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2章 のんびり
28話 荷馬車が沢山来た
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「ど、どうしてです!?」
アタシが騎士に案内をされた場所は、他の領地から来た馬車が並ぶ待合所でした。
そこでは、信じられない程の小麦が運ばれていて、自分の目を疑ったわ。
「これがタバサ様の力です、お分かりですか?」
「ま、まだよっ!まだ足りないわ」
「それでは、次を見ますか」
「次っ!?」
まだあるのかとアタシは焦ったけど、そんな事をお構いなしに騎士は先を歩いたわ。
そして、次の倉庫では大麦が運ばれていて、その次は変わった豆でしたわ。
「なんですのあれ?」
「あれは大豆という豆で、とても栄養価があります」
「初めて見たわね」
食料がこんなに沢山ある中、更に新たな食べ物も運ばれていて、これなら100枚の金貨が入った袋を4つも用意出来るのも納得したの。
そんな結論を出したアタシに、騎士は次がまだあると言ってきて、アタシはもう十分と言いたくなったわ。
「トウモロコシ?」
「はい、コメというのもあるのですが、まだ調理の指導が出来てないんです」
「そ、そうでしたの」
「ええ、これに家畜の肉が加わる事になります」
最後に高価な品の肉が存在していて、アタシはこれ程の力に手を貸さなかったのかと後悔したわ。
この利益が自分のモノになっていたはずとか、どうして気付かなかったのかと頭を抱えたけど、それ以上にタバサに敵わないのが確定したの。
「これに戦いを挑む程、アタシは愚かじゃないわ」
「そう言っていただいて良かった」
「もういいわ、アタシは引かせてもらうわ」
「あらあら、らしくないわねエイリュ」
聞き覚えのある声に、アタシはゾッとして後ろを振り向いたわ。
そこには、昨日会ったタバサが立っていて、いつもの悪い笑顔をしていたわね。
「あんたには敵わない、そう思ったのよタバサ」
「それがらしくないのですわよ、取り込むくらいしなさいエイリュ」
「それすらも出来ないと思わされたのよ」
「良く分かってますわねエイリュ、だからこそワタシに協力しなさい」
タバサからの誘いは、直球過ぎて怪しさしか感じなかったわ。
でも、敵になるよりも味方になった方が得なのは事実で、タバサの握手を迷いなく受けたの。
「ほら、あなたはそうでなくちゃね」
「な、何を考えてるのタバサ」
「うふふ、もっと上を目指さないエイリュ」
もっと上と言われ、国を取る算段なのが分かったのよ。
普通なら、冗談にしても笑えない事だけど、ここの力を見てからだとそうでもなかったわ。
「王族か、良いわねそれ」
「そうでしょ、付いてきなさいエイリュ」
「アタシに指図しないでタバサ」
やっといつものアタシになったとか言ってくるタバサは、とても凛々しくて見惚れてしまったわ。
こんなにすごい女だったのかと、付いて行く覚悟が出来てしまったアタシは、胸の奥から溢れる思いを止められなかったの。
「タバサ、子供を頂戴」
「はいっ?」
「アタシ、あなたとの子供が欲しい」
報酬はそれで良い、そう決める程好きになったの。
あれだけ争っていてライバルと思ったけど、アタシはそんな凛々しいタバサを見ていたかったみたい。
「ダメかしら?」
「良いけど、それには統括者になるまでお預けですわよ?」
「それでもいいわ、何でもするからねアタシ」
了承してくれて、アタシはタバサに抱き着いてしまったわ。
それからアタシは、お茶を貰いながら違う形で輸送を見ていたけど、それがまだ序章なのを聞いて、カップを落としてしまったわね。
「あらあら、お茶会の席でカップを落とすとか、なってないですわよ」
「そ、それどころじゃないわよタバサ・・・ほんとなの?」
「ええ、これから戦争が変わりますの、だから手を貸してね」
本気の目で、それだけの強さを知らされたわ。
ほんとなのかと疑うのは普通だけど、既にイヤって程見せられたから信じたわ。
「でも、次の戦争って7日後で遠くよ・・・間に合うの?」
「だからこそ、領主たちの協力が必要だったのですわエイリュ」
「そう言う事ね」
