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1章 旅立ちの一歩

13話 街の状況確認

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「そんなにすごいモンスターなのペルーロ」


口をパクパクさせてる受付嬢を横目に、私はペルーロに聞いてみたの、ペルーロは頷くだけでしたよ。やっちゃったかなと思いながら、受付嬢さんに任せることにしたわ。


「出したらまずいかしらお姉さん?」

「そそそ、そんな物を出されたらこの施設が壊れます!どどど、どうぞ、こちらに来てください、いえ、いらしてくださいませ!」


かなり動揺して奥に案内されました、通路を通ると外に出たの、そこには大きめの倉庫が見えたわ、あそこで大型モンスターの解体とかをするのかしらね。


「ちょっとアビルド!」


受付嬢が扉を開けて怒鳴って名前を呼んだわ、中にいた作業員は全員小さい人達だったの、お髭がすごいからドワーフさんかな。


「なんじゃい騒々しい!」


奥の方から大声が聞こえ、髭のすごく長い小人が歩いてきました、ペルーロに聞いてみたら、やっぱりドワーフさんだったわ。受付嬢が腕を組んで待ち構えているけど、仲は良さそう、ギルドの職員同士だからなのかもね。


「大物の依頼よ!聞いて驚きなさい、なんと大怪鳥ラフォールだってさ」

「な!?なんじゃと!」


ドワーフさんがすごい顔して固まっちゃったわ、それにしても受付嬢さんがドヤ顔ね、あなたがすごいわけじゃないんだけど、まぁそこは良いわ。


「ではラリーファファ様、出していただけますか」

「は、はい」


受付嬢がいきなり手をコネコネさせながら言ってきたわ、私に様付けなんて凄い手の平返しね、驚いちゃうわね。


「ほほほ、本物じゃ!?・・・信じられん」


大怪鳥を出すとドワーフさんたちが集まってきて調べてるわ、翼を広げると倉庫一杯になったわよ、みんな騒いでるから相当なのね。


「どう、凄いでしょアビルド」

「うむ、ほとんど損傷がみられん・・・その者たちが倒したのか」


ドワーフさんが私とペルーロをぎらついた目で見てきたわ、これは獲物を捕らえる目かしらね。


「そうよ、私の担当のPTで大型新人なのよ」


受付嬢が胸を張りながら言ってるけど、ほんとにすごい手の平返しね、ここまでされるといっそ清々しいわ。


「やったではないかカリーサ!今後しっかりと担当してやるんじゃぞ」

「当然よ!じゃあ査定をお願いね」


ドワーフさんとそんな話をして、受付嬢が私たちの方を向いたわ、査定は明日になるそうよ。そして受付に戻ってきたの、受付嬢さんがすごく良い笑顔でお辞儀をしてきたわ。


「ではペルーロ様ラリーファファ様、今後は私、カリーサが専属をさせていただくことになります、どうぞよろしくお願いします」


受付嬢と握手をしてギルドを出ました、なんともすごい事になったようですよ、ペルーロがすごく尻尾を振ってるからそうだと思うの。


「ねぇペルーロ、そんなにすごいの受付の専属って」

「そりゃそうだよラリーファ!専属って言うのは、すごい腕の傭兵にしかつかないんだ、10等級で就くなんて異例なんてもんじゃないんだわん、そのPTが遠くの街とかに移動するって時には、一緒に行くことだってあるんだわんよ!」


そんな事までするの!?っと驚きました、ペルーロが方言を言ってしまうほど興奮してるから分かるんだけど、ほんとにすごい事になりましたね、家とか生活はどうなるのよって聞いてみたら、一緒に移動するのは余程の事がないとしないそうで、大抵はその街のギルドで引き継ぎをするのが普通らしいわ、もし引っ越しをする場合は、その傭兵たちと交渉してお金とかを工面して貰うんだってさ。


「手の平を返したあの速度を見ると、ちょっと心配だけど、分かってくれたのは良いわね」


肩に乗った状態で私は呟いたわ、ペルーロも同じ気持ちみたいで頷いてる、他種族に協力的なヒューマンってかなり貴重よね、まだ1日も街にいないけど、周りの目を見る限りかなり差別意識が強いわ。


「それでペルーロ、ここが宿屋なの?」


今日はもう遅いので、休むためにペルーロが契約してる宿屋に来ました、でもかなりぼろいです、話では羊獣人の家族が経営していて、格安で泊まれるんだそうですよ。

ペルーロは伏せてるけど、きっと他種族が泊まれる宿って限られてるんでしょう。


「見てくれは悪いけど、誰にも文句を言われないし、ゆっくり休めるんだ」


ペルーロがそう言って、悲しそうな笑顔を見せて宿に入りました、やっぱり差別は嫌よね。


「いらっしゃーい!ああペルーロかい、遅かったから心配したんだよ」


宿に入ると、羊の角が耳の上にある女性が受付にいました、髪の毛がフワフワモコモコで、あそこに寝たらすごく気持ち良いでしょうねって思ってしまったわ。ペルーロを見て心配してくれてるみたいです、それにその女性は、何だかすごくほっとする笑顔をしてくれるんです、この宿が良い宿だって即座に分かったわ。

