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2章 戦争の第一歩

55話 条件

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「すごいわん、窓に透明な板が張ってあるわん」

「ほんとウサ、ラリーファが使っている物が沢山ウサ」


アルスハイツ大国に到着した私たちは、王都を眺めて驚いています、私もびっくりですよ。


「窓にはガラスが取り付けてあって、道の街灯には魔石を使ったライトだわ、かなり先を行かれてる感じね」


さすが第2位の大国アルスハイツと言ったところです、この前の攻撃してきた一番小さい大国とは違います、この王都なら私も感心しますよ、でもペルーロとミサーラがちょっと怒っています、対抗意識を持つのは良い事だけど、2人の装備はもっと先を言ってるのよ、銃は私たちが中心の戦い以外は使わないように言ったけど、その隠れた所に着ている防具は違うじゃないっと、怒ってる二人に言って先に進みます、この王都だって外見は確かにすごいんだけど、やはり欠点は色々見えるわ、そこを交渉の材料に加えてもいいかもしれないわね。


「止まれ!」

「約束してるわんけど、聞いてないわん?」


城の門まで来ると門番に槍を向けられて止められました、しっかりと約束はしてるはずなのだけど、きっと他種族だからね。


「確かに、ラリーラリー商会の下で商いをしている、フェアールって商会の者が来ると聞いているが、獣人が来る訳がない、お前たちは何者だ!」

「ヒューマンが来るとも言ってないわ、私たちはラルクハイド国から来たのよ、そちらのラースって偉い人と面会の約束をしてる、確認を取って頂戴」


私が少し強めに言うと、門番が一人城に走って行ったわ、そして残った門番はまだ槍を構えてる、かなり嫌な感じね。


「久しぶりにこういった態度を受けたわんね」

「ほんとウサ、道を歩いていてもそんなに視線は感じなかったウサけど、ここでは駄目ウサね」


ふたりがやれやれって顔しているわ、私も同じ意見よ。しばらく門番とにらめっこをして時間を潰し、城からさっきの門番が帰ってきました、それもかなり焦っていますよ。


「おお、お待たせして申し訳ありません!どうぞこちらへ」


槍を構えていた門番がキョトンとした顔をしています、ペルーロとミサーラがいい気味だといった顔をして横を通りましたよ。


「城は普通ね」


ふたりがプリプリ怒って歩いているので、私は周りを見回しているわ、魔法のレンガはかなり優秀だから何処でも使っているのは分かるけど、もう少し他にあっても良いと思うの、私が使っている魔力を込めた鉄、魔鋼鉄とかね。


「ここ、こちらでお待ちください」


門番に通されたのは広めの部屋で応接室です、誰もいないので私たちは適当に椅子に座りましたが、誰かお茶とか持ってきてほしいわねって思っているわ。


「ここでもかわん?」

「さすがにイライラしてきたウサ」


待遇の悪さにふたりはかなりお怒りです、でも私は違うわ、もしかしたら相手の作戦なんじゃないかと思い始めています、これはいくら何でもひどすぎます。


「まぁ焦ることは無いわ、自分たちで出してゆったりしてましょ」


私は相手の次の手を予測してのんびりすることにしました、何せいつまで経っても来ないと言うのが作戦の一つだと思うからです。そしてそれは当たり、相手側が来たのは2時間後、私たちがトランプをしている最中でした。


「すみません・・・仕事がちょっと溜まっていまして遅くなりました」


最初の謝罪が顔を引きつらせたものだったので、私の予想が当たってそうと思いながら対応することにしました。

私たちは遊び道具をしまいちゃんと椅子に座り直したの、お茶とお菓子はそのままね。


「気にしてませんよラースさん、お茶とお菓子でも出してくれると嬉しいわ」


こちらには私のがあるけど、追加では出しませんしあげません、そちらも出してねって意味で言いました、私の裏を読むとしたら、あなたたちはどんなのを食べているの?って教えてほしいってとこです。


