上流階級はダンジョンマスター!?そんな世界で僕は下克上なんて求めません!!

まったりー

文字の大きさ
38 / 132
2章 1年1学期前半

38話 ダンジョンテスト

しおりを挟む
「それでは皆さん、ダンジョンの玉を出しステータスを提示してください」


僕がここに来て2ヶ月が経ち、今学園では中間テストが始まろうとしています。
生徒たちはダンジョンの状態を見せる為、ダンジョンステータスを机に出しているんです。


「念じれば見せる事が出来るって、これは最初に教える事じないかな?」


そしてバルサハル先生が助手と一緒に見て回り、難易度の点数を見て採点をしてくれているんです。


「1階層の広さは300m四方で部屋数は5ですか、ふむふむ」


今見ている女性生徒のダンジョンは、1階だけでモンスターの数は40と読み上げられ、通路の広さは3mと狭くて部屋も少なく5個しかありません。
他の生徒も画面を見て、そのダンジョンがどうなのかとヒソヒソ話し始め、ここで優秀なダンジョンが基準を作っていくと理解したんだ。


「でも、あの部屋は小部屋だから、あれじゃあまり良いモンスターは出現しないよ、それに分岐も少ない」


バルサハル先生は、1階層を広くしてなかなか良いと言っていますが、僕の学園ダンジョンの4分の1くらいしかありません。


「あれではダメでしょ」


僕なりの評価を出した後、バルサハル先生は生徒に告げないままでその場を離れ他の生徒の前に向かいます。


「ダンジョン難易度は6だから、きっと低いんだろうね」


助手さんが書いている紙の内容は見れないけど、きっと採点は低いと次の生徒の評価を聞きます。
そんな中、採点の終わった生徒は少しホッとしていて、僕はそれが気になってしまいました。


「もしかして、ダンジョンの難易度6って、あれでも標準なのかな?・・・これはまずいね」


ダンジョンの難易度は、モンスターの強さや分岐とかを増やして複雑だと点数が高いです。
僕は3階層までを作っていて、モンスターは変えてませんが100匹は配置していて分岐も多く、部屋も20個作っている。


「難易度が24だから、あの生徒の4倍の数値」


これはまずいと冷や汗が流れてきます。
ダリアの基準で、10レベルの冒険者4人PTが4時間でクリア出来る難易度で作ったのが失敗でした。


「そろそろ冒険者用を作りたかったからそのままだったけど、まずいね」


孤児院のムクロスに頼み、ニンジャ部隊を作って調査依頼している最中で、他を優先したのが失敗でした。


「でもなぁ~ムクロスは学園の変な奴らも捕まえたし、孤児院の子達はかなり上達したよねぇ~」
「さすがはジャケン君ですね、難易度28ですか」


孤児院も安定して来て僕が安心していたら、遠くで先生の声が聞こえてきました。
僕は直ぐに見たけど、ドヤ顔をしたジャケン君がいましたよ。


「良かった、僕と同じくらいの人がいたよ」


そんな注目のダンジョンを見たけど、1階層だけで難易度が28あって、僕よりも高くてホッとしました。


「28は確かにすごいんだけど、まだまだ作り方が・・・あれをしちゃうと、2階層目が大変なんだけど、いいのかな?」


僕はあれを知っていて、2階層を作る時なかなか難易度が上がらなくなるんだ。
1階層目の部屋数を増やし、分岐を最小限にして作っているのが原因です。


「まぁあれは狭いダンジョンには有効なんだよね」


部屋のおかげで難易度は上がるけど、2階層目を同じように作ると難易度が下がるんだ。
これは2階層目が評価されず、ダンジョンが下に広くなっただけとなってしまうからで、2階層は1階層よりも難しくしないといけないんですよ。


「まぁ後でポイントさえあれば直せるし、テストの時に点数を稼げれば良いんだろうけどね」


まだまだだねっと、自分が見られる順番を待ちますが、今度は一際大きな歓声が上がったんです。
その方向はあの子がいて、やっぱり凄いのかもと嫌々ながらも振り向きました。


「難易度30!さすがケリーさんですね」


ケリーと言う子を僕は知っています。
なんと言ってもその子は、僕を木剣で攻撃した子達のトップですからね。


「言うだけでなく、手まで出してきた子たちだからね」


一緒にいた子たちも嬉しそうで、先生に誉められて髪を触りながら、その子はちょっと得意げだね。


「僕を攻撃してきた子達は20前後か、なかなかやるね」


あくまでこの子たちの基準で褒めますが、僕のダンジョンが目立ってしまいそうで、どうしようと言っと考えが浮上します。
ムクロスにそこら辺を調べて貰うべきだったと、手遅れな案ばかりが頭をよぎりました。


「まぁジャケン君よりは複雑に作ってるみたいだけど、その分モンスターにポイントが使えなかったのかな?」


僕を攻撃して来た子たちも含め、1番を取ったケリーさんは、分岐を多く使い道を長くしていました。
通路ばかりで単調かなとは思いますが、部屋を作れば済む話で、ジャケン君よりは有効に使えます。