それにこの女性は、ペルーロよりも獣率がちょっと濃いわ、肩の所まで毛が生えてる、ペルーロは腕までなの、きっと獣人の中でも濃い人と、そうでない人に分かれてるのね。


「ありがとうメーリリさん、1人追加したいんですけど、良いですか?」


肩にいる私を指差して紹介してもらいました、メーリリさんは珍しそうに見てきたけど、直ぐに笑顔になったわ。

うん、いい人確定ね。


「もちろん歓迎だよ、部屋は一緒で良いのかい?」


帳簿を出して確認ですね、私は女性だけどペルーロと一緒で良いわ、さすがにこの大きさで違う部屋は使いにくいものね。


「ふむふむ一緒でいいっと、じゃあ料金は半額だね、ほんとはもっと下げたいけど、うちも商売だからすまないねぇ」

「いえとんでもないです、半額だって嬉しいですよ、私はラリーファファ、ラリーファって呼んでください、これからよろしくお願いしますメーリリさん」


笑顔のメーリリさんに私も笑顔で返して部屋に向かいました、ペルーロが使ってる部屋は3階の端っこの扉で、部屋の作りは10畳くらいの広さはあり、ベッドと机が用意されていました、そしてどの部屋も一緒らしいですよ。


「ぼろいわ、直してあげたくなるわね」


私の作った(開発)物には、補修材という物があります、それは資材の部類で見た目角材なんだけど、そのままでも使える優れものです、村にいた時も壊れた(自分で壊した)家とかを直すのに使ってたんですよ。

材質が違うのに凄い!?ってあの時は嬉しくなったわ。


「メーリリさんに聞いてみようか、もう直ぐお手伝いの子が来るから、暇な時を聞いてさ」


ペルーロが言っているのは、メーリリさんの子供の二人です、5歳の女の子メルールちゃんと7歳の男の子がダーメル君、ふたりは宿屋のお仕事を手伝っていて、お客さんにお湯を運んでくれるんです、他にも食堂の食器の片付けや配膳、お掃除をしてるそうですよ。


「ペルーロ兄ちゃん、お湯持って来たよ、いるでしょ?」


私たちが話していると、噂の子たちがドアを叩いて声がしました、ペルーロがドアを開けると、メーリリさんを小さくしたような子たちがいたんです、とても可愛いですよ。


「ありがとダーメル、2つお願いメルール」

「はいな!」


ペルーロが女の子の方を撫でて桶を二つ貰ってたわ、撫でられてメルールちゃんは嬉しそうだったわね、チップも二人で銅貨5枚ずつ貰ってたしね。


「ありがと兄ちゃん」

「こちらこそ、お湯ありがと」


ドアを閉めて桶を二つ持って私の方に来ました、今のお礼は二人合わせて銅貨5枚じゃなかったからです、普通子供が相手だとチップは半分になるのよ。


「メーリリさんは食堂で料理をしてるから、その時聞けば良いってさ」

「そうなのね、じゃあ先にペルーロを洗いましょ、はいこれ使って」


私はボディーソープを出しました、もちろん向こうでもある、頭の部分を押すと中の液体が出てくる奴です、こっちにはそういった容器はないけど、私が30分で開発したのよ。


「なにこの液体【クンクン】」


ペルーロが手に出してあげたボディーソープを嗅いでるわ、いい匂いでしょ。


「それは汚れを落とす液体よ、とてもいい匂いでしょ」

「石鹸の液体版なんだね、でも石鹸ってゴワゴワするから、僕嫌いなんだけど」


桶でしか洗えないので少量にしました、そして体を洗い終わってシャンプーも出してあげましたよ、同じ感じで洗ってたけど、私の分の桶がなかったら泡を落としきれなかったわね。

お風呂がないから、ちょっと改善を考えるわ。


「すごくつるつるする、どうしてなの」


私が唸っていると、タオルで体を拭き始めたペルーロが驚いた顔になりだしたわ。


「んふふ~それは良い物を使ってるからよ、ほんとはお風呂で使いたいんだけど、ない物はしょうがないわ」


ここでペルーロにお風呂があるか聞きましたけど、貴族や王族しか使わないそうです、大きな商会の主は使ってるそうですけどね。


「これなら僕も好きかな、尻尾も艶々だしね」


自分の尻尾を触ってウットリしてるわ、やっぱり気になるわよね。


「じゃあ食堂に行って食事をしましょ」


あまり期待は出来ないのだけど、お腹が空いたし何か食べたいわ、それに村の食事よりは料理があるでしょうから、期待できるかもだしね。


「メーリリさん食事出来ますか」

「ペルーロかい、もちろんできるよ、今日は何にするんだい?」


ここでは最初に料理を注文して、それをテーブルに配膳してもらうそうです、注文した人の顔が常連なので分かるらしく、配膳を間違う事はないそうです、それだけみんな顔見知りって事ね。


「今日のおすすめと果実酒を二つください」

「はいよ、少し待ちなね」


そう言って、直ぐに料理を作り初めてしまったので、ペルーロが大きな声でさっきの提案を話してくれたわ。


「それはあたいたちにも嬉しい提案だけど、ラリーファいいのかい?」

「はい、メーリリさんたちにはお世話になるのですから、それでチャラって事で」


笑顔で言ったら分かってくれたみたいで、笑顔で親指を立てていました、良かったわ。


「出来れば改造もしたいけど、それは嫌がらせをされそうだから、やめておくのが良いわよね、でも内装だけとか」


食事が来るまでに私はブツブツ独り言を言っています、ペルーロは自分の尻尾と耳を触ってて気づいてないわ、そして料理が来ました。


「兄ちゃん、さっきとちょっと感じが違うね」

「キラキラなぁ」


メルールちゃんとダーメル君がペルーロの容姿を見て、不思議そうにしながら料理をテーブルにおいてくれたわ、私は収納に入っている小さい壺に、改善したボディソープとシャンプーを分けて入れ、二人に自己紹介をして渡してあげたわ、使い方も説明したわよ。

二人にもモフモフになってもらわないとね。


「やっぱりモフモフは良い物よねぇ」


そんな事を言いながら食事を楽しみました、料理は野菜だけの炒め物と、ちょっと硬めのサイコロステーキです、ペルーロが言うには、スモールスネークっていうヘビモンスターの肉だそうですよ。
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