「そ、それではこちらもご用意しましょう、ドルノ頼みます」

「はいラース様」


ラースさんの後ろに控えていた騎士2人の内、1人に対応してもらい椅子に座りました、そして交渉の始まりです。


「ふむ、フェンドールとの戦いが大詰めで中小国が入ってきそうだと」

「はい、蹴散らしても良いのですけど、せっかくなのでこちらに取り込みたいと思っています、ラースさんたちの国がこちらにいると分かれば寝返るでしょ?」


私は単刀直入に言いました、本来はもっと隠して言うモノだけど、今回は他の事を隠しています。


「ふむ、蹴散らすことは出来るんですか・・・いいでしょう援軍を出します」

「良かったです」

「ただし!出すのは3か月後です、その時また来てください」


私は3か月と聞いてドキッとしました、相手に猶予を与えたことが流れていると分かったのよ、さすが私の商会まで見つけた男性だと思いましたね。


「分かりました、では3か月後を楽しみにしていますわ」


こうして簡単に交渉が終わりました、でも私はそれだけでは終わりませんよ、やられっぱなしだものね。


「お待たせしました・・・ってもう必要なさそうですか?」


交渉が早く済んでしまって、お茶とお菓子を持ってきたドルノが躊躇ってるわ。

ナイスタイミングよドルノさん。


「せっかくです、少しお話をしましょう」

「そうね、私たちもここの観光もしたいわ、何か楽しい物ってあるかしら?」


こうして少しお話が始まりました、ラースさんが言うには劇場での舞台がオススメだそうです。


「そしてこちら、チョコという食べ物が今話題です、とても甘く美味なのですよ」


かなりの自信をもってチョコレートを進めてくれています、でもペルーロたちは普通に食べているわ、これは私たちにとって日常だものね。

そしてこれが狙いよ、ラースさんは私の狙い通り、山にある囮の村にたどり着き、フェアール紹介を突き止めた唯一の切れ者なの。今回の会談は商会を通してだから、知らないとおかしいと思うかもだけど、ちょっと違うの、私たちの国に原材料があって、それを安値で仕入れて山で加工しているのがラリーラリー商会だと思っているの、つまり安値で売って損してますよって言いたいのよ。


「チョコわんか?普通わんよね」

「そうウサね、ウチはクレープが良いウサ」

「「「え!?」」」


ラースさんたちがそれを聞いて驚いているわ、それが欲しかったのよ二人ともグッジョブね。

私たちの情報はそう簡単に手に入らないように何重にもしているの、そう簡単に見せないわよ。


「じゃあ私たちからも出しましょうか、はいクレープと最近作ったカステラね」


私は収納からデザートを出しました、お茶も紅茶に変えましたよ、ラースさんたちはかなり動揺しています。


「これわんね、美味しいわん」

「そうウサね、ラリーファの甘いものはとても美味しいウサ」


ペルーロたちがイチャイチャしながらがつがつと食べているので、ラースさんも食べたわ、そしてかなり動揺してる、後ろの騎士にも進めているし分かってもらえたかしらね。

私たちが戦争に負けたら、これが相手側に全部取られるのよ。


「じゃあ私たちはそろそろお暇します、3か月後を楽しみにしているわ」

「そうですね・・・必ず!援軍を出せるように国王を説得して見せます、どうか頑張ってくださいラリーファファ殿」


私の小さな手をラースさんが握ってくれました、とても前向きに検討してくれて良かったわ、帰る時にお土産を渡したのが良かったのかしらね。


「良かったわんねラリーファ」


城を出てペルーロが横を向いて聞いてきたわ、私は肩に乗っているから頷くだけしたの、これが決まれば戦争はお終いだから、出し惜しみはしないわ、それなら余裕よね。


「じゃあ劇を見にいくウサ、楽しみウサ」

「そうねミサーラ、服も見なくちゃだわ」

「げっ!?」


ペルーロが服と聞いてかなり嫌な顔をしています、前にこっちの王都で散々な目に合っていますからね、買い物に付き合わさるのが嫌なんですよ。

でも今回はちょっと違うわよ。


「私はちょっと用事があるから二人で行ってきて頂戴」

「そうウサ?じゃあ行くウサよペルーロ」

「い、いや僕もラリーファの方に」


ペルーロがそう言っていますがミサーラに引っ張られていました、でもきっと楽しいわ。


「デート楽しんできてねふたりとも、私は情報収集よ」


私は酒場に飛びました、こういった情報収集は大切よ、お酒も飲みたいと言うのもあるのだけど、ほんとに大切なの。
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