな。


「そうだ、それと今回はこれも装備する、流れ矢が来るかもしれないからな」


「うえ!?お、重い~」


アニの頭に鉄製の兜を乗せた、重そうだがそれほどでもないはずだ。


「その内慣れる、後は前進はしないからな、それは注意しろ」


「りょ、了解~」


フラフラしながらアニが言ってきた、平気だよな?


「よしお前たち行くぞ」


本隊からの鐘の音が鳴った、新兵の戦争の始まりだ、今回も休憩は無しでへとへとの状態だ。


「ここら辺でいいだろう、じゃあ配ってくれ」


「はい」


「解ってるって、ほらお前たち服を脱いでこれを中に着ろ」


エンとテオ率いる10人で新兵15人に教えながら着替えてもらっている、今回の戦いでは新兵は前には出ないが、進軍をする予定だから怪我をする可能性がないわけではない。


「よし敵の数は30だ、俺たちは2列で並ぶぞ」


「う、うん」


敵の新兵がどれだけいるか分からなかったからな、俺たちの作戦は前衛を抜けられると大変な事になる、だから長く取りたかったんだ。


「おりゃー」


「えいっ」


陣形を崩さずに敵を通さず、それでいてボウガンからの矢が敵を貫いている、今回は足を踏んだりよろける者はいなかった。


「よしよし順調だ、ここらへんで少し下がるぞ」


俺の声で後ろに走った、今回は矢は振ってこなかった、その為の後退戦術だ敵の陣からは見えてない。


「ジュント何処まで行くんだ?今回はあれは無しか?」


「ぼくがっかり」


エンがすごく暗くなった、だがちゃんと用意しているぞ、今回は収納から出さず事前に置いておいた。



「ちゃんと用意しているぞ、この布の下だ」


「やった」


エンが復活した、相変わらずだな。


「おいしい、なにこれ!?」


「へへぇんそうだろ、うちの隊長特製だ、よく噛んで食えよ」



テオが先輩風を拭かせている、年齢はそれほど変わらないように見えるがな。


「みんな食べながら聞いてくれ、これからが踏ん張りどころだ」


「今回はどうするんだ?遠くからさっきみたいにして矢を撃つのか?」


今回の敵は槍を多く所持していると聞いた、だからあの陣形だと抜かれる可能性がある。


「今回は守りに徹する、盾を構えゆっくり前進だ」


「あああの固まる奴か、これはエンに足を踏まれそうだな」


「ム、もうそれはない」


エンがムスッとしている、エンの足運びは良くなった、みんなも順調に上達しているぞ。


「よし盾を配り終わったな、じゃあ固まって前進だ」


新兵を中心に入れて俺たちは丸く陣を作って進んだ、前の四角にした方は崩れやすいからな。


「来たな、みんな行くぞ」


俺の声でみんなが盾を持つ手に力が入った、だが今回は丸型陣形だ、最初に攻撃されるのは俺なんだよ。


「おりゃー」


敵の槍が俺の盾に当たり良い音を出した。


「さすがに新兵とは違うな、はぁっ」


敵の一撃を受け直ぐにやり返した、この力量ならアニたちも突破はされないな。


「た、隊長!」


「む!?来たか上に盾を向けろ」


敵が離れたからそろそろだと思ったが早いな。


「うへぇ~またかよ、どうしてこれだけ矢が降って来るんだ」


「これ怖い」


それぞれ前よりも余裕だ、新兵は震えてるがな。


「よし止んだ、来るぞ」


それから槍兵がしばらく続いた、槍兵が撤退すると今度は剣を持っている者たちだ、そろそろ俺たちも撤退だな。


「お前たちは撤退しろ!俺がしんがりを務める」


「ど、どうしてジュントが!?無茶だよ」


アニがすぐに否定してきた、だが敵が強くなってきているからな、時間がない。


「訓練で知ってるだろ、お前たち全員の攻撃を避けた俺に任せろ、さぁ行け」


しょんぼりしてアニたちが撤退していった、俺も時間を稼ぐだけさ。


「お前取り残されたのか」


「いやしんがりさ、いつでもいいぞ掛かって来いよ」


敵兵にそう言って挑発したんだが襲ってこない、囲まれないように距離を取っているせいか?


「どうしたお前ら、さっさと行かないか!」


「分隊長、でもあいつ一人でしんがりだってんです、相当に出来る奴ですよ絶対」


敵兵士の偉い奴か、俺の相手をしたくないのか?いやこのままの流れだと無理だよな。


「腰抜けどもめ、このドドマン様が手本を見せてやる、行くぞ小童」


「やっぱりそうきたか」


『主、もう時間はいいみたいですよ、いつでも撤退してください』


ナビ玉の報告がきた、アニたちも体力が付いてきたな、いい事だ。


「なに笑ってる、はぁっ!」


太めの分隊長からの槍が振り下ろされた、簡単に躱したぞ。


「時間を掛けなくていいようなんで、これで終わらせる、はっ」


相手の鼻から上を斬り、頭の上部分が飛んだ、もう少し切れ味が欲しいな、ほんとは飛ばないんだが。


「ひ、ひぃー」


「ぶ、分隊長がやられた、助けてくれー」


相手の兵士が逃げていく、そんなに強い分隊長だったのか?それほどでもなかったが。


「まぁいいか、早く帰ろう」


『そうですよ、早く帰って量産をしなくては』


あれからボウガンを少しずつ作っている、俺の分身が責任者をしてるからすこぶる順調だ、商人にも食料を輸送してもらっているから食事も潤ってきたしな。


「ジュント!?」


「アニただいまって痛いぞアニ」


アニが俺に抱き着いてきた、ほんとは痛くないがみんなが見てるからな、すこし恥ずかしい。


「無事でよかった、ジュントが死んじゃったら僕」


「そんなに心配だったか?だが安心しろって大丈夫だ」


アニの頭を撫でながらそう言ったが放してくれない。


『愛されてますね主』


『そうかな、みんなも泣きそうだし、そうかもな』


戦いは俺たちの快勝だ、どうやら俺たちの隊が中央の敵を引き付けて置いたのが良かったらしい、そしてあの分隊長は向こうの主力だったそうだ。


今回の報奨金は前回の倍は貰ったな、前の戦いでは俺が小金貨20枚アニたちが5枚だったんだ、ちなみに1枚で一日の食事分になる、月に貰える給料は30枚なんだ。


「す、すげぇ今回は20枚かよ」


「ぼくも同じ」


今回は本隊と一緒に戦ったからな、全員が小金貨20枚を貰っていた、俺は中金貨10枚だった。


「すごいねジュント、これだけあれば家が買えるよ」


「そうなのか?まぁ買う予定はないな」


分身からの情報と常識スキルでは小金貨100枚が中金貨1枚の価値なんだ、だがこの世界では金銭はそれほど重要ではない、兵士として戦うんだ武器か飯に消えるらしい。


軽い祝勝会をして俺たちは国に帰った、今回も一日の移動だった、国の位置とかも確認しておくかな。
しおりを挟む

処理中です...