男たちの国がいくつも動き出し、その中でも一番力の無い国との戦いだけど、今回はいつもと違い、初戦に負ける事を予想していたのは、おそらくタバサだけで、それだけの勢いを感じたわ。
勇者がいるわけではないけど、それだけの士気があると、お茶を飲んだタバサは教えてくれたわね。
「だから負けるのね」
「ええ・・・でも、そこを勝たせるのですわよ」
その為の輸送が領主たちの荷馬車と言って来るけど、食料だけで勝てるなら、アタシたちの国は最初から負けないのよ。
それだけ、女の国は強く男は弱いのだけど、勇者がそれを変えてしまった。
「食べ物だけじゃないのは分かるけど、タバサ勝てるの?」
「勝たせるのですわよエイリュ」
それで勝てるのかと思うけど、タバサが言うのならそうなるんだと、アタシは疑う事はしなかった。
そして、その力は本物で囲っていたモノ全てだった事を夜に知ったのよ。
「う、動いているわよタバサ!?」
「そうですわよエイリュ、あれは藁人形を集めたモノなのですわ」
荷馬車が出発したその日の夜、街を調べに来た者たちが藁の壁に掴まっていたの。
それはとてつもない力に見え、食料の事なんて小さく見えたわ。
「これで援軍に向かうのですわ、それがアタシの軍なのですわよ」
「そう言う事だったのね」
「ええ、だからあなたを誘ったのですわよ」
騎士の名前も覚えないアタシだからとタバサは言ったけど、それがどういった事なのか、その時のアタシには理解できなかった。
でも、頼りにされたのは分かって、それだけでとても嬉しかったわ。
「必ず期待に応えるわタバサ」
「頼むわよエイリュ、その為の訓練もあるから、頑張ってくださいましね」
それが成功すれば、アタシの願いに1歩近づく、必ず戦いに勝って見せると宣言しました。
その後、藁の家に入って騎士たちの意見を聞いたわ。
「危険ですエイリュ様」
「そうね・・・でも、アタシの欲しい物はそこにあるの、付き合ってくれるかしら?」
「ワタシたちはエイリュ様の護衛騎士です、あなたの指示に従います」
「ありがとう・・・ところで、あなたのお名前を教えてくれるかしら?」
タバサは、名前を覚えないアタシを嫌っている感じだったから、今日からそれを無くし好きになってもらうための努力を始めました。
そう、ここから始めて行き、自分を変える為にがんばるのよ。
アタシが騎士に案内をされた場所は、他の領地から来た馬車が並ぶ待合所でした。
そこでは、信じられない程の小麦が運ばれていて、自分の目を疑ったわ。
「これがタバサ様の力です、お分かりですか?」
「ま、まだよっ!まだ足りないわ」
「それでは、次を見ますか」
「次っ!?」
まだあるのかとアタシは焦ったけど、そんな事をお構いなしに騎士は先を歩いたわ。
そして、次の倉庫では大麦が運ばれていて、その次は変わった豆でしたわ。
「なんですのあれ?」
「あれは大豆という豆で、とても栄養価があります」
「初めて見たわね」
食料がこんなに沢山ある中、更に新たな食べ物も運ばれていて、これなら100枚の金貨が入った袋を4つも用意出来るのも納得したの。
そんな結論を出したアタシに、騎士は次がまだあると言ってきて、アタシはもう十分と言いたくなったわ。
「トウモロコシ?」
「はい、コメというのもあるのですが、まだ調理の指導が出来てないんです」
「そ、そうでしたの」
「ええ、これに家畜の肉が加わる事になります」
最後に高価な品の肉が存在していて、アタシはこれ程の力に手を貸さなかったのかと後悔したわ。
この利益が自分のモノになっていたはずとか、どうして気付かなかったのかと頭を抱えたけど、それ以上にタバサに敵わないのが確定したの。
「これに戦いを挑む程、アタシは愚かじゃないわ」
「そう言っていただいて良かった」
「もういいわ、アタシは引かせてもらうわ」
「あらあら、らしくないわねエイリュ」
聞き覚えのある声に、アタシはゾッとして後ろを振り向いたわ。
そこには、昨日会ったタバサが立っていて、いつもの悪い笑顔をしていたわね。
「あんたには敵わない、そう思ったのよタバサ」
「それがらしくないのですわよ、取り込むくらいしなさいエイリュ」
「それすらも出来ないと思わされたのよ」
「良く分かってますわねエイリュ、だからこそワタシに協力しなさい」
タバサからの誘いは、直球過ぎて怪しさしか感じなかったわ。
