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2章 のんびり

21話 待望の出来事

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「ついにだよ、遂に来たんだよおおぉぉぉ~~」


僕の雄叫びを聞き、眠そうにしてたミドリたちは、一気に目を覚ましてしまう。
僕の大声は、凄く珍しい事だから仕方ないけど、僕の気持ちはそれどころじゃありません。


「ど、どうしたのよアオ」
「すごいんだよミドリっ!」
「だから、何が凄いのよ」
「スキルのレベルが上がっただけじゃなくてね、お米も作れる様になって、更に作成枠が5個も増えたんだよ」


全てが揃ったレベルアップとか、叫びたくもなるんだ。
朝からそんなだから、早く畑の仕事を済ませようと、いつもよりも頑張ってしまいました。


「そして、作成枠10個を全部お米にしたのは仕方ないよね」
「アオ、あなたやり過ぎでしょ」
「2時間だけだよミドリ、それに作るモノは沢山あるんだよ」


普通に食べても美味しいお米、それを加工したお餅におせんべいと、僕は食べたいものが沢山だよ。
調味料も、みりんとお酢が作れて、大人が好きなお酒が出来るんだ。


「調理にも使えて凄いんだよ、知ってるでしょ?」
「それはそうだけど、ワタシはアイスが良いわ」
「甘い物が好きだねミドリ」


そう言いながらも、僕は牛乳から作ったアイスを渡したよ。
もちろん、ミドリだけじゃなく、サーミたちにも渡したから、朝食前なのに贅沢をしてしまったと、ミドリが笑っていたね。


「でも、美味しいでしょ」
「アオの作った物だもの、不味いわけないわよ」
「朝食もそれに入るじゃないかミドリ」
「そうよ、だから全部美味しいのよ」


言い過ぎだと思ったけど、向こうの世界の品はどれも美味しいのは本当で、僕が作ったという訳じゃないんだ。
でもね、その気持ちはとっても嬉しくて、だからこそ頑張ろうと気持ちが溢れるんだ。


「僕が頑張ってて、こんなに喜ばれるここは、ほんとに僕にとって」
「なにしんみりしてるのよアオ、行きましょ」
「そうだねミドリ」


朝食に向かう足取りはとても早く、その間も作成にせいを出していて、村長にも報告したんだ。
そして、喜んではくれたけど、まずは新しいお酒という事になったんだよ。


「まったく、真昼間からお酒とか、嫌になるわ」
「仕方ないよミドリ、僕たちのお菓子みたいなモノなんだからね」
「それは卑怯よアオ、そんな事言われたら取り上げられないわ」


あははっと、気持ちが分かるミドリは凄いと思ったね。
分かっているのに、それでも止めさせようとする人はいて、矛盾しているのに止めないんだ。


「初日だし、まだ作れてない品もあるけど、今日の夕飯はお米ずくしにしよう」
「お米って、そんなにないんじゃないの?」
「お米だけだったらね」


僕のスキルは、その品が少しでも入っていれば作れるから、沢山の品が作れるんだ。
ミドリに説明すると、今まで黙ってたとプンプン怒ってきます。


「ごめんねミドリ、でもこれからは相談するよ」
「向こうの事知ってるからでしょアオ」
「バレたか」


あははっと笑い合い、お米の品の相談を始めたけど、もっと早く打ち明ければ良かったと反省です。
僕一人で考えるよりも、楽しくなったと感じて、やっぱりここでの生活は最高と思ったよ。


「ゲームって、一緒にやるのもあるけど、それと同じだね」
「何それ?」
「ミドリはゲームとかしなかったの?」


しない人もいるけど、ミドリはその中の1人だったようで、僕はちょっとガッカリです。
でも、僕と同じでこれから始めれば良いだけなので、また新しい楽しい事が増えましたよ。


「でも、ワタシはお酒は嫌い」
「何だか重みを感じるけど、もしかして?」
「そうよ、アイツが好きだったのよ」


なるほど~っと、向こうでお酒に飲まれる人を想像しました。
ホドホドにさせようと、ミドリと決めたんだけど、村長たちは難しいのは言うまでもない事です。


「アルコールが少ないのを作ろうか」
「そうね、量は何とかするしかないわね」


その為には、まずは何かで割る方法を考え、丁度良いから果実を出していったんだ。
ミドリは、穀物だけじゃない?っと突っ込んできたけど、肥料やら藁の縄を使っているから作れると教えました。


「そう言う事だったのね」
「うん、作成時間は掛かるんだけどね」
「寝ないから、それも出来てる訳ね」


頷いてみせると、トラクターはやり過ぎと突っ込まれ、あれは確かにやる過ぎたとまた反省です。
でも、あれは必要な事だったし、他にもバイオマス燃料の品はあるんだ。


「バイオマスって、そんなにないでしょ」
「そこはね、ゲームの中とかにあるんだよ」
「アオ・・・凄くない?」


昨晩のお話で、僕はステータスが取られたとか、スキルもなくなったことを話しているから、それでもすごいと笑われたよ。
でも、僕は凄いとかは思わず、楽しんでいるだけなんだ。


「楽しんでるって」
「今は生活を良くするのに精一杯だけど、その内遊ぶ方も楽しむよ」
「穀物作成で?」
「うん、沢山作れる物の中にね、遊び道具もあるんだよ」


ヨーヨーとかけん玉は紐があるからで、他にもバイオマスは最高なんだ。
自動車もあるし、1週間かかるけど飛行機も作れる。


「それはさすがにダメよ」
「そうなんだよね、こういった世界だもんね」
「それもだけど、1週間は掛かり過ぎ」


そっちもなのねっと、僕は作る事は考えてません。
でも、他の品は作ろうと考えてて、それは他の村に置く予定なんだ。


「もしかしてアオ」
「うん、バイオマスを使った農業をしようと考えてるんだ」
「やっぱり」


人が少ないのならそれしかないと、僕はトラクターを使って確信していたんだ。
だから水やりとか、全自動で出来る様にしたいんです。


「ここでテストしてからだから、まだまだ先だけどね」
「時間もかかるんでしょ?」
「さすがミドリ、作るのに1月掛かるんだ」


燃料だけだと、どうしても時間が掛かると、僕はガッカリしています。
でもね、枠が増えた今、1枠くらいは使ってみたいと、僕は新たな挑戦を考えていまして、新たな品を作り終えたら挑戦します。


「遊び道具からでも良いわよアオ」
「それはもう作ってるよ」


ヨーヨーを出して渡すと、ミドリは満面の笑顔で楽しみ始めた。
ほんとに楽しい日々で、これが続くことを願っていたね。
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