「さて、最後にあなたです。見せて貰いますよ」


ケリーさん達の評価をしていると、バルサハル先生が僕の前に立ち睨んで来ます。
そして僕の返事を聞く前にステータスを覗き、間違いでは無いのかと眼鏡を拭き始めたんだ。
他の子達は、どうしたのかと集まって来てしまったよ。


「先生どうしました?その平民上がりに何か」
「難易度24・・・うそよ!?どうしてこんなに高いのですか!」


先生が声を掛けた生徒を遮り、後ろに下がってしまい、本当にとうしたのかとあの子達まで集まって来ました。
僕はいよいよまずいと、黙って見てましたよ。


「なんだよ先生、24じゃないですか、それくらい」
「おかしいわっ!おかしいのよっ!!3階層も作っているのに、各階の部屋数が20を越えてる。それに中部屋がその中に5つもあるなんて信じられない!!この1ヶ月・・・いえ、2ヶ月でどれだけポイントを集めたというのですか」


またまた生徒を遮りダンジョンを否定して来ます。
何度も見直し、どうしても信じられないようで、ダンジョンの構造まで良く見始めました。


「あそこの分岐がああで、あそこも通してる?」


分岐の先の通路は曲がり角で先が見えないようにしているとか、1本道でも直線にしていないとか、本来先生が教えてそうな言葉が飛び交い始めたんだ。
でもね、僕のダンジョンにも欠点を作ってるんだ、それに気づかないで騒いでるよ。


「5万、いえ10万は必要なはず、本当にどうやって」


バルサハル先生が最後まで分からず、僕を睨んで答える様に怒鳴ります。
僕は当然冒険者に頑張ってもらったと、ニコニコして応え、それ以外ない事を表情だけで伝えます。


「冒険者ですか」
「はい、それ以外ないでしょ?」


部屋数を増やして評価を上げたり、中に入っている人が迷わない作りにしたりと、出来る事はまだまだあります。
休憩が出来る様にしても良いですし、なにより問題なのは、誰も中ボスやボスが設置出来る特殊部屋り使ってないんだ。


「先生、そいつのダンジョン、そんなにすげぇのかよ」
「そうですわ、ただ単にポイントを使っただけでしょ、わたくしたちの方が難易度は上ですわよ」


あのお2人が先生に抗議し始めたけど、先生は頭を左右に振って否定します。
先の事を知ってる先生だからこそ分かる事で、みんなは親に聞いてないのかと疑問に思ったね。


「あなたたちが知らないのも無理ありませんが、彼は先を見ているのです。2階層と3階層を作ると、どうしても難易度は下がってしまうものなのです」


先生がそう説明してしまい、2人が驚き僕を睨んできた、数値が低くても僕の方が上だと理解したからだね。
僕はまずいと思ったけど、もう遅いかもしれません。ジャケン君が僕を指差して先生に聞いてしまったんだよ。


「じゃあなにか?先生は俺よりも、こいつの方が優秀だとでも言うのか?」


先生は無言で答えません。
でもケリーさんも答えを求めていて、他の生徒は静かに待ってる。


「沈黙は答えだよ先生~」


嫌な予感がしてる僕と同じで、沈黙は肯定とみなしたのか、ジャケン君とケリーさんが同時に言ってきたんだ。


「お前!勝負しろ!」「あなた!勝負ですわ!」


僕は、嫌だよおおぉぉ~!!っと叫びたかったけど、2人に指差されてどうしようもなく黙っていました。
その時、直ぐにでも声を上げて否定でもすればよかった。冒険者を雇って良い成績を取れるのは最初だけとか言い訳すればよかったんだ。


「良いでしょう!お二人の気持ちは分かりました、ではこうしましょう。1週間後に大講堂でダンジョンバトルを行うことにしましょう」


ダンジョンバトルを開催すると宣言され、僕は嘘でしょ!?っと驚き嫌がったよ。
ダンジョンバトルとは、本来学期末の最後に行う行事で、期末試験優秀者のダンジョンをお披露目するための物で、同じく成績上位の騎士や魔法士が挑むのを観戦する。とても目立つ行為だから、正直僕はやりたくないですよ。


「ダンジョンに入る生徒は私が人選しておきます、明日には名簿を配りますから、良く読んでおくように、では解散」


先生の号令でみんなが散らばっていきますが、僕がずっと見られたのは言うまでもないよね。
ジャケン君とケリーさんなんて睨んで来て怖かったよ。


「まあ、取り巻きの子たちが手を出して来ないだけまだいいかな?」


取り巻きの子も睨むだけだったけど、シャンティが孤児院に行ってて良かった。
きっと睨み返してしまって、攻撃してきた子たちとにらみ合いが始まっていたかもしれません。


「そんな事になったら、賄賂を配ってた意味がなくなっちゃう所だったよ」


すごく大事になってしまい、平均を目指している僕にとって失敗でしかないと反省です。
最初のテストだから仕方ないけど、次は絶対調整するからね。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...