でも、敵になるよりも味方になった方が得なのは事実で、タバサの握手を迷いなく受けたの。
「ほら、あなたはそうでなくちゃね」
「な、何を考えてるのタバサ」
「うふふ、もっと上を目指さないエイリュ」
もっと上と言われ、国を取る算段なのが分かったのよ。
普通なら、冗談にしても笑えない事だけど、ここの力を見てからだとそうでもなかったわ。
「王族か、良いわねそれ」
「そうでしょ、付いてきなさいエイリュ」
「アタシに指図しないでタバサ」
やっといつものアタシになったとか言ってくるタバサは、とても凛々しくて見惚れてしまったわ。
こんなにすごい女だったのかと、付いて行く覚悟が出来てしまったアタシは、胸の奥から溢れる思いを止められなかったの。
「タバサ、子供を頂戴」
「はいっ?」
「アタシ、あなたとの子供が欲しい」
報酬はそれで良い、そう決める程好きになったの。
あれだけ争っていてライバルと思ったけど、アタシはそんな凛々しいタバサを見ていたかったみたい。
「ダメかしら?」
「良いけど、それには統括者になるまでお預けですわよ?」
「それでもいいわ、何でもするからねアタシ」
了承してくれて、アタシはタバサに抱き着いてしまったわ。
それからアタシは、お茶を貰いながら違う形で輸送を見ていたけど、それがまだ序章なのを聞いて、カップを落としてしまったわね。
「あらあら、お茶会の席でカップを落とすとか、なってないですわよ」
「そ、それどころじゃないわよタバサ・・・ほんとなの?」
「ええ、これから戦争が変わりますの、だから手を貸してね」
本気の目で、それだけの強さを知らされたわ。
ほんとなのかと疑うのは普通だけど、既にイヤって程見せられたから信じたわ。
「でも、次の戦争って7日後で遠くよ・・・間に合うの?」
「だからこそ、領主たちの協力が必要だったのですわエイリュ」
「そう言う事ね」
男たちの国がいくつも動き出し、その中でも一番力の無い国との戦いだけど、今回はいつもと違い、初戦に負ける事を予想していたのは、おそらくタバサだけで、それだけの勢いを感じたわ。
勇者がいるわけではないけど、それだけの士気があると、お茶を飲んだタバサは教えてくれたわね。
「だから負けるのね」
「ええ・・・でも、そこを勝たせるのですわよ」
その為の輸送が領主たちの荷馬車と言って来るけど、食料だけで勝てるなら、アタシたちの国は最初から負けないのよ。
それだけ、女の国は強く男は弱いのだけど、勇者がそれを変えてしまった。
「食べ物だけじゃないのは分かるけど、タバサ勝てるの?」
「勝たせるのですわよエイリュ」
それで勝てるのかと思うけど、タバサが言うのならそうなるんだと、アタシは疑う事はしなかった。
そして、その力は本物で囲っていたモノ全てだった事を夜に知ったのよ。
「う、動いているわよタバサ!?」
「そうですわよエイリュ、あれは藁人形を集めたモノなのですわ」
荷馬車が出発したその日の夜、街を調べに来た者たちが藁の壁に掴まっていたの。
それはとてつもない力に見え、食料の事なんて小さく見えたわ。
「これで援軍に向かうのですわ、それがアタシの軍なのですわよ」
「そう言う事だったのね」
「ええ、だからあなたを誘ったのですわよ」
騎士の名前も覚えないアタシだからとタバサは言ったけど、それがどういった事なのか、その時のアタシには理解できなかった。
でも、頼りにされたのは分かって、それだけでとても嬉しかったわ。
「必ず期待に応えるわタバサ」
「頼むわよエイリュ、その為の訓練もあるから、頑張ってくださいましね」
それが成功すれば、アタシの願いに1歩近づく、必ず戦いに勝って見せると宣言しました。
その後、藁の家に入って騎士たちの意見を聞いたわ。
「危険ですエイリュ様」
「そうね・・・でも、アタシの欲しい物はそこにあるの、付き合ってくれるかしら?」
「ワタシたちはエイリュ様の護衛騎士です、あなたの指示に従います」
「ありがとう・・・ところで、あなたのお名前を教えてくれるかしら?」
タバサは、名前を覚えないアタシを嫌っている感じだったから、今日からそれを無くし好きになってもらうための努力を始めました。
そう、ここから始めて行き、自分を変える為にがんばるのよ。
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